『また次に竜王、もし偸盗を離るれば即ち十種の保信すべき法を得る。』
次に不偸盗戒を弁じます。私老が高野山から京都に出るとき淀川の夜船といふのへ乗ったが、その中に三十ばかりの男が居って、「私は若い時から悪いことをしたことがない」と言うた。善悪の基準がわからぬから何がよいことかわからぬ。悪事を悪事と知らぬから悪事をしたことがないというのじゃ。・・もともと子として父母に不幸ならば即ち一種の偸盗と心得れば . . . 本文を読む
「覚りと空」(竹村牧男)では、
[大乗仏教の根底には『空』の思想がある。特に我(主体的存在)の空のみでなく、法(客観的存在)の空をも説いたことが部派佛教とは決定的にことなる点であった。『我空法有(我は空であるが法則は有である)』に対する『我法俱空(我も法則も空である)」』あるいは『人法二空』の立場こそ、大乗の世界観の核心である。・・主体的存在として構想されている我も、事物を構成する要素的存在として . . . 本文を読む
華厳経巻十明法品第十四「(菩薩は)諸々の衆生の種種の因縁を知り、種の衆生の心、心の念所を知る。心念を知りおわりて対治の法を教ふ。貪欲多き者には不浄観を教へ、瞋恚多き者には大慈観を教え、愚痴多き者には教えて一切の諸法を分別せしめ、三毒(貪瞋痴)等分の者には教ふるに勝智の法門を具足するを以てし、生死を楽ふものには三種の苦を教え、諸有に著するものには空の法門を教え、懈怠の衆生には精進を行ずることを教え、 . . . 本文を読む