二両編成のローカル線・東急世田谷線に乗って宮の坂駅で降りると、目的地の豪徳寺に到着する。
初めてここに来た時、本当にびっくりしたのがこの招き猫の大群だ。
運を授かった人たちが、お礼の意味を込めて奉納した招き猫たちが、寺の一角に溢れんばかりに「住みついて」いる。
そのきっかけとなったエピソードは17世紀にさかのぼる。彦根藩二代目当主井伊直孝が、鷹狩りの帰りに寺を通りかかると、門前にいたネコが手招きをしている。
興味を抱いた直孝が寺に入り、僧侶の話を聞いていると、直後に激しい雷雨が一帯を襲った。雨が上がり、一行はこの猫のおかげで雨の直撃を避けることが出来たとし、以来豪徳寺を自らの藩の菩提寺とすることにした。
これによって豪徳寺自体も大名の守護を受けることになり、お互いがウインウインの関係になったというわけだ。
発祥とされるここの招き猫は、よくみかける大判を掲げた姿ではなくて、素朴に右手を上げた格好だ。
井伊家の中でも最も有名なのが井伊直弼。幕府の大老を務めたが、1860年桜田門外の変で暗殺されてしまった。その彼の墓もここに立てられている。
墓のすぐ近くには三重塔。現在の塔は2006年に建てられたという新しいものだ。
赤頭巾をかぶった六地蔵は、ちょっとかわいい感じ。
対して大きな香炉の上に鎮座した獅子像は、何とも恐ろしい表情をしている。
小さな招き猫を購入し、帰りも世田谷線の車両に乗って家路についた。