No. 1258 日米同盟死守したい安倍首相
投稿日: 2019年7月16日
大阪G20サミットではトランプ大統領と習国家主席が米中貿易戦争の凍結と交渉の再開を表明し、翌日には板門店で韓国の文大統領も同行してトランプ大統領が北朝鮮の金委員長と会談するなど世界情勢は大きく変わりつつある。
5月末、令和初の国賓として来日したトランプ大統領を安倍首相は、ゴルフ、相撲、炉端焼きと歓待し、トランプ大統領自身がツイッターで暴露したように「農産物の関税大幅引き下げ交渉は参院選後まで引き延ばす」という成果をもたらした。
また安倍首相はトランプ大統領と横須賀基地に行き、海上自衛隊のいずも型護衛艦「かが」に乗艦した。日米首脳がそろって自衛官と在日米軍人を激励するのは世界に強い同盟関係を誇示するものであり、中国や北朝鮮に対しては威嚇にもあたる行為である。日本が米国から大量にステルス戦闘機F35を購入し、護衛艦は航空母艦となると語り、トランプ大統領にとってはさぞかし実り多い日本訪問だったであろう。
安倍首相が105機購入すると約束したF35は、今年1月時点で「未解決の欠陥」が966件あると米政府監査院が発表しており、昨年9月に米国で起きた墜落事故の原因も燃料管の不具合だった。しかし日本で4月に起きたF35の墜落事故では機体も見つからないうちに操作を打ち切り、日本政府は墜落原因を故障ではなく操縦士の操作ミスによるものと発表した。F35は1機140億円ともいわれ、1兆円を超す税金を使い米国が欠陥を認める戦闘機を日本は購入する。
米国の2018年の軍事費は約1兆8千億ドルと世界の軍事費の3分の1以上を占め、2位の中国でも2500億ドルである。これほど多額の軍事費を使い、世界のあちこちで爆撃を行っている米国は、気候変動と同じくらい地球にとって大きな脅威だ。そしていくらトランプ大統領が米国に産業を取り戻そうとしても、軍需産業しかない米国は日本のような同盟国に兵器を売りつけるしかない。
その兵器の技術においても、軍事費が米国の10分の1以下のロシアが極超音速ミサイルのような武器を開発しているにもかかわらず米国の先行きは怪しい。エチオピアで起きたボーイング社の飛行機事故では、中国はじめ世界50カ国が同機の運航停止措置をとり、欧州航空安全庁は欧州上空停止措置を決めた。米国の権威は失墜し、今後米国を抜いて世界最大の航空機市場になるとみられる中国は、ボーイングの事故の後、フランスのエアバス社と3兆円を超す契約を交わした。
しかしどんなに米国が斜陽化していようとも、F35、ファーウェイの排除問題、県民が反対しても移設を続ける普天間基地と、安倍首相は日米同盟を死守したいようである。徴用工問題に対抗して韓国への輸出規制を強化するとした安倍首相だが、米国、韓国、北朝鮮の3カ国の首脳の板門店での対面をどのような気持ちで見ていたのだろう。