原人論・・その7(最終)
「最後に私(宗密)は諸教の学徒のみなさんに一言したい。仏道の完成を意味する『仏陀となる』ことを目標におくならば、・・何が仏法の根本であり枝葉であるかを充分に洞察すべきである。枝葉を捨て根本に帰り自らの心原に照らして見ることが必要である。粗大なる妄念がことごとく尽き微細な無明も除去できれば霊妙なる真性(真如の法性、真実の心性)がはっきりと顕現し、どのような真理にも到達できる自在な境地がそこに開かれる。この真実なる人間の心性こそ法身佛(宇宙の根本原理)であり、英知としてそれを実現した人が報身佛(阿弥陀如来、薬師如来等)であり、現実の時代と場所に応じて自然に活躍できる主体を化身佛(生身の御姿をお示しになったお釈迦様、修行者が目指すのもこれ)と呼ぶ。・・」