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日々の恐怖 3月3日 邦楽

2014-03-03 18:14:17 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 3月3日 邦楽



 知人Fさんの話です。
Fさんは個人で左官関係の仕事をしている。
ある時、峠の休憩所に町にちなんだ壁画を貼った壁を作る、という仕事を請けた。
 休憩所といっても、屋根付きの吹きさらしベンチとトイレのみ。
辺りに民家はなく、車通りもまばら。
そんな辺鄙な場所で作業は続いた。

 仕事は順調に進み、最終日の昼前には、明日、依頼者と確認に来るだけとなった。
早終いして帰っても問題はなかったが、どうせなら散歩がてら山に入り、弁当を食べてから帰ろうと思った。
何日も通ったが、黙々と働くのみで、辺りを散策したことはなかったからだという。

 熊笹の繁る小路を暫く登っていくと、狭い平地に出た。
小さな祠があったので、簡単に挨拶をしてから弁当を食べだすと、シャンシャンシャンと、大量の鈴を鳴らすような音がした。
辺りに音の原因になるものは見当たらない。

 何とも言えない清々しい音色を聞きながら食事をしていると、鼓や笛の音まで混ざり始めた。
1時間ほどで音楽は止み、その瞬間もの凄い拍手が周囲から沸き上がったそうだ。
思わずFさんも一緒に拍手したという。

 翌日、酒を持って御礼に行くと平地に祠はなく、以前そこに祠があったことを告げる石碑のみが苔むしていたそうだ。













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