修験宗旨書・・・25
法螺口決第五通(法螺は金剛界曼荼羅の種子ばん字の智体をあらわすとされ、これを聞くものは阿字本不生の門に入り、悟りを開くとされる)
夫れ修験所持の法螺とは金界果分の法門、声聞実相の内証なり。しかれば則ち教外無相にして法義を唱え仏祖不伝にして妙理を備う。故に三世の諸仏番番に出世し説法大会の砌大法螺を吹き三界の天衆を驚かし衆生煩悩の眠りを醒まし中道法性の覚位に帰せしめたまう。或る記 . . . 本文を読む
秘密曼荼羅十住心論
・・善生経に謂う『八戒を受けるものは五逆罪を除いて余の一切の悪皆消滅す。
・・帝釈偈をといていわく、六斎と神足月とに八戒(注)を奉持すればこの人、福を獲ることすなわち我と等しとなす(八戒を受けるものは、殺父・殺母・殺阿羅漢・出仏身血・破和合僧の五逆罪をのぞいて一切の悪が消滅する。・・帝釈天は『毎月の六斎日と正月・五月・九月に八戒を保てばこの人は福徳を受けること帝釈天と等しい』 . . . 本文を読む
修験宗旨書・・・24
鈴懸事第四通(鈴懸は、真俗不二の衣で、本来俗衣であるが真理と世俗の世界が一つであることを顕す為に入峰修行の法衣として着る)
夫れ鈴懸とは金胎両部の直質、入峰修行の法衣なり。凡そ當道の所談とは真俗不二當位即妙の内証なり。真俗二諦猶車輪の如し、一輪を欠けば即ち衆生を度す能わず。故に俗形を易えずして法衣を改めず、直に色心実相本有不改の法体を示す。秘記にいわく、鈴懸の鈴とはすなわち真 . . . 本文を読む
修験宗旨書・・・23
結袈裟秘訣第三通(結袈裟とは、山伏がつける袈裟で細長い布地3筋を緒で結んで連ね、所々に菊綴をつけた輪袈裟)
夫れ山伏とは三身本具の妙体・十界一如の形相なり、故に九界迷妄の凡体を動かず、當相即道の法体を示す。秘記にいわく、結袈裟とは三衣(僧伽梨そうぎやり(大衣・九条衣)・鬱多羅僧うつたらそう(上衣・七条衣)・安陀会あんだえ(中衣・五条衣))の中、法身の布、九条の袈裟なり。九合・ . . . 本文を読む
秘密曼荼羅十住心論
・・・もし五戒を持すればすなわち二十五の善神ありて恒に人身を衛護して人の左右にあり。宮宅門戸の上に於いて万事をして吉祥ならしむ。
(もし五戒(在家信者が守るべき不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不飲酒の五戒)を保てばすなわち二十五の善神が常にその人を守り、左右におり、家屋・門戸の上にあって万事を好転させる。
(二十五善神は灌頂経によれば・蔡芻毘愈他尼(人身守護邪悪排除)・輸 . . . 本文を読む
修験宗旨書・・・22
班蓋口決第二通(班蓋とは桧笠のこと、行者を胎内でまもってくださった「衣奈神」を表す)
夫れ修験所具の班蓋とは慈悲覆護の相、即ち仏界荘厳の天蓋なり。天蓋とは一切衆生
悲母の胎内に住み衣奈を戴く表義なり。衣奈とは胎内の五位最初羯剌藍より鉢羅奢佉に至るまで(倶舍論等では母胎内の300日を五段階にわけ、羯剌藍きゃらら、閉尸へいし、鍵南けんなん、鉢羅奢佉ばらしゃきゃ、とした)。我等が頂 . . . 本文を読む
秘密曼荼羅十住心論
・・牛羊等の車は紆曲にしたがって徐く進んで必ず三大無数劫を経、神通の宝輅は虚空を凌いで速やかに飛んで一生の間に必ず所詣にいたる。(顕教のおしえは相手の業にしたがってゆっくり進むので成就するまで三大無数劫という無限の時間が必要となるが、密教修法は虚空をはるかに飛び越えてどんな所願でも一生の間に必ず成就できる。) . . . 本文を読む
修験宗旨書・・・21
頭襟秘決第一通(山伏のつける頭襟は即五智の宝冠)
夫れ山伏とは大日遍照の智身、凡身即佛の覚体なり。故に頭襟とは即五智の宝冠なり。秘記にいわく、頭とは無明所生の頂上、襟とは無明能生の妄心なり。その形、宝形なるは五智円満の内証を顕し、黒色は最初の無明を表す。無明とは黒闇煩悩の義、十二の縮(古くは布の12のひだを集めて一か所で結んだ)は衆生所具の十二因縁を表す。縮を一所に括ることは . . . 本文を読む
「・・三等の法門(佛と衆生の身口意三平等)は佛日(三世をこえた如来の日)に住して常に転じ、秘密の加持は機水(機根)に応じて断ぜず(如来は機根に応じて絶えず説法を続けておられる)・・・(大師の「四恩の奉為に二部の大曼荼羅を造する願文」)
仏さまは常に相手に応じて説法を続けておられるが受け取る者が至らないのでわかろうとしないでいるのです。 . . . 本文を読む
秘密曼荼羅十住心論
「心病を治する法は大聖よくこれを説きたまへり。其の経はすなわち五蔵の法これなり。いはゆる五蔵とは修多羅・毘奈耶・阿毘達磨・般若・総持等の法これなり。(心の病を治す方法は仏がよくこれを説かれている。それは五蔵とよばれる教えである。すなわち経‣律・論・般若・陀羅尼等のおしえである。)
・・四蔵の薬は但し軽病を治して重罪を消すこと能わず。いわゆる重罪とは四重・八重・五逆・謗法等と一 . . . 本文を読む
秘密曼荼羅十住心論
「身病の対治に八つあり。しかも心病の能治に五つあり。湯散丸酒・針灸・呪禁は身の能治なり。(温泉・散薬・丸薬・酒・針・灸・まじないは身体の病を治す)。四大のそむけるには薬を服して除き、鬼業の祟りには呪悔をもってよく消す。薬力は業鬼を却くること能はず、呪功は通じて一切の病を治す。(地水火風空という四大要素の不調による場合は薬で治る、しかし悪霊のたたりや悪業の報いの場合は呪法と懺悔に . . . 本文を読む
修験宗旨書等・・・20
臥字二字第二十(「やまぶし」には山伏(入峰の者)・山臥(未修行の者)の二種の字がある)夫れ、當道の名字につき、山伏・山臥の二義あり。初めに山臥とは秘記にいわく、山とは母胎八部の肉団、本有八葉の心蓮なり。臥とは彼の自性本分の心蓮、不苦不楽無相本分の所なり。この位は父母未生以前本覚無作の真理にして生佛の仮名を絶し、迷悟の二法を亡ず、実に是一心不生盡思絶慮の極位なり。然れば則ち性 . . . 本文を読む
修験宗旨書・・・19
三身山伏第十九(山伏には、優婆塞形(俗形)・摘髪(髪を一寸八分に摘む)・比丘形の三種の山伏の形がある)
夫れ山伏の体相に就いて三身の差別あり。一には法身形、二には報身形、三には応身形なり。初めに法身形とは優婆塞形の山伏是なり。凡そ法身とは離相・離定性相・常住の妙理なり。十界の依正色心の二法(依正とは、依報(環境)と正報(自分)。色心とは物質と心)は當位を動かずしてみな悉く法身 . . . 本文を読む
修験宗旨書・・・18
山伏三種名義第十八(山伏には山伏・修験・客僧の三種の名がある)
尋ねて云う、山伏とは能弘の人によって名けるや、所依の法に依って名けるや。
答、凡そ當道の名義に於いて三種の差別有り。一には山伏、二には修験、三には客僧なり。是皆所修の理法に依って能修行者の名字と為す。他宗の意は納証の名字、所詮の法体を隔歴るがゆえに有教無人とこれを談ず。証道に非ず。當道の意は全くしからず。名字の他 . . . 本文を読む