平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

平清盛 第16話「さらば父上」~謹んで、お受けいたしとうございまする。

2012年04月23日 | 大河ドラマ・時代劇
 忠盛(中井貴一)は答えを出せないでいる。
 「なぜ武士が今の世に生きているのか?」「なぜ太刀をふるうのか?」
 それを清盛(松山ケンイチ)が教えてくれた。
 忠通(堀部圭亮)と頼長(山本耕史)の確執。その裏にある王家のドロドロ。
 平氏は荷担するように言われるが、清盛は太刀を握りしめてきっぱりと断る。
 「この太刀をふるうのは、下らない小競り合いに巻き込まれるためではない。こいつはそんなことをするために生まれてきたのではない」
 この言葉を受けて、忠盛は永年の答えを見出した。
 そして宣言する。
 「武士の世を作るために。われわれはそのために太刀をふるってきた。そのために武士は今の世に生きているのだ」

 清盛に教えられた忠盛。
 この瞬間、清盛は忠盛を越えた。
 まだまだ人間としては足りない部分はあるが、ブレない<心の軸>においては清盛は上だった。

 忠盛は老いたのである。
 亡くなった舞子は「夢中に生きていれば」答えを見出せると言ったが、夢中の度合いは忠盛より清盛の方がはるかに上であった。
 若さの持っているエネルギー、世間のおそろしさを知らないがゆえの自由さ。
 これらが、清盛を夢中にさせる。
 たとえば現代を例に出してみると、ワールドカップで日本が勝った時、渋谷で騒ぐ若者たち。
 年寄りにはこれが出来ない。勝ったことは嬉しくても、テレビ画面を通して見ているだけ。
 安芸から戻った清盛は実にイキイキとしていた。
 「やりますよ、父上! 野良犬の声がこの面白くない世の中を変える。そんな時が近づいております!」
 忠盛に喜びを語る清盛。
 一方、忠盛はそれを目を細めて聞いているのみ。
 ここで世代交代が起きたのである。

 清盛は今まで忠盛が築いてきたものを引き継ぐ。
 家臣、財力、武力、朝廷でのある程度の発言力……。
 忠盛はこれらを清盛に託す。
 自分は花を開かせることが出来なかったが、清盛なら成し遂げてくれるはず、と信じて。

 世代交代は源氏でも同じだった。
 貴族に迎合する父・為義(小日向文世)に反抗する義朝(玉木宏)。
 若い義朝には「地を這ってでも生き残ってやる。これがわしの誇りだ」と語る為義の真意はまだ理解出来ないが、反・貴族社会、武士の世を作るという点では、清盛と同じだ。

 そして、ふたたび平氏。
 忠盛は「これより、平氏の棟梁を清盛と定める」と一族の前で宣言する。
 清盛はこう答える。

 「謹んで、お受けいたしとうございまする」

 シンプルだが、実に重く深いせりふ。
 このせりふを語る清盛の中には、亡くなった弟・家盛や母親とのことなど、今までの出来事の様々な思いが込められていただろう。
 今まで16話を費やしてきた集大成のせりふであるとも言える。

 いよいよ清盛の快進撃が始まる。


コメント (4)
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