表慶館は1909年、大正天皇の御成婚記念に片山東熊の設計で建てられたネオバロック様式だ。
花崗岩の貼られた外壁には、楽器類(竪琴など)や製図道具(コンパス、定規)、工具(ペンチ)や、般若の面など幅広いジャンルの装飾がなされている。
ブロンズ製のライオンが控える正面玄関を通って館内に入る。
この建物は現在特別展などの時しかオープンしないので、なかなか入る機会が少ない。
中央ホールから天井を見上げると、ドームが目に入る。ちょっと東京駅丸の内のホールを連想させる造形だ。東京駅を設計した辰野金吾と片山は、同時代のライバルでもある。
2階へ上がる階段が素晴らしい。華やかなアーチを描く手すりはシンメトリーな曲線。
階段途中で眺めると、なだらかに曲がって流れるような線が提示される。
2階に上り切ると、こんなかわいい円形の手すりに出会える。
そこから下を見ると、七色のフランス産大理石のモザイクを施した床面が広がる。
ある角度でみる階段は、これから大海に漕ぎ出す1つの船のような造形の見える瞬間があった。
夕闇が迫り、ライティングが始まると、建物全体が静けさの中にふんわりと浮かび上がった。
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