すっかり日が沈んでから、また新しいステージが幕を開ける。
さあ、ライトアップが始まる。修道院の部分に光が当たり出した。
レンズを思い切り開放して光を取り込む。
まだ夕焼けの名残が残っていて、全体がピンクの世界。
それと入れ替わりに、照明の輝きが強くなってきた。
しっかりと水面に塔の先端まで映り込んでいる。
ほどなく夕陽のピンクは姿を消して、濃いブルーの背景に変わってきた。
まさに唯一無二。円錐形の造形物が華やかに立ち上がっている。
深く、深く、闇に溶け込みながら、際立ってそそり立つモンサンミッシェルの雄姿を目に焼き付けながら、ホテルに戻った。
昼にはごった返すほどに賑わっていた街が、夜にはすっかり人影もなくなっている。観光客の大半は日帰りの駆け足観光のようだ。
せっかくここまで足を延ばしたのに、このようなドラマチックな光景に出会わずに引き返してしまうのは、とてももったいない! 他人事ながらそんなことを思ってしまう。
とにかく個人としてはたっぷりと劇的夜景を堪能して宿に帰り、おいしいワインとともにベッドに倒れ込んだ。