新型コロナウイルスが拡散する少し前、早春の箱根に行き、彫刻の森美術館を歩いてきた。ちょうど絶好の晴天となり、清々しい気分で高原に展開する彫刻群を堪能することが出来た。非常事態宣言後の今となっては、なんか懐かしいとさえ思える一日だった。
美術館の敷地に一歩足を踏み入れると、まず出会うのが岡本太郎の作品「樹人」。タイトルからすると樹木をイメージしているのだろうが、私には炎のようなダイナミックな激しさを感じるものだった。
やはり岡本太郎!青空に白がピッタリだ。
前を見ると、弓を引く鉄人がその前方にある塔のような彫刻を狙っているかのようなシーンが。
この鉄人はヘラクレスだ。フランスの代表的な彫刻家ブールデルの傑作。同じ作品が東京上野の国立西洋美術館前庭にもある。
対して狙われているように見えたのは、カール・ミレスの「人とペガサス」。空を飛ぶ二人の前方にあった雲が、まるで一緒に合わせて飛んで行いるかのようだ。
「樹人」の横にほっそりとした女性が立っている。奥の白い壁に映る木々の揺らぎ模様と女性のシルエットとが、うまい具合に調和していて楽しい。
なのに、女性の表情はなぜかうつろ。ジャコモ・マンズー「衣を脱ぐ」。
奥には緑色の髪をした大きな顔が、ごろりと横たわっている。「嘆きの天使」クロード・ラランヌ作。タイルにわずかに溜まった水に天使の横顔がうっすら映る。
「天をのぞく穴」と題された作品があった。螺旋階段を下りて、地下にある小さい穴から空を見上げる仕掛けになっていたのだが、それに気づかず階段を上り下りするだけで通過してしまった。井上武吉作。
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