コートダジュール滞在最終日、ニース海岸の東端に小高い丘があるのでそこに上り、浜辺の夕景を眺めようと出かけた。
丘に上ると、周辺全体が良く眺められる。遠くの山々も、薄いピンクに色づいている。
西の方角には、まさに沈もうとする夕陽が捉えられる。
日没。ブルーとオレンジに色づけられた海面を、一艘のヨットが音もなく進んで行く。
夕陽の残光を引きずりながら、海は次第に暮色に沈んで行こうとしている。
その時、空中に何やら一筋の線が!これは何の雲なのか・・・。飛行機が墜落する所じゃあないだろうに。
そんな思いが湧いた時、別の方向からはまさに飛行機が、空港から飛び立って近づく姿が捉えられた。
海面は深いオレンジ色に染まって行く。
陸地では家並みに照明が灯り、こちらは逆に明るい世界の始まりが告げられようとしている。
すっかり日も暮れた。紺碧海岸=コートダジュール全体が、その名の通りの濃い藍色の闇の中に沈もうとしている。
あわただしいコートダジュールの滞在だったが、思い出も多い旅だった。
そんな感傷に浸った最終日の夜だったが、翌日はまた、アクシデントが待っていた。
朝、駅に行くと運行電車の表示板が消えており、旅行客が待合室にあふれている。
聞いてみると、電車事故があり、電車は運行休止。1時間ほど待ちぼうけの末に、代行バスが用意されるとの情報。
すし詰めのバスに乗り込んで、フランス国境までの長距離をバスで移動するという思いがけない経験をさせられた。
行きも帰りもアクシデントの連続だったが、今となれば懐かしい旅でもあった。