日々の恐怖 10月12日 渋谷(2)
地蔵の所で騒いでたら女の子がやってくる。
俺らを睨むようにこっち見ながら歩いてくる。
確かに人気のない路地だし、こんな場所で騒いでたら不審者だよなと思う。
女の子の存在に全員が気付いたとき、女の子が発する違和感に全員が固まる。
ラブホ街だし、デリヘルや売春婦は珍しくない。
でも、その子は子供を抱いていた。
しかも1人じゃない。
“ 深夜1時を過ぎてるし、おかしいだろ・・・。”
と思ったときに気付いた。
子供もおかしいが、女の子もおかしい。
女の子の胸の部分に子供の顔がたくさんあって、手が何本も出てた。
“ 女の子が子供を抱いてる。”
と思ったがそうじゃない。
子供が体から生えている。
その場にいた全員が、
“ ヤバいな~。”
って空気を感じたが、誰も動けない。
女の子が俺らを睨みながら通り過ぎた瞬間、赤ちゃんが、
「 アー。」
って言った。
「 うわ~~~~!」
一斉にみんな走ってて振り返る勇気もないまま、人がたくさんいるampmまで逃げてた。
明かりがあるのと、人がいる安心感からか、
「 なにあれ?マジやばくね?」
「 全員見れたよな?」
いつもより早口になってる俺たちと、
「 なんで走るんすか?」
ってイミフな発言をした後輩がいた。
「 時間だしclub行こうよ!」
みんなに話そうってことになり、歩き出したときに後輩が笑いながら言った。
「 あの女の子よくclubにいません?俺、ナンパしたことありますよ?」
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