格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

日本で無血市民革命=政権交代が成功する理由

2009-07-31 22:14:33 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

日本で無血市民革命=政権交代が成功する理由
私は民主党を絶対視しない。


民主党が危ういと思う点も多くある。


しかし、現実を変化させるには、現実のなかから選択肢を見つけなければならない。現状を変革するには、民主党に中核的な役割を担ってもらわなければならないと考える。


「変革」とは何か。


最大の「変革」は政治の主人公が変わることだ。


これまでの政治を振り返ると、政治の主人公は「国民」ではなかった。「国民」はうまく利用されてきただけである。


誰に利用されてきたのか。


①特権官僚


②大資本および特権階級の個人


③政治屋


による「利権互助会」にである。この「利権複合体」に新たに加わったのが、


④外国資本


⑤御用メディア


である。


これを私は「政官業外電=悪徳ペンタゴン」と呼んだ。


国家予算の規模は、一般会計、特別会計を合わせて207兆円。国債費や繰入金の90兆円と社会保障給付の46兆円を除くと71兆円。日本のGDP497兆円の14%にあたる資金が政府の手に握られている。「利権互助会」はこの巨大な政府資金と政府の許認可権に群がる。


自民党は2007年の実績で、168億円の企業献金を受け取った。企業献金を禁止する代償として導入された政党助成金に基づく交付金は、自民党の場合、2007年に166億円だった。自民党は今なお政党交付金を上回る企業献金を受け取っているのだ。


民主党は同じ2007年、企業献金を18億円受け取り、政党交付金を111億円受け取った。


自民党への168億円の企業献金が示すのは、自民党政治の目的が大企業の利益追求に置かれてきた可能性の高さだ。


政治屋は企業から各種陳情を受けて、その意向を反映する政策立案を高級官僚に任せる。高級官僚は各種業界を監督する立場におり、政治屋から発注された仕事をこなす一方で、業界や国費の負担による巨大な「天下り利権」を確保する。


政官業は相互癒着の関係を作る。これが強固なトライアングルを形成して、日本の政治を支配してきた。






自民党が与党、社会党を軸とする政党が野党の図式が長く続いてきた。55年体制と言われる。


日本経済が成長を続けていたころ、「労働」と「資本」の対立は尖鋭化しないで済む状況にあった。経済のパイが増大し、「資本」も潤い、「労働」もそれなりに潤う時代が続いた。


「資本」と「労働」は対立せずに労使協調が成り立つ部分が大きかった。


政治の世界でも、自民党と社会党が表面では対立しても、テーブルの下で手を握る図式が持続した。


しかし、1990年を境に時代環境は変化した。


三つの大きな変化が生じた。


第一は、冷戦が終焉したことだ。中国などの新興国が急成長し始めた。企業は生き残りのために、労使協調を言えなくなった。


第二は、日本のバブル経済が崩壊したことだ。1990年から2009年まで20年に及ぶ長期停滞が日本経済を襲った。経済の長期停滞の最大の理由は、政府の経済政策運営の失敗にあった。経済の停滞持続も労使協調を破壊する要因になった。


第三は、ITの飛躍的発展により、多くの事務労働者の地位が低下したことだ。企業は事務労働者の賃金引き下げに本格的に動いた。


これらの三つの要因によって、社会に重大な変化が起こった。企業は生き残りに全力疾走で向かい、戦後日本が築き上げた「総中流社会」の破壊に動いた。「共生社会」が突然「格差社会」、「生存競争社会」に変質した。


この時代環境を踏まえれば、政治は、「市場原理主義」ではなく「セーフティネット重視」に舵を切らなければならなかった。世界の大競争のなかで、企業が生き残りのために「格差創造」の方向に動く。この企業の行動によって発生する「ひずみ」を吸収するために、政府は「セーフティーネット強化」の方向に舵を切らなければならなかったのだ。


ところが、不幸なことに日本の現実は逆の方向に向かった。2001年に小泉政権が発足し、「市場原理主義」を政策方針の中心に据えた。経済の構造変化と、その変化を加速させる「格差創造」の「市場原理主義」によって、日本社会はあっという間に世界有数の「格差社会」に変質した。


年収300万円以下の労働者が50%を突破する一方、年収700万円以上の労働者は10%しかいない。ほんの一握りの労働者が「勝ち組」である一方、労働者の半分以上が「負け組」に押し込まれてしまった。


この時代環境の下で、自民党は巨大な献金を受け取っていることを背景に、大資本の側だけを向いた政治を続けた。生活保護を切り、障害者支援を切り、高齢者医療を切る一方で、法人税減税、製造業の派遣労働解禁などを実行した。


参政権は自然人である国民だけに1人1票で割り当てられる。企業は巨大な献金を行なうが、自然人ではなく参政権もない。


時代環境は変化した。「大資本」の利害と「労働者」の利害は全面対立する時代に変化したのだ。


麻生首相は業界団体を連日訪問して、選挙応援を要請しているが、現実がまったく見えていないのだろう。政治の主人公は「大資本」ではなく、「労働者」である国民なのだ。


「大資本」と「労働」の利害が対立してしまった以上、いくら麻生首相が業界団体を回っても、業界団体に所属する労働者は大資本の応援をする気にならないだろう。


かつて、業界団体が選挙戦で影響力を持ったのは、業界団体の労働者が、「大資本」の意向に沿って行動すると、企業が潤い、その分け前を労働者も享受(きょうじゅ)できたからだ。






ところが、いまや、大資本の利益は労働者の不利益になる時代に変化している。


したがって、選挙では「大資本」ではなく「一般国民」の利益を追求する政党に支持が集まる。選挙の投票権は1人1票しか与えられない。大資本が168億円もの献金を自民党に投入しても、大資本そのものには、1票も投票権が付与されない。


官僚機構も一般国民から見れば、巨大な国家財政に巣食う寄生虫にしか感じられなくなった。公務員の給与は決して低くない。公務員に定年までの雇用を保証して、天下りを根絶すべきとの意見に多くの国民が賛同し始めている。


2005年には「郵政民営化」を掲げた「改革」=「リフォーム」の言葉に多くの国民が騙されてしまった。2005年の自民党マニフェストは、郵政民営化を実現すれば、世の中がバラ色になるとの宣伝文句で満載だが、この公約が嘘八百だったことに国民も気付いた。


「かんぽの宿疑惑」は「郵政民営化」の実態が「郵政私物化」、「郵政米営化」であったことを国民の前に見せつけた。もう二度と「リフォーム詐欺」に遭うまいと誓った国民が急増している。


こうしたなかで、「悪徳ペンタゴン」が最後の頼りにしているのが「御用メディア」だ。「御用メディア」の正社員は、確実に年収700万円以上の「勝ち組」に所属している。「御用メディア」下請けの制作会社非正規労働者、技術担当会社から派遣される非正規社員は確実に「負け組」に組み入れられているが、「勝ち組」が番組を制作し、「勝ち組」がコメントを述べるから、偏向番組が出来上がる。


この偏向報道に毒された人々が、自公政権を支持する残党として残るが、真実に気づいた人々から順次、政権交代を望む方向に変化する。


官僚のための政治


大資本のための政治


米国のための政治


を排除して、


国民のための政治


を実現することが「政権交代」の目的である。


民主党の一部に


官僚のための政治


大資本のための政治


米国のための政治


を指向する人々が存在し、また、軍事拡張主義を唱える人々がいる。


また、衆議院比例区定数削減を主張する人々がいる。


これらの危険分子を排除しなければならない。そのためには、民主党が社民党、国民新党としっかり連携することが大切であり、共産党の意見も随所で取り込む必要がある。少数意見を尊重するために、比例区の定数を削減するべきでない。


したがって、政権交代が実現しても、新政権が自公政権の路線に逆戻りしないか、厳しく監視する必要がある。


時代環境は変わった。このなかで、一般国民=民衆が主人公になる政治が日本史上、初めて誕生する可能性が広がっている。主権者である国民は、御用メディアの偏向報道に惑わされてはならない。


主権者である国民の幸福を追求する政府を樹立するために、すべての主権者が投票所に足を運び、「清き一票」を投じなければならない。すべての有権者が行動を起こせば、必ず「無血市民革命」は成功するだろう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

豚インフルエンザの源流を作った海賊

2009-07-31 21:53:46 | オルタナティブ通信

豚インフルエンザの源流を作った海賊


*・・・メールマガジン版オルタナティブ通信、第二回配信予定の、「ソマリア海賊の正体」、を参照。




「市民を誘拐し、強制的人体実験を行うCIAの研究所が神戸市に?」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/103584549.html


「ブッシュ=CIAによる強制的人体実験」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/103584090.html


「豚インフルエンザ=生物兵器の源流・・・IAEA国際原子力機関の正体」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/120488296.html


「オバマ大統領を育て上げた『豚インフルエンザ人脈・金脈』」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/119920405.html


「豚インフルエンザの源流?」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/119002528.html


「豚インフルエンザ・・・米軍による、市民に対するウィルス兵器の強制的人体実験の歴史」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/120286342.html


「米軍が、豚インフルエンザは、自分達が、バラ撒いた、と自白?」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/120171849.html


「米軍は航空機を使い、市民の生活地域に日常的にウィルス兵器を散布している=ケムトレイル」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/120231134.html


「豚インフルエンザ・・・米軍が繰り返す市民に対する、ウィルス兵器の強制的人体実験」、参照。

http://alternativereport1.seesaa.net/article/120340661.html






 16世紀末、英国エリザベス女王(1世)の治世下、女王の歩く道に立ちはだかる水溜りに、高価なマントを脱いで覆い被せ、女王の足が水滴で汚れることを防いだ騎士のエピソードで有名な、サー・ウォルター・ローリーは、「エリザベス1世の船乗り」として勇名を馳せていた。女王の与えた、私掠許可状によって、敵国であるオランダ、スペイン等の商船を襲撃、婦女暴行・略奪・殺戮を繰り返し、高価な金品等の略奪品で女王陛下の御機嫌を伺ったウォルター・ローリーは、「公設の海賊」であった。私掠許可状とは、私的な欲望で、掠奪=強盗を働いて良い、とする海賊許可状である。

この略奪品の富で、さらに銃砲を製造・軍組織を整備し、大英帝国の世界支配と、世界最大の金融都市ロンドン=シティを形成してきた英国が、21世紀になって、ソマリアの海賊征伐に乗り出す「資格があるとは到底、思われない」。

ウォルター・ローリーは、英国デヴォンシャー州出身の海賊・貴族であり、直属の上司が、デヴォンシャー伯爵キャベンディッシュである。この伯爵の土地管理人=夜警監視官が、後に、アメリカに渡り、大統領一族ブッシュを名乗る。

海賊ウォルター・ローリーは、世界各地を船で荒らし回り、英国に麻薬と、タバコと、ジャガイモを、もたらす。英国の代表的なファストフードである、白身魚のフライと、フライドポテトの組み合わせは、海賊ウォルター・ローリーが居なければ生み出される事は無かった。簡単に食事が取れるファストフードと、簡単に酩酊状態に陥る事の出来る麻薬は、同一人物によって英国に、もたらされていた。

こうしてウォルター・ローリーの上司キャベンディッシュ一族の支配領地デヴォンシャー州は、麻薬の一大生産拠点となる。キャベンディッシュの部下ブッシュが、アメリカに渡り、アメリカの国営麻薬会社ラッセル社を作る素地、麻薬の売上金で2代に渡り大統領を輩出する富を形成する下地が、ここに存在する。

この麻薬一族によって、後にデヴォンシャー州に作られるキャベンディッシュ研究所は、麻薬による人間の脳の破壊=何でも命令に従うロボット人間=奴隷人間製造の研究所となる。この研究は、やがて遺伝子工学によるクローン人間の生産=何でも言うことを聞く奴隷人間の製造へと「発展」する。人類初の遺伝子の二十螺旋構造の発見は、このキャベンディッシュ研究所が行う。

そして、キャベンディッシュ研究所の姉妹研究所として、米国ロングアイランドに、ブッシュ一族によって創立されたハリマン優生学研究所と、その後継者・軍事版である、メリーランド州フォートデトリック陸軍生物兵器研究所は、生物兵器である豚インフルエンザを製造し、2009年冬、世界中で大量殺戮=人口削減を実行に移す。

 「万人の万人に対する闘争」の言葉で有名な哲学者トマス・ホッブズは、このデヴォンシャー伯爵ウィリアム・キャベンディッシュの息子の「お抱え家庭教師」であり、子息の欧州旅行に付添い人としてヨーロッパ全域を旅行し、その哲学者としての知見を高めた。この麻薬一族の「お抱え」になる事がなければ、哲学者ホッブスの誕生は無かったであろう。島国・英国から脱出させ、子息を、より広いヨーロッパ全域で教育しようとするヨーロッパ大陸派のキャベンディッシュは、やがて英国王室を裏切り、ヨーロッパ大陸勢力を英国に導く「トロイの木馬」となる。

1685年、チャールズ2世の後継者のジェームズ2世が即位しようとすると、この英国王室の後継者を蹴落とし、オランダからオレンジ公ウィリアム3世を入城させ即位させる、いわゆる名誉革命を実行するのが、このキャベンディッシュ一族である。

この「トロイの木馬」作戦を展開した裏切り者キャベンディッシュの同志として動いたのが、マルバラ公爵ジョン・チャーチル=ウンンストン・チャーチル首相の先祖である。第二次世界大戦中、ヒトラーによって、英国チャーチルが追い詰められると、アメリカのブッシュ一族は武器貸与法を成立させ、料金後払いでチャーチルに大量の武器を提供する。この「大規模な便宜供与」は、チャーチル=キャベンディッシュ=ブッシュの、名誉革命ネットワークによって生み出されていた。

 アメリカに渡ったキャベンディッシュ一族が、現在、ケンタッキーに住み、世界最大手の非鉄金属鉱山企業=ロスチャイルドのリオ・ティント社の取締役を務めている事からも分かるように、ヨーロッパ大陸派のキャベンディッシュのバックには、欧州ロスチャイルドの金脈が政治資金として動いていた。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小泉元首相に続き津島雄二氏も世襲候補擁立

2009-07-30 18:09:44 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


小泉元首相に続き津島雄二氏も世襲候補擁立
自民党津島派会長の津島雄二氏が次期総選挙に立候補しないことを表明した。自民党青森県連は空白になる青森1区の衆議院選候補者に津島雄二氏の長男である津島淳氏を擁立する方針を決めた。


形式的には公募の形をとったが、実体は世襲議員候補の擁立である。自民党本部は世襲批判を考慮して津島淳氏を公認しないことを検討しているが、仮に公認しなくても、選挙で当選すれば追加公認するのだろう。


自民党は世襲議員のたまり場と化している。世襲議員でも能力があり、国民のために心血を注いで仕事をする人物であれば、国会議員になることを妨げる理由はない。本人の意思と能力は尊重されるべきであろう。


しかし、選挙で当選するには「地盤、看板、かばん」の三つが必要と言われるように後援会組織、知名度、政治資金が求められる。世襲議員は、この三つを引き継ぐため、他の候補者と競争条件が同一でない。


このため世襲議員は当選しやすく、自民党には世襲議員がごろごろしている。


世襲しやすいと言っても、子が親の仕事を引き継ぎたいと思わなければ世襲は成立しない。地方都市のシャッター街商店では子が店を引き継がないために閉店を余儀なく迫られるケースが多数を占める。農業などでも若い後継者が激減している。


自民党で世襲議員が多いのは、世襲したいとのインセンティブが働くからだろう。その要因のひとつに「企業献金」があると考えられる。


企業は企業にメリットがあるから献金をする。見返りがないのに献金をすれば、株主から背任であると突き上げられる。したがって、企業献金には献金と、献金を受けた政治家や政党の仕事との因果関係が必ず生まれることになる。


実際、2007年の政治献金実績を見ると


自民:総額224億円、うち企業献金168億円
民主:総額 40億円、うち企業献金18億円


もの献金が行なわれている。


 他方、2007年の政党交付金は以下の通りだ。


自民党 165億9583万7000円
民主党 110億6382万4000円


だ。政党助成金は、企業団体献金を制限する代償として、国費で政党活動を助成するために1994年の立法で導入された制度である。


 だが、自民党は政党交付金を上回る金額を政治献金で獲得している。


 この政治献金が日本の政治を歪めていると言わざるを得ない。政治献金の不当性についての専門的考察は、本ブログに寄稿下さった鬼頭栄美子弁護士の論考(その1)、(その2)、(その3)を参照いただきたいが、巨大な政治献金が自民党政治を国民の側にではなく、大企業の側に向かせる原動力になってきたことは否めない。


 自民党政治家は大企業のために行動し、大企業はその対価として自民党議員ないし自民党に政治献金を支払う。


 政治家個人に対する政治献金は禁止されているが、企業から政党支部への献金は認められており、政党支部から政治家個人の資金管理団体への資金移転が認められているから、実体的には政治家個人への政治献金は存続している。


 こうしたことから、自民党議員が政治献金を得ることを政治活動の目的としてしまうことも考えられる。自民党議員で世襲が際立って多いのは、自民党議員という職業が政治献金の存在を前提としたときに、営利的視点から極めて魅力のある職業になっていることが一因であると考えられるのだ。


 この見地に立って考えてみても、企業献金を全面禁止する意義は極めて大きいと考えられる。国民は「お金が儲かるから政治家になる」と考える人に政治家になってほしいと思わない。


 ほとんどの国民は純粋に国民のために心血を注ごうと思う人に政治家になってほしいと考えている。企業献金の存在は営利目的で政治家を目指す人物を生み出す原因になっていると考えられるのだ。






 国政を担う国会議員を選出するにあたっては、国民にとって優れた人物を選出することが大切である。世襲を無制限に認めると、「地盤、看板、かばん」で優位に立つ世襲候補が有利な状況で選挙が行なわれてしまう。国会議員候補者における「機会の平等」が損なわれる。


 そこで、「機会の平等」を確保するための制限措置が求められることになる。


 具体的には、


①同一選挙区からの立候補を認めない


②政治資金の承継を認めない


の二つの対応が有効であると考えられる。


 先代が国会議員をやめて20年も時間が経過したのなら、同一選挙区から立候補しても構わないだろう。しかし、10年なり、15年なり、一定期間以内の立候補は禁止するべきだ。


 政治資金には税制上の優遇措置が取られている。この資金力の差が、最も大きな競争条件の格差を生む。政治資金の承継を禁止するべきである。


世襲候補が選挙区を変えても、一般的には「知名度」は残る。したがって、上記の二つの制限を課せられても、世襲候補はなお有利な条件を保持するのである。


民主党は政権公約に企業献金禁止と世襲制限を盛り込んだ。


民主党のマニフェストから、企業献金全面禁止、議員世襲制限にかかる記述を以下に転載する。



【企業献金】




○政治資金規正法を改正し、その3年後


 から企業団体の献金及びパーティー券


 購入を禁止する。


○当面の措置として、国や自治体と1件


 1億円以上の契約関係にある企業等の


 政治献金・パーティー券購入を禁止する。



【世襲制限】




○現職の国会議員の配偶者及び三親等以


 内の親族が、同一選挙区から連続して


 立候補することは、民主党のルールと


 して認めない。


○政治資金を取り扱う団体を親族に引き


 継ぐことは、法律で禁止する。


自民党の対応は、まったく逆である。


小泉純一郎氏は二男の小泉進次郎氏を世襲候補として擁立した。「小泉改革」の真価をいかんなく発揮する対応だ。


自民党青森県連は津島氏の擁立方針を変えないだろう。自民党に「変革」の意欲はない。また、1970年最高裁判例を金科玉条に政治献金の存続を図ろうとするのだろう。


自民党は31日にマニフェストを発表する予定だが、企業献金、世襲制限について、どのような判断を示すのかが注目される。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロックフェラーが命令し作らせた日本の2大政党制

2009-07-30 07:55:54 | オルタナティブ通信

ロックフェラーが命令し作らせた日本の2大政党制



*・・・メールマガジン版オルタナティブ通信、第二回配信予定の、「ロックフェラーが指揮命令し推進する、日本の大手銀行の統廃合と、倒産予定・大手銀行」、を参照。




「政権交代の、その後を見据えて」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/124002330.html


「自民党を作ったのは誰か?・・日本独立のための第20章」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/49607677.html


「自民党=民主党」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/123729679.html


「麻生首相=鳩山民主党党首=岡田克也」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/119718161.html


「小泉元首相はCIA工作員」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/114475849.html


「ナチスの日本支部として創立された自民党」、参照。

http://alternativereport1.seesaa.net/article/65197894.html








 日本に原子力発電所を初めて導入し、科学技術庁長官として密かに日本の核武装と核兵器開発を命令した中曽根康弘。

 中曽根の兄弟・中曽根吉太郎の娘・八重子は、大昭和製紙の経営一族で社長であった斎藤一族の斎藤知三郎の妻となっている。知三郎の兄弟・斎藤斗志二も衆議院議員であり、その妻・千枝子の親・増岡博之も衆議院議員であった。中曽根、斎藤斗志二、増岡博之の3人が、大昭和製紙の政治的代理人として動いて来た事になる。

 増岡の妻・洋子の父・古沢潤一は日本輸出入銀行の総裁を務めた金融マンであるが、その妻・百合子の兄弟が鳩山威一郎、つまり現在の民主党党首で、近い将来、総理大臣になる可能性の高い鳩山由紀夫の父親である。

 中曽根、斎藤、増岡、鳩山。わずか4家族の中に自民党の最高実力者、長老と、民主党の党首が並び座り、同じ家族、一族に、選挙資金と選挙の票の「取りまとめ」を依存している。

 2大政党制は、ロックフェラーの「かねてからの政党政策」であった。ロックフェラーは、アメリカでは政権党になる事よりも、比較的野党である事の多い民主党の支持者でもあり、ネルソン・ロックフェラーは民主党の副大統領であった。

「どちらが勝っても、利益を受けるのは、常に同一グループ、ロックフェラー」。これが2大政党制の本質である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民主党マニフェストを批判する無知な人々(2)

2009-07-29 20:40:28 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

民主党マニフェストを批判する無知な人々(2)
(その1)から続く


自民党議員の民主党マニフェストに対する批判は、概ね以下の三つに要約できる。


①財源が不明確だ。


②バラマキ政策である。


③成長戦略がない。


 ①財源問題から考える。


 民主党の政策を実行するために必要な金額は、


2010年度  7.1兆円


2011年度 12.6兆円


2012年度 13.2兆円


2013年度 16.8兆円


である。


 この金額を、公共事業、天下り、冗費、補助金などを削って捻出する。政府の隠し資金である「埋蔵金」や「租税特別措置」の見直しも実行する。


 一方、麻生政権が昨年10月から本年6月にかけて編成した3回の補正予算で、どれだけの歳入欠陥が生じたのかを以下に記載する。


2008年度第1次補正予算  1.1兆円


2008年度第2次補正予算 11.9兆円


2009年度第1次補正予算 13.9兆円


合計            26.9兆円


 わずか8ヵ月の間に、麻生政権は27兆円もの歳入欠陥を生み出した。


 この27兆円の歳入欠陥は、国債増発19兆円、政府資産取り崩し8兆円によって賄われた。


 「ザイゲン」、「ザイゲン」と自民党議員は叫ぶが、自民党は、わずか8ヵ月で、27兆円も国家財政に穴を開けたのである。


 民主党がマニフェストで示した政策をすべて実行し、一方で、財源調達を1円も行なわなくても、国家財政に穴を開ける規模は、2010年度と2011年度の2年間合計で20兆円である。麻生政権がわずか8ヵ月で生み出した国家財政の穴よりも少額だ。


 2010年度から2013年度までの4年間を考えてみて、マニフェストで示した政策をすべて実行すると、その合計額は49.7兆円になる。民主党は、この49.7兆円のすべてを各種財源捻出措置によって賄おうとしているが、仮に、財源調達が半分しかできなかったとしよう。


 そうなると、国家財政に与える負担、穴を開けてしまう金額は、4年間合計で25兆円になる。


 麻生政権は、たった8ヵ月で27兆円もの穴を国家財政に開けた。民主党のマニフェストは、たとえ、財源調達が4年間で、当初見込みの半分しか実現できなかったとしても、国家財政に与える負担は4年間合計で25兆円にとどまる。


 民主党の鳩山由紀夫代表は、7月28日、宮崎県での遊説において、


「与党は財源問題をおっしゃるが、あなた方に言われたくない。無駄遣いし放題でお金を垂れ流し、足りなければ国債を発行してきているではないか」


と述べたと報道されているが、鳩山代表の指摘は真実を示している。


 国家財政に8ヵ月で27兆円もの穴を開けた麻生政権が、民主党のマニフェストにおける「財源が明確でない」と批判するのは、笑止千万(しょうしせんばん)以外の何者でもない。おへそでお茶が沸いてしまう。


 民主党マニフェストに対する「バラマキ」の批判はあたらない。






 政府の景気支持策、生活支援策は、家計の可処分所得が増加するように実施されることが最も望ましい。家計は増加した可処分所得を用いて、自由に支出対象を定めて支出を増やせばよい。


 「子育て手当」と「アニメの殿堂」を比べてみよう。政策手法としては、「子育て手当」がはるかに優れている。理由が三つある。


①可処分所得増加政策は政治利権になりにくいが、「はこもの」を作る公共事業は政治利権、汚職の温床になりやすい。


②最終的な支出決定はそれぞれの経済主体、つまり市場に委ねた方がロスが小さい。「アニメの殿堂」に大きな需要があるとは考えられない。家計の可処分所得が増えたら、個人はよく考えて、最も必要度の高い分野に支出する。個人の自由意思に支出先決定を委ねる方が無駄は小さくなる。


③家計が支出を増加させる分野が産業として潤う。その分野が成長分野になる。政府が特定分野にお金を落とせば、一時的には、そこに業者が群がるが、その分野が中期的成長を生み出すとは限らない。


 子育て手当は最も有効な「少子化対策」になる。また、「公立高校無償化」は「少子化対策」であると同時に、すべての子どもに夢を与える施策になる。「格差是正」策でもある。


 農業の所得補償制度は、日本の農業を存続させる有効な手法である。限られた財政資金の配分を思い切って変化させ、中長期の政策課題に充当するのは、「バラマキ」の対極に位置する「最も効率的な財政資金配分」である。


 麻生内閣は14兆円もの国費を投入した2009年度補正予算で、


公的部門の施設整備費に2.8兆円、


58の政府の基金に4.6兆円


の国費を投入した。


また、


役所の公用車購入1万5000台=588億円、


役所等の地デジ対応テレビ購入7万1000台=71億円、


の予算を計上した。


マンガ・アニメの殿堂には建設費だけで117億円が用意される一方、


生活保護の母子加算200億円は切り込まれたままにされた。


 麻生政権の補正予算こそ「バラマキ」の典型である。民主党の政策公約はその対極にある。


「成長戦略」について言えば、家計の可処分所得を増加させ、家計が支出を拡大させる分野が自律的に成長してゆくことを誘導することが、最も適切な政策対応である。


エコポイントもエコカーも、経団連企業への利益供与政策でしかない。


環境問題を重視するなら、各種基準を設定すれば良い。エコカーに対する財政支援をするなら、燃費の絶対基準に対応して助成額を決めなければ意味はない。高燃費・高排気量の高級乗用車購入が最も優遇されるのは、「環境にではなく大資本に優しい政策」である。


麻生政権は「政局より政策」、「景気回復」を重視して、景気対策を実行したと主張するが、その中核は「財政赤字を拡大させた」ことだ。


8ヵ月で27兆円も財政赤字を拡大させた。麻生首相は、「バラマキ・キング」、「財政赤字王」だ。「バラマキ・キング」、「財政赤字王」の麻生首相に民主党のマニフェストを「バラマキ」とは言われたくない鳩山代表の気持ちがよく分かる。


日本経済が不調だから、当面は財政政策をやや景気刺激的に運営する必要が高い。この観点からすると、4年間で49.7兆円かかる民主党が提示した施策について、その財源を満額まで調達せずに、やや控えめにすることが望ましい。


財源調達を必要額の半分にすると、4年間で約25兆円の景気支持効果が生まれることになる。1年当たり、GDP比で1%強の景気支持策を実施する経済効果が得られる。


中期の「経済成長」を誘導する具体的政策手法としては、「可処分所得増加策」が最も望ましい政策である。短期の「景気回復」を誘導するには、ある程度の財政収支赤字が生まれる状況を誘導することが望ましい。


したがって、民主党はマニフェストで示した施策の財源を100%カバーしようと、遮二無二(しゃにむに)行動しない方が良いことになる。ある程度、財源不足が生まれる程度に財源を調達することが「いい加減」ということになる。


民主党のマニフェストにおける財源調達を、やや気長に取り組むことによって、最も望ましい財政政策が実現できることになる。


民主党は自信を持って進むべきだ。御用メディアと自民党は、少しは経済を勉強するべきだ。頓珍漢(とんちんかん)な主張を叫んで、国民に間違った知識を付与することは、国民を不幸に導く原因になる。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民主党マニフェストを批判する無知な人々(1)

2009-07-29 20:27:51 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

民主党マニフェストを批判する無知な人々(1)
 民主党がマニフェストを発表した。自民党はまだ発表していない。麻生首相は昨年10月に解散総選挙を宣言したのに対応が遅い。細目でまだ調整がつかないらしい。


民主党マニフェストの最大の特徴は、予算を大幅に組み替える点にある。


7月24日付記事


「民主党対自民党:経済成長を促すのはどちら」


をもう一度、よく読みなおしてほしい。


ドイツの財政学者マスグレイブの整理によれば、財政の機能には次の三つがある。


①資源配分機能


②所得再分配機能


③景気安定化機能


 一般会計、特別会計を合計すると、年間の政府支出は207兆円に達する。この207兆円をどのように配分するのかを決めるのが政治である。


 政権が変われば、支出内容が変わるのは当たり前だ。政府支出の内容に多くの政策が反映されるのだ。


 民主党はこれまでの自公政権の政治をどのように変えるのか。


 予算の規模を変化させようとはしていないから、これまでの支出を削り、新しい支出に回す。


 大きな特徴で言えば、必要のない公共事業、「天下り」や「天下り機関」、役所へのお手盛り予算、あらゆる分野での無駄、などを徹底的に削減する。


 他方、子ども手当、公立高校の無償化、医療・介護の再生、農業の所得補償、ガソリン税の暫定税率廃止、高速道路の無料化、雇用対策、などを拡充するとしている。


 天下りや公的機関へのお手盛り予算を徹底的に削減すること、必要のない公共事業を実施しないこと、あらゆる無駄を排除すること、は望ましことである。民主党のマニフェストでは、4年後に公共事業削減で1.3兆円、人件費の削減で1.1兆円、無駄の排除や補助金の削減で6.1兆円の財源をねん出するとしている。


 207兆円の支出のうち、国債費などの80兆円、社会保障給付の46兆円、その他繰入金など10兆円には手をつけないから、残りの71兆円の政府支出のなかから、9兆円支出を切り詰めるとしている。13%程度の支出切り詰めは十分可能だと考えられる。


 この金額を切り詰めるのは2013年度であり、4年後だ。


 政府支出のなかの無駄と考えられる部分を切り詰めることは資源配分上望ましいことだ。「小さな政府」を「資源配分上の無駄を排除すること」と定義するなら、この意味での「小さな政府」は望ましい。民主党の政策は、この意味での「小さな政府」を目指すものだ。






 しかし、②所得再分配の機能では、民主党の主張は「大きな政府」を志向するものである。小泉政治の「市場原理主義」は、すべてを市場に委ね、結果における格差を放置した。その結果、政府が守らねばならない人々が悲惨な状況に追い込まれ、多くの国民が没落し、下流社会が形成された。


 民主党はすべての国民が安心して暮らせる、人間性を尊重する政治を志向する。すべての人々の暮らしを支えるため、子育て、医療、年金、介護、経済的弱者支援に、財政支出の多くを振り向けようとしている。


 ガソリン暫定税率廃止や高速道路無料化も、家計の所得を増加させる効果を持つ。


③の景気安定化の視点では、短期の経済政策の課題としての「景気回復」と、長期の経済政策の課題としての「経済成長」に、財政がどのような役割を果たすのかが問われる。


短期の景気安定化と財政の関係で最も重要なことは、財政収支の変化である。財政赤字拡大が非難されることが多いが、景気安定化との関係で言えば、「財政赤字拡大=景気回復誘導」、「財政赤字縮小=景気抑制誘導」になる。


したがって、短期的に景気回復を目指す経済政策とは、「財政赤字を拡大させる政策」ということになる。


他方、長期の「経済成長」は、技術進歩によって促される。人口の増加も影響する。これから未来に向かって成長する産業を育てることが、長期の「経済成長戦略」になる。


③景気安定化機能の視点から民主党の政策をどのように評価できるのかも考えなくてはならない。


民主党のマニフェストに対して自民党議員が批判しているという。メディアが一斉に自民党議員の民主党マニフェスト批判を右から左へと垂れ流すから、何も知らない国民は、民主党の政策に「欠陥がある」と勘違いしてしまう。これは、とんでもない間違いであり、選挙妨害である。


経済学を理解しない自民党議員が、民主党の政策だからと批判し、やはり経済学を理解しない御用メディアがその三流の感想を垂れ流している。


自民党議員の批判はおおむね、以下の三つに要約できる。


①財源が不明確だ。


②バラマキ政策である。


③成長戦略がない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「偽装新党CHANGE」創設とメディア支援に警戒

2009-07-28 19:48:25 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

「偽装新党CHANGE」創設とメディア支援に警戒
次期総選挙を通じての「政権交代」実現は、我が国の歴史上、初めての「市民革命」が成立することを意味する。


「官僚」、「大資本」、「外国資本」の利益を追求する政治を排除し、主権者である国民の幸福を追求する政府を樹立することが「政権交代」の意義である。


この歴史的大事業を成就させるために、政権交代実現を希求する野党勢力は結束して全力を注がなければならない。


「政官業外電の悪徳ペンタゴン=既得権益勢力」は本格的政権交代を阻止しようと死にもの狂いになっている。「悪徳ペンタゴン」は最後の瞬間まで利権死守を諦めないだろう。十分な警戒が必要である。


7月20日付記事


「各社世論調査と総選挙に向けての三大警戒事項」


に記述したように、政権交代を希求する勢力は以下の三点に警戒しなければならない。


①偽装新党CHANGE


②御用メディアの偏向報道と民主党攻撃


③政治謀略


の三点だ。


 「偽装新党CHANGE」については、昨年来、警戒を呼び掛けてきた。


 「偽造新党CHANGE」は以下の五つのグループにより編成されると考えられる。


①自民党内小泉一家


 小泉純一郎氏-中川秀直氏-武部勤氏-塩崎恭久氏-石原伸晃氏-小池百合子氏


②小泉チルドレン


③官僚OBグループ


 渡辺喜美氏-江田憲司氏-高橋洋一氏


④自民別働隊地方首長グループ


⑤民主党内市場原理主義者


 この5グループが結集して「偽装新党CHANGE」を結成するだろう。


いくつかのグループの合流は総選挙後になるだろう。


 このグループは


①地方分権


②霞が関改革


を唱える点で、民主党の二番煎じである。二番煎じなら民主党に合流すればよいのだが、その選択が示されない。なぜなら、このグループは「自民別働隊」であると考えられるからだ。


 民主党の政策と異なる点が二つある。


①市場原理主義を基礎にすえること


②対米隷属主義を基本に据えていること


だ。


 「偽装新党CHANGE」創設の狙いは、民主党に向かう投票を「偽装CHANGE新党」に振り向けることにあると考えられる。


 自民対民主の戦いにおいては、


自民プラス公明獲得票VS民主獲得票


が勝敗を決することになる。


 この問題については、


7月21日付記事


「衆議院解散と油断できない政権交代情勢」


に記述した。以下にその一部を引用する。






 2000年以後の総選挙における比例区得票率と獲得議席数を、自民+公明と民主で比較すると以下の通りになる。


2000年6月25日総選挙


得票率  議席
自民+公明 41% 264
民主    25% 127


2003年11月9日総選挙


得票率  議席
自民+公明 50% 271
民主    37% 177


2005年9月11日総選挙


得票率  議席
自民+公明 52% 327
民主    31% 113


これに対して、本年7月12日の都議選では、


得票率  議席
自民+公明 39%  61
民主    41%  54


であった。


 民主党に対する強い追い風が吹いているが、自民+公明票と民主票は拮抗している。野党が共闘体制を強め、社民、国民、共産支持者の多数が小選挙区で民主党候補者に投票すれば政権交代は実現するだろう。しかし、まったく油断はできない。風向きの変化で情勢はいつでも変化するからだ。


  「悪徳ペンタゴン」の狙いは、「偽装CHANGE新党」を立ち上げて、民主党に向かう投票を「偽装CHANGE新党」に吸収することにあると考えられる。


 重要な問題は、


①偽装新党CHANGE


②御用メディアの偏向報道と民主党攻撃


が結びついて展開されることである。


 テレビメディアを見て気付くことがある。


a.官僚礼賛番組の増加


b.官僚に関する特集企画の増加


c.自民別働隊地方首長の突出したテレビ番組への出演


 テレビドラマ「官僚たちの夏」などは、官僚に対するイメージを向上させるための番組である。現在の現実と程遠いドラマはいまの日本を考える材料にはならない。


 「偽装新党CHANGE」は「官僚OB」が軸になる。この新党を


④自民別働隊地方首長グループ


が絶賛して支持に回る。そして、


②小泉チルドレン


④自民別働隊地方首長グループ


⑤民主党内市場原理主義者


から総選挙候補者が実際に参加する。


 ②から山内康一氏、④から中田宏氏、⑤から浅尾慶一郎氏が参加するだろう。中田宏氏は総選挙に出馬しないと断言したので、中田氏が万が一、総選挙に出馬するなら中田氏は「嘘つき」ということになる。中田氏は民事訴訟をかかえているが、もし、中田氏が「嘘つき」ということになれば、訴訟での中田氏の主張の信憑性(しんぴょうせい)も揺らぐことになるだろう。


③官僚OBグループでは、江田憲司氏が軸になり、渡辺喜美氏が新党を代表するのだろう。


 御用メディアは「日本新党」が結成された当時のように「偽装新党CHANGE」を持ちあげるだろう。


 自民党内小泉一家は、総選挙後に「偽装CHANGE新党」と合流するだろう。


 しかし、「国民の幸福を追求する政府」樹立を目指す、政権交代を希求する国民は、決して騙されてはならない。


 理由は以下の三つだ。


①「偽装新党CHANGE」は、「悪徳ペンタゴン」が既得権益=利権構造を死守するため、本格的な政権交代実現を阻止するために樹立するものだと考えられること。


②「偽装新党CHANGE」の政策基本方針に「市場原理主義」と「対米隷属主義」が据えられると考えられること。


③過去の実績から判断して「偽装新党CHANGE」が「官僚利権根絶」を実現できるとは、到底考えられないこと。


である。


 「悪徳ペンタゴン」の一角を占める御用メディアは、8月30日の投票日まで、民主党を攻撃し続け、「偽装CHANGE新党」を支援するだろう。


 しかし、国民本位の政治体制確立を希求する国民は、決して「偽装CHANGE新党」に投票してはならない。偽装新党の「知られざる真実」を徹底的に有権者に伝えなければならない。


 これまで政治謀略を繰り返してきた「悪徳ペンタゴン勢力」は、今後も政治謀略を仕掛けてくるだろう。冷静に見れば、悪徳ペンタゴンの狙いは一目瞭然だが、御用メディア報道を鵜呑み(うのみ)にすると、判断を惑わされる。私の発言が封じられることを極めて遺憾に思うが、有権者には確固たる信念を持って、本格政権交代実現の方向に向かって行動してもらいたい。


 山内康一氏離党、浅尾慶一郎氏離党・立候補表明、中田宏氏辞任、などきな臭い動きが加速している。


 また、御用メディアと橋下徹氏などによる民主党マニフェスト批判も加速している。自民党はマニフェストを発表もせずに、他党のマニフェストを批判する資格を持たない。


 主権者である国民は、御用メディアを含む「悪徳ペンタゴン」が総力をあげて政権交代阻止に向けて活動している事実を正確に洞察し、確実に「政権交代」に向けて駒を進め、日本の歴史上初めての「市民革命」を実現しなければならない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国共産党幹部と結託するロンドン・シティのポルトガル貴族達

2009-07-28 19:37:03 | オルタナティブ通信


中国共産党幹部と結託するロンドン・シティのポルトガル貴族達


*・・・メールマガジン版オルタナティブ通信、第四回配信予定の、「ロスチャイルドを支配するスイス金融界の円卓会議に顔を揃えるスコットランド貴族達」、を参照。




「福田前首相・辞任の深層」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/106103397.html


「マカオ・ギャンブル市場に現れたユーラシアの未来図?」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/108075385.html


「倒産したはずの銀行が極秘に莫大な利益を上げている」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/109499726.html


「ロスチャイルドの豪華ディナーの材料」、参照。

http://alternativereport1.seesaa.net/article/108228070.html






 世界最大の金融街、英国ロンドンのシティ。

ここが、ポルトガル貴族等によって支配されている事は、既報した。

昨年の、リーマン・ブラザース倒産に続いて世界中で拡大しつつある金融恐慌。その中で、経営危機に陥った欧米金融機関発行の債券・株式、欧米諸国発行の国債に対し、中国共産党が「事実上の最後の貸し手」として投資を継続し、「世界の金融王」として君臨し始めている。

これは、やがて欧米金融機関・国家の経済破綻による債務不履行=デフォルトに際し、中国が「一蓮托生」で滅びて行くか、あるいは逆上した中国と欧米諸国の間で、軍事紛争の引き金になり、米国の代理人である日本・台湾と中国との「戦争に発展する」、大きな火種となる。

 とりあえず「最後の貸し手」となった中国共産党幹部達を、シティの「番人」ポルトガル貴族は、旧ポルトガル領マカオのギャンブル施設、サンズ・ホテル(最近、倒産)、ウィン・グループ、MGMミラージュに「招待」し、ポルトガル貴族=金融マフィアの母国ベネチアのベネチア・ホテルに「招待」する。

ここで、中国共産党幹部は多額の資金を、ギャンブルに「賭ける」。そして常に、共産党幹部が勝ち、胴元・ギャンブル場経営者が負ける事になっている。こうして共産党幹部は大金を手に入れる。

これは、ポルトガル貴族からのワイロであり、中国政府が欧米金融機関の株・社債、欧米諸国の国債を「買ってくれた事への、ペイバック」である。

 このペイバックは、そのままポルトガルの銀行、あるいはスイス、ケイマン諸島等々のオフショアの金融機関に預けられ、共産党幹部達の「個人資産」となり、やがて将来、中国共産党政府が崩壊し、中国が「純粋・資本主義国」となった暁に、元共産党幹部達が、「資本家として中国各地を割拠」し、分割支配する際の「資金源」となる。

こうして中国の「次の時代」が、準備されつつある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

植草一秀氏の収監を目前にして(その3)

2009-07-27 20:41:41 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

植草一秀氏の収監を目前にして(その3)



―企業献金全面禁止の意義-



選挙権を持たない企業が、金の力で、政治を左右してよいのか!






            弁 護 士  鬼 頭  栄 美 子






元最高裁長官が、八幡製鉄献金事件昭和45年最高裁判決は、政治的配慮から、「助けた判決」であると、意見表明






平成5年(1993年)11月2日、岡原昌男元最高裁判所長官が、衆議院「政治改革に関する調査特別委員会」にて、参考人として意見表明した。退官後のことである。



その意見表明をご紹介する(太字、赤字、アンダーラインは、引用者による)。






(なお、岡原昌男元最高裁判所長官は、八幡製鉄事件昭和45年最高裁判決(1970年6月24日)の約4ヶ月後である1970年10月28日に、最高裁判事に就任しているため、この裁判に、判事として関与してはいない。)






・・・(ここから、岡原昌男元最高裁判所長官の意見表明)・・・



(21発言から)



「企業献金の問題につきまして、例の昭和四十五年の最高裁判決(=八幡製鉄献金事件を指す-引用者)がございますけれども、あの読み方について自民党の中で非常にあれをルーズに読みまして、その一部だけを読んで企業献金差し支えない、何ぼでもいい、こう解釈しておりますが、あれは違います。



我々の立場からいいますと、我々といいますか私の立場から申しますと、あの企業献金というのは、法人がその定款に基づかずして、しかも株主の相当多数が反対する金の使い方でございまして、これは非常に問題がある。



・・・・・(略)・・・・・



本来営利団体である会社でございますから、非取引行為、つまりもうけにならぬこと、これをやることは株主に対する背任になります。もし見返りを要求するような献金でございますと涜職罪になるおそれがある、そういう性質を持ったものでございます。・・・・・(略)・・・・・」






(40発言から)



「企業献金そのものが悪とか善とかということよりも、法律的に余り理屈は通らないものであるということだけば申し上げたい・・・・・(略)・・・・・つまり適法性がない・・・・・。・・・・・(略)・・・・・企業献金というものが現在のような形で数百万、数千万あるいは億といったような単位で入ってくるというのは、これは悪です・・・・・(略)・・・・・これはあるべからざることである。だから、これを何とか直してもらわなきゃいかぬ。」






(49発言から―吉井秀勝氏の質問)



「・・・この企業・団体献金の全面禁止ということについてはどういうふうなお考えでしょうか。」






(50発言から)



「できればそういう方向(=企業・団体献金の全面禁止の方向―引用者)に行きたいと思います。・・・・・(略)・・・・・これだけ企業献金がその当時、あれは昭和三十五年の事件でございます、行き渡っておったのでは、最高裁があれをやれるわけがないです、違憲であるとか違反であるというふうなことに。全部の候補者がひっかかるような、そういうことは実際上としてやれない。したがって、あれは助けた判決、俗に我々助けた判決というものでございます。・・・」





(以上、平成5年(1993年)11月2日 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 会議録より)



「国会検索議事録システム」で検索し、トップ画面から「簡単検索」あるいは「詳細検索」に入り、日付、発言者名などを指定すれば、上記発言の全文を読むことができる。






・・・・(岡原昌男元最高裁判所長官の意見表明引用、ここまで)・・・・






岡原昌男元最高裁判所長官は、歯切れ良く意見表明をし、極めて重要な指摘をしている。



特に重要な(40発言)と(50発言)について、指示語を補い「翻訳」すると、次のようになる。






 「企業献金は全面禁止する方向に持っていくのが、正しいと思っている。」






 「そもそも、企業献金は、悪である。そして、善悪以前に、企業献金を、法律的に適法であると理論的に説明することはできない。理屈が通らない。つまり、企業献金は『違法』である。」



 



「しかし、八幡製鉄献金事件(八幡製鉄が、与党政党に献金した事件)が起きた当時、つまり、それは昭和35年のことであるが、その当時、企業献金は、全部の候補者(政治家全員~おそらくは、与党政治家の圧倒的大半と言いたかったのであろう)が受け取っている状況であった。」






「そのような状況で、最高裁が、『アレ』をやれるわけがない。



だから、本当は、適法性がない=『違法』なのだが、『アレ』はやれなかった。」






「『アレ』とは、何か。



司法府に与えられた伝家の宝刀、違憲立法審査権(憲法81条)を行使することである。



つまり、『伝家の宝刀』を抜き、『違憲・違法の判断を下すこと』である。






そのような『アレ』(=『伝家の宝刀』を抜くこと)は、昭和45年の判決当事、全部の候補者(政治家全員~おそらくは、与党政治化の大半)が同じことをしていたから、『実際上』(=『政治的配慮』から)、どうしても、やれなかった。」






「つまり、『赤信号、みんなで渡れば怖くない』状況を前に、『信号は、赤だ』と言うことができず、『信号は、青だった』ことにして、見逃してやった。」






「だから、我々は、八幡製鉄事件のことを、俗に、『助けた判決』と呼んでおるのです。」






以上の翻訳を踏まえ、元最高裁判所長官の意見を要約すると、重要なポイントは次の5点である。






①企業献金は、善悪以前に、そもそも法律的に理屈が通らず、適法性がないこと



②現在のような数百万から億といった企業献金は悪であり、何とか直してもらいたいこと



③企業献金は、全面禁止の方向に向かうべきであること



④八幡製鉄事件が起きた昭和35年当時、政治家が皆受領していたので、最高裁としては、違憲だとか違法だとか言えるわけがなかったこと



⑤八幡製鉄事件昭和45年最高裁判決は、政治的配慮から、やむなく、「助けた判決」であること



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







司法消極主義については、滅多に抜かないからこそ、『伝家の宝刀』なのは当然であるが、あまりに『抜かなさ過ぎ』で、剣が錆付いているのではあるまいか。憲法が司法府に与えた責務を十分に果たしていないのではないか、との疑問を呈しておく。






そもそも、司法府は、少数派の人権擁護の砦であり、多数派の横暴を、法理論と理性をもって制することこそが期待されている。



しかし、上記岡原昌男元最高裁判所長官の意見表明でも明らかなように、残念ながら、司法府は、万能薬ではあり得ない。



また、そもそも、司法の力では、いかんともできず、立法の力をもって局面を打開しなければならない場面も多い。






立法を担当するのは、憲法上は、立法府(憲法41条)である。



そして立法府のメンバー、つまり明日の国政を担う議員達を選ぶのは、有権者たる国民(憲法15条、43条、44条)である。






主権者である個々の国民(有権者)は、選挙を通じて、政治の方向性・あり方を決めることができる。国民(有権者)一人ひとりの手に、国の行く末を決定する一票が委ねられている。その集積こそが、国の未来を決定する。



「偽装CHANGE勢力」に騙されることなく、賢く投票しなければならない。



票を集中させることがポイントである。






また、総選挙の際には国民審査も行われること(憲法79条2項、3項)を、忘れてはならない。国民審査は、国民が裁判所に対して直接に意見を言える、数少ない貴重な機会である。無駄にしてはならない。






ブログや掲示板投稿などを通じ、自由闊達に政治的意見を表明することも、現在であれば可能である。「おかしい」ことは、「おかしい」と意見表明していくこと、それもまた政治への参画であり、大きな意義がある。






① 一人ひとりの個々人が、自分にできることを考えて行動すること、



② 次期総選挙で、賢く投票すること、そして、



③ 優れたオピニオン・リーダーである植草一秀氏を、見守り続けること



が重要であると考える。






とりあえず、何をしたらいいか分からないという人は、



(A) 植草氏ブログ、また、植草氏ブログで紹介された各ブログへの応援クリックを、毎日必ず押し続ける



のが良いと思う。



(B) そして更に重要なことは、それらのブログを、周囲の人達にどんどん薦めていくことだと



思う。






植草氏ブログには、植草氏の珠玉の論考が連日綴られている。それは世相に鋭く切り込み、悪徳ペンタゴンの隠れた意図を剥ぎ取り、警鐘を鳴らすものである。目からうろこが落ちること請け合いだ。まだの人は、最初から通読することをお薦めしたい。



より多くの人達が植草氏ブログを読むようになり、また、人気ランキングが更に上がれば、今以上に多くの人達が植草氏の意見を目にするだろう。



転載先の阿修羅掲示板での拍手クリックも同様である。






植草氏不在中も、毎日、応援クリックや拍手クリックを押し続けてほしい。



一人ひとりの小さな一歩の積み重ねが、大きなうねりとなり、歴史を動かすと信じている。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

植草一秀氏の収監を目前にして(その2)

2009-07-27 20:19:45 | 植草一秀氏の『知られざる真実』



植草一秀氏の収監を目前にして(その2)






―企業献金全面禁止の意義-







選挙権を持たない企業が、金の力で、政治を左右してよいのか!












            弁 護 士  鬼 頭  栄 美 子









企業の政治献金にお墨付きを与えた判決が、八幡製鉄政治献金事件最高裁判決(企業献金の是非が争われたリーディング・ケース)である。




 







「日本をダメにした10の裁判」(チームJ著、日経プレミアシリーズ)は、

「憲法で強い独立性を認められている裁判所も、現実には国家機関の一つであり、積極的に『国策』を進めることはしないまでも、『国策』遂行にあえて異議を唱えず、追認することもあるのではないか。


こうした疑問を持つのは、ときとして裁判所が、『国策裁判』と呼ぶしかない判決を下すからだ。その代表格が、八幡製鉄政治献金事件である。(太字・赤字・アンダーライン-引用者)」と述べ、日本をダメにした10の裁判の1つとして、八幡製鉄事件昭和45年最高裁判決を挙げている(第六章 「企業と政治の強い接着剤」)。




「国策捜査」という言葉は、佐藤優氏の「国家の罠」での造語であるが、瞬く間に世間に定着した。「日本をダメにした10の裁判」(チームJ著―下記(注)参照)の109頁は、法曹関係者等が、「国策裁判」という言葉を使ったものであり、その意味で目をひく。


(注) 「チームJ」は、バブル末期に東京大学法学部を卒業し、その後、検事、企業法務弁護士、官僚と多様な進路を辿ったメンバーで構成される。




第四章は、「あなたが痴漢で罰せられる日-痴漢冤罪と刑事裁判-」と題し、2007年に公開された映画、「それでもボクはやってない」(周防正行監督)を例に引いている。痴漢事件が、類型的に、安易な事実認定を招きやすい特殊性を有していることについて、分かりやすく説明している。




第九章は、「裁判官を縛るムラの掟」と題して、寺西裁判官分限事件を取り上げている。裁判所内部の「ムラの掟」に背き、国民にとって有用な問題提起の声を上げた裁判官が、異端者としてどのような処分されたか、そして、その場合、救済の道が不存在であることについて、書かれている。




第十章は、最高裁裁判官の国民審査を巡る大法廷判決(最高裁昭和27年2月20日)を、ダメ判決として挙げている。「×」をつけない白票の場合、非罷免票(裁判官を支持している投票)として扱われる現行審査手法について、最高裁が、「全員一致」で、「是」とした判決である。


「本来、国民審査は、国民が裁判所に対して直接に意見を言える、数少ない貴重な機会である。それなのに、ひっそりと目立たない存在になっている。その大きな要因が、国家機関の思惑の一致にあるように思えてならない。」と、著者であるチームJは語る(太字-引用者)。


読み易く、面白い本である。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












八幡製鉄政治献金事件

に話を戻し、その概要を記す。






昭和35年3月14日、八幡製鉄の代表取締役Yら2名は、会社の名において、自由民主党に対し、政治献金として350万円を寄付した。これに対し、同社の株主Xが原告となり、会社の蒙った損害(350万円と遅延損害金)を賠償せよと、Yら2名を被告に、株主代表訴訟を提起した事件である。






第一審

(東京地判昭和38年4月5日。判時330号29頁)は、




「本件行為は、自由民主党という特定の政党に対する政治的活動のための援助資金であるから、特定の宗教に対する寄付行為と同様に、到底・・・一般社会人が社会的義務と感ずる性質の行為に属するとは認めることができない。政党は、民主政治においては、常に反対党の存在を前提とするものであるから、凡ての人が或る特定政党に政治資金を寄付することを社会的義務と感ずるなどということは決して起り得ない筈である。」と述べ、




会社が、特定政党に対し、政治資金寄付行為(政治献金行為)をなすことは、定款所定事業目的外の行為に当たり、定款違反および取締役の忠実義務違反行為を構成すると論拠付け、代表取締役両名は、損害賠償義務を免れないとして、原告X(株主)の請求を認めた。






第二審(東京高判昭和41年1月31日)は、逆に原告X(株主)を敗訴とした。会社は、個人と同様に一般社会の構成単位であることから、社会に対する関係において有用な行為は、株主の利害との権衡上の考慮に基づく合理的な限度を超えない限り、取締役の忠実義務違反を構成しないと判示した。











最高裁(昭和45年6月24日大法廷判決)は、原告X(株主)の上告を棄却した。










最高裁は、会社は「自然人とひとしく、国家、地方公共団体、地域社会その他の構成単位たる社会的実在」なのであるから、「ある行為が一見定款所定の目的とかかわりがないものであるとしても、会社に、社会通念上、期待ないし要請されるものであるかぎり、その期待ないし要請にこたえることは会社の当然になしうるところである・・・」。




「憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものであることは、所論のとおりである。しかし、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施術に対し、意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。のみならず、憲法第三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄付もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄付と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。」と述べた(太字・アンダーライン―引用者)。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




恐るべき暴論である。「政治汚職の勧奨」であるとの批判も聞く。






最高裁判決は、「選挙権その他のいわゆる参政権が、自然人たる国民にのみ認められたものであることは、所論のとおり」としつつも、「納税者論」に立脚し、企業の政治献金により、「政治の動向に影響を与えることがあったとしても」、別段構わない、と強弁している。






このような論は、政治献金に対する一般の常識と甚だしくかけはなれた「政治献金奨励論」(服部栄三・商法の判例

)であり、また、




(結論的には政治献金肯定説に与する立場からも)、憲法論としては、「とんだ勇み足の議論」(鈴木竹雄・商事法務研究531-112

)であると批判されている。






なお、本判決については、第一審判決に理論的支柱を提供した、政治献金否定説の代表的論客であった富山康吉教授(富山康吉・民商47-3,5,6

)と、商法学者の立場から、結論的には政治献金肯定説に立った鈴木竹雄教授との論戦が著名であるが、その鈴木教授も、「私自身(も)、会社が政党の主要な資金係になっている現状を苦々しく思っている点では人後に落ちる者ではなく、何としてもそれは是正しなければならないと考えている。」と苦言を呈していた。






「政治汚職の勧奨論」と酷評されたこの昭和45年(1970年)最高裁判決以降、企業の政治献金は益々巨額化し、政治とカネの悪性結合は、更に深刻化の一途を辿った。





政界は、事あるごとに、「企業の政治献金それ自体の合法性は、最高裁も認めている」として、本判決を「言い訳」として利用し続けた。企業の政治献金が、恒常的に政治腐敗を助長する事態となったが、本判決を理由に、抜本的浄化はなされなかった。


まさに、「『金権政治』改革のための議論の足をひっぱってきたのが、この判例」(樋口陽一・個人の尊厳と社会的権力-40

)なのである。






時代背景を考えれば、やむを得なかったとの見解もある。


確かに、判決時は、「米ソ冷戦構造」の大きな流れの中にあった。それゆえ、政府・与党は、西側陣営の一員として、財界と共に、自由主義経済体制堅持を、国策と位置づけていたであろうことは、想像に難くない。そのための企業献金であったとの思いも、一部には、あるかもしれない。




しかし、仮にそうであったとしても、最高裁の判断を正当化することはできない。司法府は、司法の観点から判断を下すべきであって、政治に阿(おもね)ることがあってはならない。


主権者国民の参政権が実質的に侵害されている状況を救済することなく、法理論を放棄し、立法・行政を握る与党政治家や政府に迎合し、金権政治存続に都合の良い判決を出していたのでは、憲法が、権力分立(憲法41条、65条、76条)を定めた意味もなければ、司法権の独立(憲法76条以下)を保障した意味もない。




八幡製鉄献金事件昭和45年(1970年)最高裁判決は、司法府が政治に阿(おもね)り、政治腐敗状況を糾すことなく、むしろ、これに加担した一例として、まさに、「国策裁判」と呼ぶにふさわしい(この点、(その3)に後記する元最高裁長官の意見表明-特に、赤字アンダーライン部分-を、じっくり読んでほしい)。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする