心和む親書が半島往来!<本澤二郎の「日本の風景」(3617)
<新型コロナウイルスが取り持つ南北和解の動きに期待>
気まぐれに行動する米大統領のトランプを見限ったのかもしれない、北朝鮮の金正恩が、珍しく韓国大統領として内憂外患よろしく、悪戦苦闘している文在寅に心温まる親書を送ってきた。直ちに文在寅も返書を出した。朝鮮半島の心和む友情を印象付けている。
新型コロナウイルスが取り持つ南北和解の深化と評価したい。
<大衆は愚にして愚なり>
今朝ほど早めに車を出した。ゴミ袋が少なくなったので、スーパーとドラッグストア、それにコメルにも寄ってみたが在庫がなかった。そのさい、観察してみたのだが、マスクは当然のことながら、便所で使用する紙類の棚も空っぽだった。
ここは首都圏とはいえ田舎町である。それでいて、このありさまだ。改めて「大衆は愚にして賢」ではない。愚にして愚なのだ。日本列島全体がそうであろうから、気が滅入るばかりである。
他方で、朝鮮半島ではトップ同士の友情が開花してきている。南北の政治交流が、民間交流へと拡大すれば、半島の前途は明るくなる。
<金正恩親書を正視すれば、半島の前途に希望>
現在、世界は大恐慌の嵐・パンデミック大不況へと突入している。ニューヨークや東京、ロンドン、フランクフルトの様相から推論できる。
日本の大馬鹿らは、相変わらず五輪開催による国家威信と莫大な経済利権に取りつかれているが、アメリカは新型インフルエンザの猛威に加えて、新型コロナウイルスでパニックが起きている。
民主党大統領候補選びで、リベラリストのウォーレンが、同じリベラリストのサンダースを支持すれば、アメリカは正常化するはずだったが。
男女差別は許されないが、女性の政治家はいまだドイツで成功しているくらいである。日本の森雅子や稲田朋美などお話にならない。コロナが世界の経済と政治地図を変えてしまうだろう。
混乱・混迷の中で、朝鮮半島はいい方向に変化していくと、韓国の4月選挙にもリベラル派が勝利することになろう。
<人間は困ったときに相手を支えられるか、で友情が生まれる>
人間の真価は、相手が困ったとき、どれだけ誠意で支えられるか、この一点で友情は決まる。
私事では、これまで二人の恩人がいた。平和軍縮派の巨頭・宇都宮徳馬さんである。筆者が自由人として自立する深刻な場面で、両腕で抱きかかえてくれた。憲法が否定している国家主義に抵抗するペンは、宇都宮遺言による。
もう一人は、人権派弁護士の第一人者だった遠藤順子女史である。訪中歴100回は彼女のお陰だし、中国・河北省の見才溝小学校を希望小学校として再建したことも、女史の支援なくしてできなかったことだ。
反対に、中国でなけなしの大金を詐取されたとき、北京の友好団体責任者は、協力してくれるどころか、軽くいなされた。門前払いだ。この時、筆者を理解してくれた中国外交部の長老の肖向前さんは、この世にいなかった。
金正恩と文在寅の友情が、朝鮮半島を必ずや変えてゆくだろう。断言したい。大国に翻弄されない自立国家として成功を収めるに違いない。
参考までにいうと、WHOに報告されている新型肺炎の数値は、真実に程遠いといっていい。日本のそれを、米CNNはまともな専門家の分析を、大きく報道している。
平壌には、1993年に石井一団長が率いた、超党派の訪朝団に加わる幸運に恵まれ、一度だけ訪問した。平壌の美しさが忘れられない。金日成の「我々は地球と共に歩む」に希望を託したものだが、その時が2020年であってほしいものだ。
2020年3月7日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)
韓国の新型コロナ感染者 322人増え6千人超=死者40人
金正恩氏が親書 韓国の新型コロナ克服を祈願=文大統領も返書
【ソウル聯合ニュース】韓国の青瓦台(大統領府)は5日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が親書のやり取りを行ったと明らかにした。金委員長は親書で、新型コロナウイルスや朝鮮半島情勢などについて言及した。
青瓦台の尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官は記者会見で、「金委員長がきのう、文大統領に親書を送ってきた」として、「金委員長は新型コロナウイルスと戦っている国民に慰労の意を伝えた」と述べた。
また、「必ず乗り越えられると信じている。南の同胞の大切な健康が守られることを願う」と言及したという。
その上で、尹氏は「金委員長は文大統領の健康を懸念し、心でしか伝えられない状況を残念がる気持ちを表した。文大統領が新型コロナウイルスを必ず克服できるよう応援するとして、文大統領に対する変わらない友情と信頼を表した」と明らかにした。
朝鮮半島を巡る情勢についても「率直な考えと立場」を表明したという。
これに対し、文大統領は5日、金委員長に謝意を盛り込んだ親書を送ったという。
ただ、尹氏は南北首脳の親書の具体的な内容に関し「詳細を明かすことは外交上適切ではない」と述べるにとどめた。
南北首脳による親書のやり取りは今年に入って初めて。金委員長は昨年10月30日、文大統領の母の死去を受けて弔意を伝え、文大統領は同年11月、韓国・東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議の前に金委員長を同会議に招待する親書を送っていた。
南北関係を巡っては北朝鮮が今月2日に飛翔(ひしょう)体を発射したことに韓国政府が遺憾を表明。これに対し金委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長が談話を通じて青瓦台を強く非難した。
文大統領は今年初めから朝鮮半島の平和プロセスの進展に向けた南北協力事業を推進する考えを示しており、親書のやり取りを機に南北対話の再開など南北協力の糸口が開かれるか注目される。(聯合ニュース)