一旦ホテルに戻り、一休みしてから今度はモンサンミッシェルの全景を時間の変化と共に撮影してみようと思い立った。
ホテル近くに、砂州への水の流量をコントロールする場所があり、そこからモンサンミッシェルの姿がきれいにとらえられる。そこでスタンバイした。
ちょうど陽が傾きだし、空の色がほんのりと染まり始めた。
西の空に張り出した雲たちも茜色に変化しつつある。
風も強く、絶え間なく形を変える雲の動きがなかなか面白い。
ふんわりと柔らかい空気に包まれて、その輪郭が浮かび上がる。
この日の大潮(最も海水面が高くなる時間)は19時9分。すっかり西側にある林方向に陽が落ちて行き、空が見事に染め上げられる。
日没。モンサンミッシェルは徐々にシルエットに変貌して行く。
手前の水面に水鳥が降りてきてえさをついばむ光景も。
わずかに残る夕焼け空の中に、尖塔が突き刺さるようにそびえる。
モンサンミッシェルはすっかり青暗くなった空間に、その姿を没しようとしている。