隅田川に架かる橋巡りを始めようと、まず最下流の勝鬨橋を目指した。地下鉄日比谷線築地駅で降り、東に歩くと、堂々とした橋が見えてくる。
橋の完成は1940年。実はその年に開催予定だった幻の東京五輪と国際博覧会を目指して建設が開始されたものだった。ただ、日中戦争の激化で中止となり、当初の目的とは異なった形での完成だった。
それまでは築地と対岸の月島とを結ぶ「渡し」が設けられていた。
この渡しは、明治38年、日露戦争に勝利したことを記念して設けられたもので、戦勝にちなんで「勝ちどきの渡し」と命名され、現在の橋の名前に引き継がれている。
完成時は全長246mのうち中央の44m部分が「ハ」の形に開閉する可動橋として機能していた。
戦前は一日5回、戦後は3回開いて船が航行する風景が見られたが、次第に物資運搬の主役は車へと変化したことで、1970年11月29日を最後に橋が開くことはなくなってしまった。
ただ、当時の最新技術を駆使した国内最大規模の跳開橋として国の重要文化財に指定されている。
ここが開いていた部分。
その先には大川端リバーシティのビル群が林立する景色が続く。また、橋のたもとには当時を振り返る記念館もオープンしている。
ところで、勝鬨橋が隅田川最下流に架かる橋とばかり考えていたが、橋から下流を眺めると、何と別の立派な橋があるではないか!
きれいなカーブを描いた橋げたを持つ橋だ。
勝鬨橋のすぐ南側には、移転問題でもめていた築地市場があるが、その先にもう1つ別の橋があるのだ。
聞いてみると、これは「築地大橋」という。実は新橋から豊洲までをつなぐ都道「環状2号線」が計画され、新しくできる豊洲市場や晴海の東京五輪選手村などを結ぶ大動脈の一環として建設されたもの。
ただ、市場問題がネックとなって、橋は完成状態だがまだ使われていないということだ。
このほどやっと豊洲市場の10月オープンが決まったことから、まもなくこの新しい橋も開通することになりそうだ。
勝鬨橋は夜にはライトアップされ、昼とは違った艶やかな姿を見せる。グリーンに輝く橋は夜空に飛び立つ白鳥を連想させる。
現在隅田川の橋のうち6本がライトアップされているが、都では東京五輪に向けてさらに6本を新しくライトアップする計画で、隅田川はさらに美しく彩られそうだ。
その候補の1つ築地大橋も、勝鬨橋から見ると今は大都会のビル群の中で美しいシルエットを見せていた。
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