十一月十三日 晴、滞在。
晴れてありがたかった、へんろの旅には何よりもお天気がありがたい、うすら寒い。
八時――十一時行乞、いやでいやでたまらないけれど、食べて泊るほどいただくまで、――三時まで行乞、かろうじて銭三十四銭米五合、頂戴して帰る、一杯頂戴してほっとする。……
同宿同室一人ふえる、若い易者だ、なかなかのリクツヤらしい。
――銭一銭米一合残っているだけだ!
ひなたまぶしく飯ばかりの . . . 本文を読む
第三九課 入学試験に臨んで
私の知人の息子が、嘗て小学校卒業の年、中学校の入学試験に失敗し、翌年は信仰によって立派に合格した例があります。
その少年は、小学校時代は、組でも中以上の成績でしたが、随分と小心者でしたから、いざ中学校の入学試験を受けようとすると、試験場で胸がどきついたり、口が乾いたり、すっかり逆上して、何度も勉強したところを思い出せなかったり、自分の受験番号や名前さえ書き落 . . . 本文を読む