雨の知床紀行(下)<本澤二郎の「日本の風景」(3457)
<北海道温泉大浴場の致命傷?>
過去にツアーの旅というと、格安のパリと豪州くらいで、あとの中国の場合は、ほとんどが取材を兼ねたものだった。本格的な日本旅行は、今度が初めてといっていい。若ければ、マイカーで行くのが最善だろうが、もうその力がない。北海道の温泉場をめぐってみて感じたことが、二つほどある。北海道に限らないだろうが、それは入れ墨やくざ対策と大浴場の衛生対策である。
これをいい加減にすると、命の危険にさらされる。ぜひともホテル・旅行社などの関係者は、手抜きをしてはならない。
<入れ墨やくざ排除の表札が消えていた!>
地元千葉県の大浴場には、入れ墨NOの表札が出ている。当たり前のことで、ここはやくざが跋扈している土地柄のためだ。
ところが、北海道のホテル・旅館にこれの表札・表示がなかった。
すばらしい自然の宝庫も、入れ墨やくざに甘いと、大変な事態が起きる。そして起きても、こそこそと隠して処理するため、繰り返し起きる。
恥ずかしいことに、このことに気づいたのは2014年のことだから、まだ5年前のことである。やくざ代議士を傍観していても、深刻に認識することはできなかった。身近なところでの事件に遭遇しないと、人間はいい加減に構えてやり過ごしてしまう。
昨年国際社会を揺るがした#MeToo運動で、過去に強姦された女性が声を上げ始めた。日本ではTBS強姦魔の山口に襲われた伊藤詩織さんが一人決起して、国民を驚愕させた。犯人は安倍晋三の仲間ということで、警察と検察が協力して、彼女の訴えを拒絶した。
この大事件は、国際的な反響を呼んだが、日本の新聞テレビは大きく報道しなかった。それどころか、NHKと大手新聞はいまだ頬かむりしている。自民公明の女性議員は沈黙した。
<やくざ=覚せい剤=レイプ性奴隷=木更津レイプ殺人事件>
筆者は、やくざ浜名に強姦・性奴隷を強いられた戦争遺児の美人栄養士のK・T子さんが、逃げ出そうとしてドーカツされ、その衝撃で、突発性の大動脈りゅう破裂で、非業の死を遂げた「木更津レイプ殺人事件」を取材して、強姦魔で生き抜いてきているやくざの正体を知った、それ以来からである。
やくざが覚せい剤を独占している理由も理解するようになったのだが、この悪魔の薬について、いまだに多くの女性は無知である。筆者も、この薬物の恐ろしさを知ったのは、元巨人軍選手の清原事件によってである。
伊藤詩織さん事件でも、薬物を使用している、と専門家は認識している。山口は本当に許しがたい悪魔人間である。
彼女は勇気を出して声を上げたが、K・T子さんは最期まで110番通報しなかった。やくざの手にかかった女性は、二度と太陽を拝めないのである。
幸い、犯人も共犯者も判明している。千葉県警がいつ逮捕するのか、それともしないのか、の場面である。武田国家公安委員長がどう出るのか、注目しているところだ。
<フィリピン監獄は入れ墨やくざ=圧倒するドゥテルテ大統領人気>
いまフィリピンの歓楽街は明るくなってきている。日本やくざが輸出した入れ墨やくざを撲滅している、その成果が表れているせいだ。
片っ端から逮捕して、監獄にぶち込んで、容赦しない。抵抗するやくざを銃殺している。これにフィリピンは沸き返っている。大統領のドゥテルテの指導力に、フィリピン女性は熱狂的に彼を支持している。
日本やくざのフィリピン支部は崩壊したかに見える。お見事である。
<中国習近平体制は黒社会撲滅に力こぶ>
フィリピンの実績に影響を受けたのかもしれない、中国も動き出している。
香港を大英帝国に割譲された中国の麻薬対策は、他国に比べて強力である。麻薬を所持する者は、外国人を含めて極刑・厳罰で対処している。
やくざ暴力団を私兵として囲っているような日本の政界・財界は、国際社会でも日本くらいであろう。
軍事政権下の韓国では、やくざはいなかった。今どうだろうか。日本から輸出されているかもしれない。日本やくざの拠点支部は、東アジアから東南アジアへと拡大して久しい。
<おしり洗浄の義務付け表示も不可欠>
入れ墨やくざ対策ともう一つは、大浴場の衛生対策である。
日本の男たちは、どういうわけか、お尻を洗浄して、それから湯船につかるという躾がないかのようだ。
これは北海道の温泉に限らない。どこでも見受けられる光景である。ゴルフ場でもそうだ。
したがって、大浴場はばい菌の巣となってしまっている。体力の衰えた老人や免疫力の低下した人は、性病などに容易に感染するだろう。
13年間、息子の介護のため、体力維持のため、JR大井町駅ビルのジムに5年間通った。当初はプールも利用したのだが、途中でやめた。どうしてかというと、老人の中には、水中で漏らしたりすることに気付いたためである。
スタッフは浴場を含めて水質検査をしているが、正直なところ、心もとない。皮膚病感染は日常茶飯事といってよい。
幼子たちのプールなども同様であろう。
お尻を洗浄しないと、湯船に入れない、という躾が不可欠である。大浴場の入り口に、わかりやすい表札を出すと、効果が出てくるだろう。
<韓国人は消えて、中国人で支えられる温泉街>
安倍暴政で、日韓関係は破壊されてしまった。その結果、韓国人の観光客の姿が消えてしまった。彼らの愛国心を軽視すべきではない。
アイヌの憤怒は、韓国・朝鮮の人たちにも拡大している。戦前派政権の行き着く先とはいえ、これの損失は計り知れないものがある。アベの心臓に問題があるのである。
今回の観光地での出会いは、中国語を話す人々ばかりだった。中国人観光客は、いまもおう盛である。一握りの金持ちといっても、その規模は日本の人口に相当するわけだから、その威力は絶大である。
しかし、安倍・自公内閣の5年間は、中国脅威論に徹して、そのために60兆円もの血税をばらいたことを忘却すべきではない。極右政権の危ない点である。秘密結社のような日本会議監視を怠ると、恐ろしいことになる。
<網走の囚人が作り上げた北海道>
知床から旭川に向かう途中、網走を通り抜けた。オホーツク海の近くにできた監獄は、当初は死刑囚のためのものだった。その中には政治犯も多く含まれていたであろう。
彼らのほとんどは、奴隷として北海道の道路建設や炭鉱採掘などに動員されて亡くなっている、とガイドの浅井女史や添乗員の長岡さんが教えてくれた。全く知らなかった史実である。
これを学習したのが、ソ連のスターリンだったかもしれない。敗戦時に中国にいた関東軍をシベリアに抑留、60万の捕虜を山林や鉄道の開発に従事させた。そこで無数の日本兵が亡くなった。対して、中国の方は、しっかりと教育を施して無事に帰還させた。この点だけでも、昭和天皇の責任は重大で、万死に値するだろう。国民の思いである。
昭和天皇の政治責任は、今後はより鮮明にされるだろう。その根っこは、天皇制を導入した明治にあるのである。
<気になる温暖化は北海道にも>
ガイドの説明を聞いているとこの素晴らしい北海道の大自然、アイヌの北海道もまた、地球温暖化を受けている様子を理解できた。
紅葉が始まった地域、これからという地域や台風被害など、過去には想定できなかった事態が起きているという。彼女は地震で3日間、停電に遭ってひどく苦しかったと語っていた。千葉県は15号台風で、愚かな知事のお陰もあって、それが半月にも及んだ地域もあった。
<十勝川・阿寒湖・温根湯の温泉宿の採点>
今回の短期ツアーで3か所の温泉ホテルに泊まった。十勝川筒井温泉・阿寒湖温泉・温根湯温泉であるが、それぞれに印象を受けた。
十勝川の筒井温泉のつるつるした温泉は、肌に気を遣う女性に喜ばれるだろう。三度も入浴した。ここの漬物もよかった。
阿寒湖温泉では、朝食のバイキングのあと、ロビーで阿寒湖を眺めながら、コーヒーをサービスしてくれた。これはうれしかった。誰も自由に飲めるのである。温泉街のコンビ二を除くと、なんとスペインワインがボトル1本で400円と安いので、部屋で飲むことにした。池田町ワインは1000円以上だから、まもなく見捨てられるか、値段を下げないと生き残れないだろう。
かつてはアイヌの保養所のような場所だったという温根湯温泉は、大浴場が立派だった。飲み放題のアルコールに挑戦したが、生ビール中を二杯飲んで、それ以上は無理だった。久しぶり塩辛を食べることができて満足した。
総括すると、アイヌの人たちを虫けらのように追い出して、そこを占拠した和人の暴走に気も滅入る旅ともなった。アイヌの文化を反映させることで、この美しい台地を永遠に維持すべきだ。日本政府の責任でもあろう。
2019年10月8日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)