現代の日本人には『あの世』の存在への感覚が戻ってきています。
統計数理研究所『日本人の国民性調査』(2008年)では、『あの世』を“信じる」という人は1958年の平均20%から50年を経て2008年は平均38%へと倍増しており、特に20歳代では49%と半数が「信じる」としています。
あの世の存在を信じるという気持ちは「いのち」への深い愛情と惜別の念なくしては生じえません。こう考えれば日本人、特に若 . . . 本文を読む
十一月十日 晴、朝寒、行程八里、高知山西。
――よう降った、夜明けまで降りつづいたが、朝はからりと晴れわたって、星がさえざえと光っていた、――助かったと思う、幸福々々(宿もよかった、ほとんど申分なかった)。
七時出立、松原がよろしい、お弁当のおもいのもうれしかった、赤岡町まで二里半、途中行乞(功徳は銭七銭米六合)。
午後はひたすら高知へ強行した、申訳ないけれど、第二十八番、第二十九番は遥拝で . . . 本文を読む
第三六課 ハムレット
ハムレットは、叔父に父を殺され、殺した叔父に母は嫁ぐ。自分はその叔父すなわち彼の恋人の父を殺さねばならない。しかも恋人はそのために狂死する。およそ世界の悲劇を一人で背負ったような青年です。それから彼はいちいち几帳面に仇敵に、それ相応の復讐を遂げ、自分はわざと恋人の兄の刃にかかって死にます。因果応報の道具にだけこの世に生れて来たような青年です。彼が台詞の言葉で言うように . . . 本文を読む