日々の恐怖 2月26日 忘れ物(1)
東京在住のHさんの話です。
前に母に聞かされて動揺したんだけど、今はただ変な話だと思うだけになったので、ちょっと話させてください。
今はそうでもないんだけど、そのときの私には凄く薄気味悪かった話です。
私は昔から落ち着きがなく、そそっかしくて、通知表とかにも、
“ 忘れ物が多い。”
って書かれるタイプだったんだけど、私としては忘れてるんじゃなくて、物がなくなるんです。
中学のとき、教科書をまるごと失くして、いじめを疑われたんだけど、その後、出てきました。
よく物を失くすと、祖母がどこからともなく失くした物を見つけてきてくれるので、そのときも祖母に相談しました。
「 ばあちゃん、教科書がなくなっちゃった。
またお父さんに怒られるかな・・・。」
「 大丈夫大丈夫、必ず見つかるから。
でも、ばあちゃん、力がないから開けられないんだよ。」
“ 開けられないって、なに?”
と、そのときは思ったんですが、父が仕事から帰ってきたら祖母が縁の下の通気口を開けるように言いました。
当時の家は古かったせいか、通気口は男の人の力でなければ外せなかったようです。
そして父が通気口を外すと、縁の下に教科書が置いてあったそうです。
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