福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

梁塵秘抄(仏歌)

2013-12-29 | 法話
(法文歌二百二十首)

仏歌二十四首
  釈迦の正覚なることは、この度初めと思ひしに、五百塵点劫よりも、彼方に仏と見え給ふ。

(仏歌二十四首)
  釈迦牟尼仏は薩埵王子、弥勒文殊は一二の子、浄飯王は最初の王、摩耶はむかしの夫人なり。

(仏歌二十四首)
  釈迦の御法のうちにして、五戒三帰をたもたしめ、一度南無といふ人は、花の苑にて道成りぬ。

(仏歌二十四首)
  仏は様々にいませども、まことは一佛なりとかや、薬師も弥陀も釈迦弥勒も、さながら大日とこそ聞け。

(仏歌二十四首)
  仏は常にいませども、現ならぬぞあはれなる、人の音せぬ暁に、ほのかに夢に見え給ふ。

(仏歌二十四首)
  仏はどこよりか出で給ふ、中天竺よりぞいでたまふ、矩奢掲羅補羅城、王舎城、[女吉]栗陀羅矩[ロモ]に鷲峯山。(仏在世時、中印度に著名なる六大都城なり。「南本涅槃経巻27」に依れば、舎婆提城(梵zraavastii)、娑枳多城(saaketa)、瞻波城(campaa)、毘舎離城(vaizaali)、波羅那城(baaraaNasii)、王舎城(raaja-gRha)等の六大城の名を挙ぐるも、この中に就きて異説多く、「長阿含経巻2」には則ち迦毘羅衛城を以って娑枳多城に取り代う。また巴利文の経典には憍賞弥城を以って毘舎離城に取り代う。また「摩訶僧祇律巻33僧伽」には迦毘羅衛、憍賞弥の二城を加えて八大城と為せり)

(仏歌二十四首)
  弥陀の御顔は秋の月、青蓮の眼は夏の池、四十の歯ぐきは冬の雪、三十二相春の花。

(仏歌二十四首)
  阿弥陀仏の誓願ぞ、かへすがへすもたのもしき、一度御名をとなふれば、仏に成るとぞ説いたまふ。

(仏歌二十四首)
  弥陀の誓ぞたのもしき、十悪五逆の人なれど、一たび御名を称ふれば、来迎引接疑はず。

(仏歌二十四首)
  薬師の十二の大願は、衆病悉除ぞたのもしき、一経其耳はさておきつ、皆令満足すぐれたり。

(仏歌二十四首)
  像法転じては、薬師の誓ぞたのもしき、ひとたび御名を聴く人は、よろづの病も無しとぞいふ。

(仏歌二十四首)
  薬師医王の浄土をば、瑠璃の浄土と名づけたり、十二の船を重ね得て、我ら衆生を渡いたまへ。

(仏歌二十四首)
  瑠璃の浄土は潔し、月の光はさやかにて、像法転ずる末の世に、あまねく照らせば底もなし。

(仏歌二十四首)
  普賢薩埵は朝日なり、釈迦は夜昼身を照らし、昔の契りしありければ、達多は仏に成りにけり。

(仏歌二十四首)
  文殊はそもそも何人ぞ、三世の仏の母といます、十法如来諸法の師、皆これ文殊の力なり。

(仏歌二十四首)
  観音大悲は舟筏、補陀落海にぞうかべたる、善根もとむる人しあらば、乗せて渡さむ極楽へ。

(仏歌二十四首)
  観音光を和らげて、六つの道をぞ塞げたる、三界劫数わうつる人、やらじと思へる心にて。

(仏歌二十四首)
  よろづの仏の顔よりも、千手の誓ぞたのもしき。枯れたる草木も忽ちに、花さき実なると説いたまふ。

(仏歌二十四首)
  毎日恒沙の定に入り、三途の扉を押しひらき、猛火の炎をかき分けて、地蔵のとこそ訪ふたまへ。

(仏歌二十四首)
  南無天竺の鉄塔を、竜樹や大士の開かずば、まことの御法をいかにして、末の世までぞ広めまし。

(仏歌二十四首)
  竜樹菩薩あはれなり、南無天竺の鉄塔を、扉を開きて秘密教を、金剛薩埵に受けたまふ。

(仏歌二十四首)
  眉の間の白毫は、五つの須弥をぞ集めたる、眼の間の青蓮は、四大海をぞ湛へたる。

(仏歌二十四首)
  眉の間の白毫の、一つの相を想ふつべし、須弥の量をたづぬれば、縦横八方由旬なり。

(仏歌二十四首)
  真言教のめでたさは、蓬窓宮殿隔てなし、君をも民をも押しなべて、大日如来と説いたまふ。

華厳経一首
  華厳経は春の花、七所八会の苑ごとに、法界唯心色深く、三草二木法ぞ説く。

阿含経二首
  阿含経の鹿の声、鹿野苑とぞ聞こゆなる、諦縁乗の萩の葉に、偏眞無漏の露ぞ置く。

(阿含経二首)
  一夏の間を勤めつつ、昼夜に信心怠らず、拘隣比丘ぞ最初には、諦理を悟りて道成りし。

方等経二首
  大集方等は秋の山、四教の紅葉はいろいろに、弾呵法会は濃く薄く、随類ごとにぞ染めてける。

(方等経二首)
  須弥の峰をば誰か見し、法文聖教に説くぞかし、阿修羅王をば見たるかは、智者の語るを聞くぞかし。

般若経四首
  般若十六善神は、十六会をこそ守るなれ、もとより無漏の法門は、中道にこそ通ふなれ。

(般若経四首)
  大品般若は春の水、罪障氷の解けぬれば、万法空寂の波立ちて、真如の岸にぞ寄せかくる。

(般若経四首)
  般若畢竟空の理は、かくの如くぞ思ふべき、正法四十余年に、一乗妙法説いたまふ。

(般若経四首)
  般若の御法をたづぬとて、当啼東へたづね行き、妙香城にいたりてぞ、畢竟空をば悟りてし。

無量義経一首
  無量義経に莟む花、霊鷲の峰にぞ開けたる、三十二相は木の実にて、四十二にこそなりにけれ。

普賢経一首
  積もれる罪は夜の霜、慈悲の光にたとへずば、行者の心をしづめつつ、実相真如を思ふべし。


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