①【総選挙】前原-小沢が解散の日にぶつけた超ド級の奇策
2017年9月28日 田中龍作ジャーナル
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前原代表は、両院総会の冒頭あいさつで「名を捨てて実を取る。ご理解頂きたい」と議員らに呼び掛けた。=28日、民進党本部 撮影:筆者=
「どんな手段を使っても安倍政権を倒す」と執念を示す前原・民進党代表。
小池ゆり子都知事率いる「希望の党」との合流に向けて超ド級の奇策を繰り出した。それは衆院解散直後のきょう午後開かれた民進党の両院総会において満場一致で了承された。
常任幹事会が提案した奇策3項目は―
1、今回の総選挙における民進党の公認内定は取り消す。
2、民進党の立候補予定者は「希望の党」に公認を申請することとし、「希望の党」との
交渉及び当分の間の党務については代表に一任する。
3、民進党は今回の総選挙に候補者を擁立せず、「希望の党」を全力で支援する。
民進党の立候補予定者は離党したうえで「希望の党」に参加し、「希望の党」の公認候補として出馬するのである。
ただ前原代表は「民進党代表」として党に残る。参院議員がいて民進党はしばらく残存するからだ。
ここがミソである。前原代表が民進党に残るのは、小池新党にハシゴを外された時、あるいは新党が空中分解した時の保険だ。
約100億円という巨額な資金はまだ民進党にある。選挙で50億円使わせられたとしても、前原代表は残る50億円を管理することになる。
前原代表が衆院選挙に立候補することは確実だが、どのような形で立候補するかは未定だ。
枝野代表代行は小池新党に行けば一議員でしかなくなる。さりとて無所属で出馬するのは難しい。すっかり憔悴していた。=28日、民進党本部 撮影:筆者=
立候補を希望する民進党議員の名簿は前原代表が一括して小池新党(希望の党)へ提出する。公認を決めるのは小池代表であるので、誰がはじかれるのか、確定的なことは現時点では分からない。
民進党との合流は小池新党にとっても有難い話だ。民進党は候補者一人あたり供託金600万円(小選挙区+比例)と公認料1,500万円の計2,100万円を支給する。
持参金つきである。小池新党にはない地方組織も持つ。しかも連合もつく。資金力+組織力+話題性は、自公にとって大きな脅威となるだろう。
前原誠司氏が代表に就く前から小沢・自由党代表は、政権交代に向けて知恵を授けていた。小池ゆり子氏とも気脈を通じ、伏兵を送り込んでいた。仕掛け花火のような「小沢の秘策」が炸裂したのである。
前原代表は記者会見で記者団から共産党との選挙協力について問われると「1対1に持ち込む」と繰り返した。
前原代表によれば、小池新党(希望の党)から出馬した民進党議員が民進党に戻って来ることはない。解党が始まったのである。
両院総会、懇談会、代表記者会見の会場となった永田町の党本部には、かつてない数のメディアが詰めかけた。身動きが取れないほどだ。最盛期の政権交代時(09年)でもこれほどの人数はいなかった。
安倍首相が解散日恒例の記者会見を開かなかったこともあり、メディアは民進党に釘付けになった。独裁者が腰を抜かす奇策は、そこにぶつけられたのである。
事実上の解党を決める総会に、かつてないほど多くのメディアが集まった。崩壊過程に入った政党が政権選択選挙のキャスティングボートを握る。政治の皮肉だろうか。=28日、民進党本部 撮影:筆者=
(終わり)