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アカデミア美術館は、ドルソドーロ地区のアカデミア橋を渡った正面に位置する。まさにヴェネツィア絵画の世界一のコレクションを誇る。長い間に閉鎖されたり破壊された教会が所蔵していた名画もこの美術館に集められている。
まずはヴェネツィアの風景が描かれた絵画から見て行こう。
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カルパッチョ作「リアルト橋の奇跡」。15~16世紀に活躍した画家が1494年に描いたリアルト橋。この橋は12世紀の建設だが、元々は木造の跳ね橋だった。経済の中心地である橋周辺の賑わいが見事に活写されているし、夏の夕方の空気感も感じさせてくれる。
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ジェンティーレ・ベッリーニ「サンマルコ広場の祝祭行列」。こちらの広場は政治の中心地。主な公式行事はほぼこの広場を舞台として展開された。ヴェネツィアという特別な風景を持つ都市を映し出す「景観図」の端緒ともなった作品だ。
こうした主な建築の姿は、500年経った今でもヴェネツィアに行きさえすれば普通に見ることが出来る。ヴェネツィア旅行はタイムスリップの旅でもある、と思わせる。
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同じジェンティーレ・ベッリーニの代表作が「サンロレンツォ橋の奇跡」。1369年、キプロスからヴェネツィアのS・G・エバンジェリスタ同信会に聖十字架の一部が寄贈された。その聖遺物を、祭礼行列の最中に運河に落としてしまうという事故が発生した。さあ大変!
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その時同信会長のアンドレア・ヴェンドラミンはとっさに運河に飛び込み、見事に聖遺物を救い上げたという。この瞬間を、まるで現場中継のように描いたのがこの作品だ。
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左側岸辺にはキプロス女王カテリーナ・コルナーロ。
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右手前にはベッリーニ一族がひざまづいて見つめている。
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なお、「サンマルコ広場の祝祭行列」の絵の中心にある金色の聖遺物箱に、落とした十字架が入っていた。つまり、ジェンティーレの描いた2つの絵画は連続した行列の模様だった、ということになる。
ジェンティーレにはジョヴァンニ・ベッリーニという弟がいた。実はこの弟の方が有名だ。盛期ルネサンス・ヴェネツィア派を代表する画家であり、ラファエロと同様に「聖母の画家」とも呼ばれる。
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「玉座の聖母と諸聖人」。
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高潔な威厳を保った静謐な聖母の表情。
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その下部には奏楽使達が控える。サン・ザッカリア教会にも同様な絵が残されている。
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こちらは「受胎告知」。聖母マリアの祈りの気持ちがうかがわれる。
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「若い木の聖母」。ひたむきにすこやかな我が子の成長を願う思いが透けて見える。
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こちらの聖母もうつむいて目を伏せた形で無言。ジョヴァンニ・ベッリーニの作品の多くは時間が止まってしまったような思いに駆られることが多い。
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メッシーナの作品「受胎告知」があった。この作品はパレルモのシチリア美術館にあり、これはレプリカのようだ。妊娠を告げる大天使ガブリエルは描かれておらず、受けとめる聖母だけの姿だ。
ベッリーニ工房にはジョルジョーネという画家がいた。彼は34歳で死亡したため作品は少ないがなぞを含む不思議な作品群はヴェネツィアの後輩たちに多くの影響を与えた。
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代表作は「嵐」。稲妻、裸の女、棒を持って立つ男・・・。美しい田園の中で展開される瞑想的な絵の真意は未だに未解明のままだ。
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「老女」もまた不思議な絵。彼女の持つ紙片には「col tempo」(時と共に)と記されている。人生のはかなさを描いたものなのか。モデルはジョルジョーネの母とされている。