日々の恐怖 10月5日 カメラマン(2)
理由はそこで頻繁に出るかららしく、どうしても、という時以外は封印しているのだとか。
まあ、実際開けて中見た瞬間に、嫌な雰囲気のする部屋ではあった。
“ 店やってて開かずの個室なんかもったいないな・・・。”
と思いながら撮影は終了した。
帰り際、
“ 何も起こんなかったな~。”
と思いながら階段を降りようとした時、後ろからついてきてる助手くんが、荷物をひっぱりながら、何もない空間に頭下げて、
「 ちわっす!」
とか言ってる。
出た後に、
「 従業員の女の人に挨拶したけど、無視されましたわ~。」
とか言ってる。
どんな人か聞いてみると
「 白い和服の女の人ですね~。」
なんて言ってるから、女性従業員はチャイナ服だろ、と突っ込むのはやめて、
「 今度また撮影があったら、気づいてもらえるように、もっと大きな声で挨拶しろよ~。」
と言っておいた。
助手くんは一連の話は知らないので、
“ ああ、いたんだなぁ・・・。”
と思った。
余談で、元店長から聞いた話がある。
店には結構広い地下室があり、そこを倉庫にしているんだが、地下室へ向かう階段の途中、真ん中くらいの脇に何故かぽつりと窓が1つある。
もちろん開けても何もない。
何もないというか何かで塗り込めたような壁が出てくる。
ただ壁は薄く向こうにどうやら部屋があるらしい、が、もちろん入口はないし、図面にもない。
「 中古のビルだけど、そこは触らないようにしてる。」
と店長は言っていた。
こういう店をあと2、3店知ってるが、不思議なのは割りとガチでお化け出るのに、何処も繁盛している。
繁盛しているところには、いろんなものが寄ってくるのかもしれない。
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