大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 2月1日 枕(2)

2017-02-01 20:21:47 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 2月1日 枕(2)




 しかし、日に日に眠りが深くなりすぎて、今度は仕事中でも眠気が酷い事になって来た。
それは同僚の人も一緒でとにかく眠くって、家に帰ったらすぐにあの枕で寝ていた。
最初は、

“ 疲れてるのかな・・・。”

と思っていたけれど、祖母が心配になって、

「 最近寝すぎちゃうか?」

って聞いてきた。
 眠かった母は、

「 う~ん・・・。」

って適当な返事をしながら枕に顔をうずめた。
その時、顔をうずめた瞬間、初めてその枕に違和感を覚えたらしい。
 音?におい?感覚的に、

“ あれ、変だな・・・?”

って思った。
 ガバっと起き上がると、急に眠気がふき飛んで怖気が背筋を走った。
何を思ったか、買ってそんなに使い込んでもいない枕を母はハサミで開けた。
もったいないとかそんな概念はなく、ただすぐ中身を見たかったらしい。
 そしたら、ソバ殻が、

“ バッサー!!”

って散らかった。
それを見てた祖母が思わず、

「 ヒィ!!」

って声を上げた。
 ソバ殻ってこげ茶色っぽいんだけど、中身の大半が明らかに赤黒い何かを塗ってあった。
でも、祖母が声を上げたのはそれが原因じゃなくって、一緒に入ってた写真だった。
ポラロイドで撮ったと思われるモノで全然知らないおっさんが竹林で手を振ってる写真。
それと皮のついた短めの髪の毛。
 唖然とする母が枕の内側をみると同じような赤黒い何かの跡があった。
三本指で線を引くような跡。
 祖母が封を切ったように勢い良く塩をもってきて部屋の中だってのにかまわずふりかけまくった。
そして母がハっとして、急いで中身をビニール袋に一粒残らず入れてお寺に持って行ったらしい。
 住職さんは差し出されたビニール袋の中身を確認するとすぐにお祓いしてくれた。
でも、ずっと薄気味悪い写真が頭の中でちらついてた。
さすがにその日は一切、眠れなかったそうだ。
 翌日、そのことをすぐに同じ枕を買った同僚に話したら、その同僚はダッシュで家に帰って中身を確認したらしい。
案の定、薄気味の悪い写真(でも同僚のほうは、どこかの海で撮った手を振るおっさん)と髪の毛だった。
それと枕の内側に二本の線。
同僚は同じようにお寺で供養とお祓いしてもらった。
 すぐに職場の寝具売り場担当にその事を言うと、

「 その枕は入荷が5個で売り切れた。」

という。
 売り場の担当は証拠もないし、ただの冗談だと思って真剣に取り合ってくれなかったし、出荷元もいたって普通の寝具屋だった。
いまだにアレはなんだったのか、残り3個の枕はどうなったのか、分からず仕舞いだった。
 証拠の枕を警察に持って行けばよかったのかもしれないが、そのときは警察に連絡するというより、気持ち悪さが先に立ってお寺行きだった。
 気持ちが悪い出来事だったけど、そうしたからかは分からないが、別にその後害はなかったし、怪談話の十八番にしてるって母は言っていた。
だけど、枕だけはいまだにソバ殻は無理だ。












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