新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ボローニャ① 未完の聖堂のファザードにはミケランジェロを魅了した彫像がある

2018-08-07 | イタリア・ボローニャ
 ボローニャに到着した。ここには以前フィレンツェから日帰りで来たことはあるが、宿泊しての滞在は初めて。少しじっくりと見てみようと思っている。

 まずは聖ペトロニオ聖堂へ。この外観はどう見ても未完成のように見える。土台から3段目までは白大理石などで覆われているものの、その上は基礎部分がむき出しになったままだ。

 聖堂建設が始まったのは1388年。当初は幅137m、奥行き183mというキリスト教史上最大規模の教会が構想された。
 
 だが、、あまりにも大規模なことから、バチカンからのクレームがあったり、地元の財政難など様々な理由から、幅66m、奥行き132mという現在の大きさで中断され、1469年ころの祭壇修復以降は建設が進行することなく現在に至っている。

 そんなわけで一見不格好な外観だが、このファザードにも見逃せない彫像などが存在している。

 中央の扉上を見上げると、3つの彫像が並んでいる。

 中央に聖母子

 左に聖アンブロシウス

 右に聖ペトロニウスだ。 いずれもシエナの高名な彫刻家ヤコボ・デッラ・クエルチャの作品。

 実は聖ペトロニウスの、左足に重心を掛けた自然な形での立ち姿を熱心に研究し、同じボローニャの聖ドメニコ教会に研究成果としての像を残した若き天才がいた。ミケランジェロ。

 彼はフィレンツェの戦乱から逃れるために1494年ボローニャに避難したが、その時このクエルチャ作品に魅了されたという。 そんなエピソードを持つ像だ。

 また、中央扉の両側に建つ側柱には聖書の物語が彫られている。ちょっとアップしてみよう。

 アダムの創造。

 続いてアダムから分かれたイヴの創造。

 誘惑に負けて禁断の実に手を出してしまう2人。

 このように聖書の物語がイラストで描かれていて、中世の文字の読めない庶民たちにも、入口の絵を見るだけで聖書が理解できるように配慮されていた。


 この聖堂前には旅行者や市民たちがいつも大勢集まり、階段に腰掛けている。

 そして雑談に花を咲かせたり、道行く人たちを観察したりの風景が展開されている。



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