会津若松・飯森山に不思議な堂がある。円通三匝堂(さんそうどう)=通称「さざえ堂」。国の重要文化財だ。高さ16mの堂は、見上げると斜めに傾いているようにも見える。
入口に僧の像がある。1796年に当時の住職郁堂禅師が考案したそうだ。堂内は時計回りに上り1と4分の3周で最上階に着き、下りも1と4分の3周して入口に戻る。
上るごとに棚のような厨子があるが、創建当時各所に設置された厨子の中に西国三十三観音像が祀られていた。つまり、この堂をお参りすることで三十三観音参りを済ませることが出来たわけだ。
明治に入って神仏分離令が出されて、今像は除かれている。
最上階まで到着する。無数の札が貼られている。ここが信仰の対象だったことがよくわかる。
特に天井部分の札はおびただしい。
下りに入る。階段は二重螺旋になっていて、上る人とすれ違うことは全くない。こういった二重螺旋階段はバチカン市国のバチカン美術館やフランスロワール地方のシャンボール城でも見ることが出来たが、我が国の歴史的建築では非常に珍しい。
こうして見下ろすと、太鼓橋のようなふくらみのある階段部分もあり、二重螺旋も含めて実に貴重な遺産であることが実感できた。