福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

坂井智宏師ご法話の会まとめ

2010-12-20 | 法話
12月18日は福聚講設立以来恒例になっている年末の法話の会が高円寺の長仙寺で開かれ、今年も四国霊場会会長で26番札所金剛頂寺ご住職、定額僧坂井智宏さまにお越し頂いて法話をいただきました。20名が拝聴しました。また2次会は今年も「がぶり」で開催、坂井さまにはさらに親しくお話いただくとともに、年忘れの会としました。

法話の骨子を再録します。なお、内容の不備はひとえに鈴木の理解不足によるものです。あらかじめお詫び申し上げます。

(ご法話)
日本文化は神仏混合によって深まってきた経緯があるが、明治の神仏分離令によって仏像が海外流出するなどの事態になった。岡倉天心らの活動で一部は還流できたが、そのことをいまの我々が忘れてはいけない。

四国遍路は戦後廃れていたが、弘法大師ご生誕1200年や伊予鉄のバスツアーなどからまた人数が増えた。以前は先達が多くの遍路を連れてお参りの作法をおしえて回ったものだが最近は本四架橋できて車で回るのでファミリー化している。さらに歩き遍路が3-4年前から増えている。若者の自分探しという面も見られる。自殺者激増の現代なので、「そういう人は四国を廻ってはどうか」と提案もしている。「遍路道を世界遺産に」という声もあるが、モノを指定する傾向が強い世界遺産なので、「遍路文化」の資料作りに文科省は苦慮しているようだ。信仰心は百年単位で盛んになったり衰えたりの波を描いているようだ。その意味でこれからまた新しい信仰心の時代に入ると思っている。今、国も人の心も混乱しているが「心地観経」では四恩を説いている。人がこの世で受けている父母・衆生・国・三宝(仏法僧)の恩である。これからはこの四恩に報じるということが考えらるようになるのではないか。

般若心経は日本文化の底流に流れてきたもの。十二因縁などを踏まえた小乗仏教の教えという側面もあるが、後半に説かれる咒では「皆で一緒に(さとりへ)すすみましょう」ということになり、ここは弘法大師空海のいう「密教は各宗の教義を統合した教え」につながる。死後については、三つの考えがある。死後も魂が継続するという考え方、すべてが無になるという考え方があるが、般若経系の教えではそのどちらでもない第三の考え。すべては条件により生じ滅するとする「空」という考え方が提示されている。

般若心経は意味を考えておとなえするのもいいが、苦しい時、心がまとまらない時は納得するまで何回でも続けて唱えるといい。必ず心が納得する時が来るものだ。

般若心経の本はいろいろあるが、これも三種に分かれる。学者、僧侶によるもの、寂聴さんら人気者によるもののほかに最近は「般若心経によって生かされた」という体験記が数種類出ているので、それぞれを読むと良い。弘法大師空海の著作を分りやすく解説したものには、加藤精一師が角川ソフィア文庫で出している『空海「三教指帰」』、『空海「秘蔵宝鑰」』がある。2011年5月には同じ著者の「般若心経秘鍵」も出るので、まとめて読むといいでしょう。

(出席者27名でした。新しい方も相当お見えでした。)
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