福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

福聚講、今日の言葉

2016-01-14 | 法話
俳優の滝田栄氏の話が「法光・平成20年号」にありました。氏は、「インドで学んだことですが・・人間の目指す方向として、マハーラージャ(俗世の勝利者)とヨギラージャー(霊性の世界の勝利者)の二つがあるということです。・・アレキサンダー大王とインドのヨギ(霊性修行者)との出会いの有名な話があります。大王に対しこのヨギは「・・己の心も征服できぬものが世界制覇とは笑止である。会って話すことはないので帰ってくれ。」といったといいます。・・・(注1)」として出ていました。アレキサンダーには、犬儒派の哲学者ディオゲネスに「あなたがそこに立たれると日陰になるからどいてください」といわれ嫉妬したという逸話も残っていて、意外と霊性面にも自身が興味を持っていたと思われます。
古来、こういう逸話が残っているということは帝王といわれる人は、自己の心の規律にも気を付けていたと思えます。貞観の治と言う、唐王朝の基礎を固めた太宗も「貞観政要」にみられるように、非常に自己規律の厳しかった人で、自分を批判するだけが仕事という大臣をつくり最上席としたりしています。これにくらべて21世紀の独裁者と言われる人たちがもろいのは自己の心の制御ができないからでしょう。マハーラージャ(俗世の勝利者)はヨギラージャー(霊性の世界の勝利者)も目指さなければ俗世の勝利者にもなれないということでしょうか。
注1)この話は、調べると、「アレクサンドロス大王東征記(アッリアノス著、岩波文庫)」にありました。
「・・アレクサンドロスがタクシラについた時のことだが・・常時裸のままでいる一団を目撃すると、そのうちからだれか一人を自分に同行させたいという強い願望が彼の心のうちに萌した。彼らの堅忍不抜の自制心に深い感銘を受けたからだ。哲学者のうち最長老はダンダミスといい、彼が言うことには、自分はアレクサンドロスのもとに赴く気などさらさらないし、他の者たちにもそれを許すつもりはない、ということだった。
伝えられるところでは彼は、・・・アレクサンドロスの軍勢はいたずらに数多の土地や海をうろつくばかりで何の得るところもなく、彼らの長年の放浪はついにその停止するところを知らないだろうと言った上にさらに、(アレクサンドロスの一存で決まるような)そんな贈り物など自分はほしがりもしない。またアレクサンドロスの所有に帰したものから自分が締め出しを食っても自分は怖じも恐れもしない、生きているうちはインドの土地が季節ごとの恵みをたっぷりと恵んでくれるし、死ねば死んだで肉体というこの好ましからぬ伴侶から解放されようというものだ、といいよこした。(アレクサンドロスは諦めて、ダンダミスの仲間のカラノスという哲学者を連れていくが、カラノスは途中で死期を悟りアレクサンドロスの軍隊が整列して見守る中、自ら火定三昧に入る。)」
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