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日々の恐怖 10月21日 車に乗ると出るもの

2015-10-21 19:33:17 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 10月21日 車に乗ると出るもの



 結構面倒見が良くて、色々と世話になっている職場のNさんと言う人がいます。
ある日、忘年会に行くのに、Nさんは酒が飲めないからと送迎役をやっていた。
 でも、Nさんと同期の人は何故かNさんの車に乗ろうとしない。
Nさんに聞いてみると、

「 俺の車に誰か乗せると、何か出るらしいんだよね~。」

と訳のわからない答えだった。
 Nさんも笑いながら言ってたので、冗談の類だと思って俺は一人でNさんの車に乗り込んだ。
 しばらく走って横断歩道に差し掛かったとき、Nさんが車を止めた。 
聞くと子供が渡っていると言う。
でも、俺の目には何も見えない。 
冗談かと思った。
 やがて車が走り出した。 

「 ほら、お辞儀してるよ、可愛いね。」

の声に咄嗟にサイドミラーで後ろを見ると、ランドセル背負った子供が頭を下げている。 

「 えっ?!」

驚いて振り返っても誰もいない。 

「 い、今の幽霊じゃないですか?」

と聞くと

「 え? あれ、幽霊だったの?」

と聞き返してくる。 
 あまりに無邪気に聞き返してくるから、

“ ひょっとして、見間違えたかも・・・・?”

と、そのまま口を噤んだ。 
そうこうしているうちに忘年会の会場に着いた。 

 忘年会が終わって再びNさんの車に乗せてもらった。 

「 家まで送るよ。」

とのお言葉に甘えての帰り道、青白い光が目の前を横切った。 
大きさはピンポン玉くらい。
人が歩くくらいのスピードの光の玉を目撃したNさんが、ひとこと言った。 

「 こんな都会なのにホタルがいるよ、珍しいねえ・・・。」
「 あのNさん、今、12月ですよ。」 

本当なら怖い体験のはずなのに、Nさんのおかげでそれほどでもない。 
 最近では、窓が閉まっているはずの走行中の車から身を乗り出す子供が見えたりもしたが、そんな時にもNさんは、

「 最近の子供はすごいね~。」

と笑っている。 
 あまりに日常茶飯事なので、

“ Nさんは感覚がマヒしてるんだ。”

と思った。
今は、Nさんの車にだけは乗らないようにしている。









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