日々の恐怖 2月17日 深夜勤務
10年前、学生でカラオケのバイトしてた頃のことです。
俺は稼ぎたかったので、0時から閉店の6時までの深夜勤務に入っていた。
バイトには色んな人がいたが、特に夜は変わった感じの訳アリっぽい人が多くて、あまり近付いて欲しくない様な雰囲気を相手が醸し出してたから、そこまで仲良くは無かった。
それで、話が飛ぶが、ある日前の時間のシフトの女性が自殺した。
軽い欝の持ち主だったみたいで、酔っ払いのクレームを真に受けて、衝動的に飛び降りをやってしまったそうだった。
そこから、いろんなことが起こった。
特に自分がいた深夜勤務は3時を過ぎるとワンオペになるし、その時間はほぼ客もいなかったから最悪だった。
ビビったのが、お客さんも全く居ない、完全に1人の状態で、店内放送で自分の好きなCDを掛けてたはずなのに、突然あるビジュアル系バンドの曲が掛かり始めたことだった。
それがまた気持ち悪くて、何故だかテンポが上がったり下がったり。
CDを止めても店内放送で流れるのでコンセントを抜いたら、一番奥の部屋から同じ曲のカラオケが流れ始めた。
しかもよくよく聞くと、
「 ボソボソ・・・。」
っと歌ってる様な声も聞こえて、堪らず店を飛び出したら店内照明が激しく点滅していた。
暫くすると収まったが、その日はもうどう言われても構わないと言う気持ちで朝番が来るまで外で粘った。
その女性が勤務していた時間から色々起こるみたいで、倉庫スペースから、
「 ちょっと~。」
と呼ぶ声が聞こえたり、物が勝手に動いたり、誰かに肩を叩かれたり、夜勤全体で散々な目に合って、多くの人が辞めていった。
流石にヤバいと言うことで、すぐに夜勤には必ず店長が重なることになった。
それで、ある日のこと。
今日も絶対何か起こるぞとビビりながら一緒に作業していたんだが、部屋を清掃していた店長が突然、
「 ウワァァ~~~~!」
と叫びながらこちらに走って来た。
こっちも腰が抜けそうになるぐらいだったが、続く言葉を聞いて背筋が凍った。
「 あいつがいる!」
店長がその言葉を発した直後、部屋からコールが来た。
崩れ落ちそうになりながら、どこからコールが来たのか確認した所、店長があいつを見た部屋だった。
腰が抜けた店長を連れ、外に飛び出してその場で店長に、
「 辞めます。」
と伝えた。
今はもう無くなって他のテナントが入ってるが、大丈夫なのかなぁ・・・。
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