忠盛(中井貴一)は答えを出せないでいる。
「なぜ武士が今の世に生きているのか?」「なぜ太刀をふるうのか?」
それを清盛(松山ケンイチ)が教えてくれた。
忠通(堀部圭亮)と頼長(山本耕史)の確執。その裏にある王家のドロドロ。
平氏は荷担するように言われるが、清盛は太刀を握りしめてきっぱりと断る。
「この太刀をふるうのは、下らない小競り合いに巻き込まれるためではない。こいつはそんなことをするために生まれてきたのではない」
この言葉を受けて、忠盛は永年の答えを見出した。
そして宣言する。
「武士の世を作るために。われわれはそのために太刀をふるってきた。そのために武士は今の世に生きているのだ」
清盛に教えられた忠盛。
この瞬間、清盛は忠盛を越えた。
まだまだ人間としては足りない部分はあるが、ブレない<心の軸>においては清盛は上だった。
忠盛は老いたのである。
亡くなった舞子は「夢中に生きていれば」答えを見出せると言ったが、夢中の度合いは忠盛より清盛の方がはるかに上であった。
若さの持っているエネルギー、世間のおそろしさを知らないがゆえの自由さ。
これらが、清盛を夢中にさせる。
たとえば現代を例に出してみると、ワールドカップで日本が勝った時、渋谷で騒ぐ若者たち。
年寄りにはこれが出来ない。勝ったことは嬉しくても、テレビ画面を通して見ているだけ。
安芸から戻った清盛は実にイキイキとしていた。
「やりますよ、父上! 野良犬の声がこの面白くない世の中を変える。そんな時が近づいております!」
忠盛に喜びを語る清盛。
一方、忠盛はそれを目を細めて聞いているのみ。
ここで世代交代が起きたのである。
清盛は今まで忠盛が築いてきたものを引き継ぐ。
家臣、財力、武力、朝廷でのある程度の発言力……。
忠盛はこれらを清盛に託す。
自分は花を開かせることが出来なかったが、清盛なら成し遂げてくれるはず、と信じて。
世代交代は源氏でも同じだった。
貴族に迎合する父・為義(小日向文世)に反抗する義朝(玉木宏)。
若い義朝には「地を這ってでも生き残ってやる。これがわしの誇りだ」と語る為義の真意はまだ理解出来ないが、反・貴族社会、武士の世を作るという点では、清盛と同じだ。
そして、ふたたび平氏。
忠盛は「これより、平氏の棟梁を清盛と定める」と一族の前で宣言する。
清盛はこう答える。
「謹んで、お受けいたしとうございまする」
シンプルだが、実に重く深いせりふ。
このせりふを語る清盛の中には、亡くなった弟・家盛や母親とのことなど、今までの出来事の様々な思いが込められていただろう。
今まで16話を費やしてきた集大成のせりふであるとも言える。
いよいよ清盛の快進撃が始まる。
「なぜ武士が今の世に生きているのか?」「なぜ太刀をふるうのか?」
それを清盛(松山ケンイチ)が教えてくれた。
忠通(堀部圭亮)と頼長(山本耕史)の確執。その裏にある王家のドロドロ。
平氏は荷担するように言われるが、清盛は太刀を握りしめてきっぱりと断る。
「この太刀をふるうのは、下らない小競り合いに巻き込まれるためではない。こいつはそんなことをするために生まれてきたのではない」
この言葉を受けて、忠盛は永年の答えを見出した。
そして宣言する。
「武士の世を作るために。われわれはそのために太刀をふるってきた。そのために武士は今の世に生きているのだ」
清盛に教えられた忠盛。
この瞬間、清盛は忠盛を越えた。
まだまだ人間としては足りない部分はあるが、ブレない<心の軸>においては清盛は上だった。
忠盛は老いたのである。
亡くなった舞子は「夢中に生きていれば」答えを見出せると言ったが、夢中の度合いは忠盛より清盛の方がはるかに上であった。
若さの持っているエネルギー、世間のおそろしさを知らないがゆえの自由さ。
これらが、清盛を夢中にさせる。
たとえば現代を例に出してみると、ワールドカップで日本が勝った時、渋谷で騒ぐ若者たち。
年寄りにはこれが出来ない。勝ったことは嬉しくても、テレビ画面を通して見ているだけ。
安芸から戻った清盛は実にイキイキとしていた。
「やりますよ、父上! 野良犬の声がこの面白くない世の中を変える。そんな時が近づいております!」
忠盛に喜びを語る清盛。
一方、忠盛はそれを目を細めて聞いているのみ。
ここで世代交代が起きたのである。
清盛は今まで忠盛が築いてきたものを引き継ぐ。
家臣、財力、武力、朝廷でのある程度の発言力……。
忠盛はこれらを清盛に託す。
自分は花を開かせることが出来なかったが、清盛なら成し遂げてくれるはず、と信じて。
世代交代は源氏でも同じだった。
貴族に迎合する父・為義(小日向文世)に反抗する義朝(玉木宏)。
若い義朝には「地を這ってでも生き残ってやる。これがわしの誇りだ」と語る為義の真意はまだ理解出来ないが、反・貴族社会、武士の世を作るという点では、清盛と同じだ。
そして、ふたたび平氏。
忠盛は「これより、平氏の棟梁を清盛と定める」と一族の前で宣言する。
清盛はこう答える。
「謹んで、お受けいたしとうございまする」
シンプルだが、実に重く深いせりふ。
このせりふを語る清盛の中には、亡くなった弟・家盛や母親とのことなど、今までの出来事の様々な思いが込められていただろう。
今まで16話を費やしてきた集大成のせりふであるとも言える。
いよいよ清盛の快進撃が始まる。