日々の恐怖 2月7日 記憶(3)
そう言った話は、ときどき聞くことがある。
で、知りたいと言うことだから、一応、実例で説明してみる。
大人でもあるんだが、子供だと起こりやすいことなんだ。
それは、自分で記憶を書き換えちゃうんだよ。
俺の同級生Aが親に怒られて家出したのが小6の時だった。
隣の家の同級生B、よく一緒に遊んでた小1のCと三人で家出した。
三人で所持金は千円もなかったと思う。
大騒ぎになって、見つかったのが十日後だった。
数十キロ離れた隣県の、海辺で遊んでるのが発見された。
AはBを誘って家出した。
それにくっついって行ったのがCだった。
Cは両親が共働きで、いつもBにくっついて遊んでいた。
家出して最初は山に行ったらしいんだが、Cが海が見たいといったんで、別方向に歩き出して海を目指したそうだ。
移動は徒歩だった。
海に行って、観覧車に乗ったら、Cが、
「 もっと綺麗な海がいい。」
と言って泣くので、さらに綺麗な海を目指して歩き出した。
途中見知らぬ婆さんに泊めてもらったり、食べ物を貰ったりして海を目指した。
そして、たどり着いた綺麗な海で遊んでるときに、警察官に発見されて保護された。
おかしいのは、保護された時のAとBの記憶では、家出が3~4日の出来事だったということだった。
Cはいっぱい歩いたことと、空を飛んだ、とか言ってたことだ。
三人とも学校の勧めで定期的にカウンセリング受けてたんだが、数年後のCの記憶では、家出事件は半日ほどの記憶になっていた。
Cとは仕事の関係で付き合いがあるんだが、本人は半日ぐらいのことだと思い込んでいて、
「 それ、一週間だよ・・・?」
と言う周囲との記憶とのギャップを不思議がっている。
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