日々の恐怖 10月4日 カメラマン(1)
Kさんはカメラマンで、仕事柄、料理の写真や飲食店の室内を撮影することがあって、そこでの話です。
場所バレすると不味いんで、フェイク入れながら話しますけど、そこは割と歴史ある大型中華料理店で、5階建のビルすべてがその店になっている。
特にそこの3階に出るという噂があって、仲の良い店長や関係者から色々話を聞いた。
以下箇条書です。
・3階の一室だけ突然停電、停電後に光った白い和服の女性が部屋に入ってきて消える。
・深夜誰もいない3階から1階の事務所に内線が入る、出たら水が滴る音だけがする。
・部屋の下見の際にお客さまが見てしまう。(たいてい白い和服の女性)
・宴会予約の客が屋上に首のない人間がいっぱい立ってるから入れないと言って入店拒否。
・飾ってあった絵に描かれた女性が店内を歩いていた。(複数人目撃)
など。
「 お祓いしないの?」
と聞いてみると、一応はして、それからはまだマシになったらしい。
仕事は3階の部屋を全面リニューアルしたから撮影して欲しいというのものだった。
仕事柄、ごくたまに変なものが撮れてしまうことがあるが、今日ももしかしたら写るかもな、と思いながら助手を連れて店へ行った。
中休みの時間だったので客は誰もいない。
それで、3階に行くと、そこだけ空気が膜を張ったみたいに湿っていて重いがした。
試しに4階に上ってみると普通だった。
厨房はというと5階にある。
“ 空調回ってんのかな?”
と見ると、回ってる。
“ こりゃ本物かなぁ・・・。”
と思いながら仕事を開始した。
リニューアルした部屋を順番におさえて行く。
ぱっと見ただけだと、変なものも写っていないので安心した。
それで、最後に一番奥の部屋に行こうとすると、
「 あ、そこはいいですよ。」
と言われた。
その部屋だけリニューアルしてなくてクロスも古いまんまだった。
“ なんでだろ?”
と思って聞くと、普段は使わない部屋になっているとのことだった。
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