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日々の恐怖 3月17日 脚

2014-03-17 19:14:38 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 3月17日 脚



 俺は幼稚園から小学校低学年のころまで、子供会に入っていた。
子供会は、その地域の子供を集めてBBQしたり体育館借りて遊んだりする団体、引率は大人と近所の高校生とかがやってた。
 で、その子供会で夏にちょっと遠出して、どこかの山に一泊二日にキャンプに行くことになった。
俺はその当時小学校上がりたてで、親元を離れてどこかに泊まるって行為がすごく魅力的に見える年ごろだったし、前日は興奮して眠れなかったのを覚えてる。
当日も精一杯はしゃいで、くたくたになるまで遊んだ。
 で、夜になって子供は寝る時間が訪れる。
そのキャンプ場は山の中腹あたりに開かれた広場にあって、中心に水場とかかまどがあり、周りに点々と小さなログハウスがある感じ。
 ログハウス一個の定員はせいぜい4人くらいだった。
引率の高校生のお兄さん、俺より上の学年の小学生二人、俺、って感じの部屋割りだった。
 もう体力を限界まで振り絞って遊んだ俺は、当然の如く布団に入って爆睡。
今でも思う、そのまま朝まで起きなかったら良かったのに。
でも起きちゃったものはしょうがない。
 夜中にふとトイレに行きたくなって目が覚めた。
時計を見ると午前3時あたり。
ログハウスにはトイレなんてついてなくて、ちょっと離れた外の共同便所まで行かなくちゃいけない。
でも一人で行くのは怖いから、高校生のお兄さんを起こそうとする。
起きない、全然起きない。
深夜の山の中なんて真っ暗だし、一人でその中を歩くなんてとてもじゃないけど嫌だ。
 でもお漏らしして次の日バカにされたくないという変なプライドが勝ってしまい、俺は一人でログハウスを出た。
そして月明かりとトイレの非常ライトを頼りに歩き、無事漏らさずに用を足して備え付けの流しで手を洗ってる時気がついた。

“ なんかいる・・・。”

上手く言えないけど、なんか背中に感じた。
 それを感じた時はちょうど下を向いてポケットのハンカチを探してる時だったんだけど、 思わず前を向いてしまった。
そしたら流しについている鏡越しに、自分の背後に見えた。
 白い脚、それも裸足、腿から先はなぜか見えない。
そいつが自分の真後ろにいた。
足の向きからして、上半身はこっちを見てる。
 もう半狂乱になって、意味わかんないことを泣き叫びながらログハウスに帰った。
ログハウスでそれを話しても、寝惚けてたの一言で済まされた。
仕方なく、その日は布団をかぶって朝まで震えてた。
それで、朝になって、やっぱり見間違いだったと思い込むことにした。

 小学校3年くらいになって、俺は一旦親父の仕事の都合で海外に引っ越した。
で、小6の時に日本に帰ってきて、現在まで住んでる家に移った。
 それは、やっと新しい環境に慣れてきた中一の時だった。
忘れていた頃、何故かそいつが現れた。
今度は山なんかじゃなくって、自宅の近所の道路のカーブミラーの中だった。
部活帰りで疲れた体を引きずってる俺の後を、しっかりとあの白い脚が見える。
 今度は上からの視点なのに、やっぱり腿から先は見えなかった。

“ こいつ山から下りて俺のところに来やがった。”

そう思ったとき、俺はメチャクチャ怖くなった。
部活で鍛えた俊足でダッシュで帰宅して塩撒きまくった。
 しかし、その後数ヶ月間のうちに、自宅のドアのガラス越しに見ること一回、洗面所の鏡越しに見ること一回。
流石に気持ち悪くって親に相談したら、親父が会社の知り合いからアメジストみたいな石をもらって来て、それを布に包んで財布の中に持っていると、何故かピタッと見なくなった。
 不思議だなぁ、と今でも思う。
山で亡くなった人の霊がついてきたんだろうか。
でも、なんで脚だけだったんだろうか。
鏡とかガラスとかを通してしか見れないのはなんでだろうか。
海外にいたときは見なかったから霊でも海は渡れないのか。
そして、まだ自分の背後にいたりするんだろうか。
 でもちょっと怖いのは、最近アメジストっぽいのを出してみたら知らないうちに小さなひびが入っていたこと。
これが割れたら、また脚は復活するのだろうか。
もう、あれを見るのは嫌だし、アメジストっぽいのを体から遠く離して実験する気も無い。
何か経験のある人がいたら教えて欲しいと思っている。














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