新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・ヨーロッパ チェコ編① 階段好きになったルーツはプラハ。見上げた螺旋の壮麗な旋回に心が震えた

2021-05-11 | 階段紀行・ヨーロッパ 

ヨーロッパ編はチェコ・プラハから始めよう。階段の美しさを初めて認識した都市だからだ。

チェコの首都プラハは百塔の街として知られる。プラハ城を始めとする伝統的な建築群に加えて、19世紀の再開発でアールヌーヴォーやアールデコなどの近代建築が建ち並ぶ都市だ。

この街には2度足を運んだが、最初の訪問の時パジースカ通りをを歩いていて美しい階段に気付いた。建物の外見は特別奇抜なものではなかった。

が、中に入るとその階段は螺旋が宙にまで昇って行きそうな壮麗なフォルムが連なり、一目見るだけで思わすため息が漏れた。

アパートの管理人さんに頼んでどうにか写真撮影を許可してもらい、数枚だけ写したものがこれだ。

 今思えば、螺旋階段に興味を持つようになったのは、この出会いがきっかけだったのだと回想している。

 それから数年後、改めてプラハを訪れた時もう1度このアパートに立ち寄って、この光景を見上げた。そんな階段だけに、私にとってはいつまでも記憶に残る階段だ。

 せっかくなので、プラハの美しい風景も少々。

 街の中心カレル橋。沢山の彫像が橋を飾る観光名所だ。どうせなら人のいない橋の姿を独占してみたいと、橋の近くに宿を取って早朝に出かけた。

 有難いことに夜明けは雲1つない晴れ。塔と彫像がシルエットとなって曙の空に浮かび上がる様を目に焼き付けることが出来た。

 中心から少し離れた場所にあるケーブルカーに乗って高台に上った。ここからはプラハ城全体が見渡せる。そこにあるカフェで暖を取りながら日没を待って眺めたプラハ城の夜景。幻想的なほどの美しさだった。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

階段紀行・日本 東京編⑧ 国際子ども図書館、奏楽堂、そしてサクラテラス。上野公園は階段好きの聖地!

2021-05-08 | 階段紀行・日本

 国際子ども図書館は1899年に帝国図書館という計画で建設が始まった。だが、日露戦争による資金不足などから工事は大幅に縮小され、紆余曲折の末結局2000年からは子ども図書館に生まれ変わった。

 その際、安藤忠雄によってガラスボックスのエントランスが増設されて、モダンな感じになっている。

 その内部にある大階段。

 吹き抜けの高さは20mにもなり、ぜいたくな空間構成になっている。

 手すりは19世紀当時の鋳鉄製がそのまま使われており、歴史を感じさせる。周りをガラス製の衝立が囲んでいる。アレンジと保護の役目を果たしているようだ。

 壁面の白と漆黒の階段とが、快いコントラストを描き出している。

 これも上野公園内にある奏楽堂は、東京芸大の前身・東京音楽学校の音楽ホールを備えた校舎として1890年に建設された。従ってここが我が国の西洋音楽教育の草分けとなって、幾多の偉大な音楽家が育まれて来た。

 その音楽ホールへの導入路として赤い階段が用意されている。濃い上品な朱色で彩られた階段は、シックな装い。

 特にめかし込んだものではないが、素朴な中にも趣がある。コンサートへ向かう序章と、終演後のエピローグを展開する短い時間をここで体験する場としても活用されているのだろう。

 JR上野駅の前に飲食店などが入る雑居ビル「サクラテラス」がある。ここのエスカレーターを昇って行くと、坂上にある上野公園への近道になっている。そのエスカレーター終点にチョコンとした感じで付いているのが、こんなに短い階段。

 しかし、立派な螺旋階段になっており、ビルの屋上部分にあるため駅側を眺めればなかなかの眺望も望める。知る人ぞ知る、駅前の憩いの空間的な存在ともいえそうだ。

 このように上野公園内には明治以来の各種施設建設と共に様々にユニークな階段が形成されてきている。階段好きにとってはパラダイスのような場所といえそうだ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

階段紀行・日本 東京編⑦ 旧岩崎邸には我が国の西洋建築をリードしたジョサイア・コンドルの階段が。

2021-05-04 | 階段紀行・日本

 上野公園の側、不忍池裏手にしゃれた洋館が建っている。旧岩崎邸。三菱財閥の岩崎家本邸として1896年に完成した。

 設計はジョサイア・コンドル。我が国に西洋建築を導入した先駆者で、御茶ノ水にあるニコライ堂や千代田区の三菱一号館、さらに初代の東京国立博物館も彼の手になるものだ。

 そこの階段にはしっかりと赤じゅうたんが敷かれて、いかにも財閥の屋敷、といった雰囲気が漂う。

 手すりの一本一本の支柱にもしっかりと装飾が施されているのがよくわかる。政財界の重要人物を迎えるのにも恥ずかしくない丁寧な造りが特徴だ。

 一方、プライベートな部屋への階段と思われるものもあった。これも使い込まれた年輪を感じさせるものだった。

 2階に上がって、中庭や遠景を眺める展望テラスは、ベランダの柵にイスラム風のデザインがなされて、とても洒脱なスペースになっていた。

 上野公園の噴水広場横にある国立科学博物館は、堂々たる新古典主義の建築。1931年の完成。

 正面玄関前にはゆったりとした空間が設けられている。

 その空間に、地下へ通じる半円形の階段が存在する。

 緩いカーブで、一段一段の段差がとても少ない。着物姿の女性でも楽に歩けるような勾配で下降しており、建物のいかめしさとは対照的な優しさが感じさられる。

 館の左側にはシロナガスクジラの実物大模型、右側にはSLと巨大な構造物に囲まれているだけに、一層ほっとさせる階段となっている。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする