極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

缶詰とザリガニ

2012年09月19日 | 開発企画




【イタリア版食いしん坊万歳:伊勢エビのフランベ】

  Aragosta sulla griglia

材 料:伊勢エビ3尾、バター、ブランデー

作り方:伊勢エビを縦半分に切り開き,それぞれ殼のついている部分を下にしてグリル板にのせて焼き、
    身の部分にバターを塗る。最後にサービス・プレートに伊勢エビをのせて火にかけ、ブランデ
    ーをふりかけてフランベし、ただちに供する。

  Killer Cajun Shrimp or Crawfish

上の写真は、エビとザニガニのケイジャン料理。基本的に地元で手に入る食材を生かした、素朴でシン
プルな庶
民の料理。タマネギ、セロリ、ピーマン(合わせて「聖なる三位一体」(holy trinity)と呼ばれ
る)を炒めたものを料理
のベースとする.エビやカキ、カニを中心に魚介類がふんだんに使われることが
多く、またケイジャンは長い間自
給自足せざるを得なかったため、ザリガニやアメリカアリゲーター、
カエルといった土着の食材もよく使われる。よ
り都会的で洗練されたニューオリンズの伝統料理「クレ
オール料理」とは、基本的な素材や「聖なる三位一体」を
はじめジャンバラヤやガンボなどいくつかの
料理を共有するため、ルイジアナ州の外ではケイジャン料理はしば
しばクレオール料理と混同されるこ
とが多い。ケイジャン料理の方がやや辛めであり、伝統的なケイジャン料理
には高価な材料やフランス
料理の技法が使われることはまずない。トマトの使用など、イタリア料理の影響も少
ない。ケイジャン
料理はだいたいにおいて庶民的であり、主菜を料理する鍋、主食(米やコーンブレッドなど)を調
理す
る鍋、旬の野菜を調理する鍋の3つがあれば食事ができるといわれる。

ところで、伊勢エビだと漁獲量もしれている。ならば、ザリガニの陸地での養殖も可能だ。因みに、伊
勢エビとザニガニの分類学上、上科でザリガニ下目 Astacidea、イセエビ科 Palinuridaeで分かれるロ
ブスターの仲間。甲殻類は、特有の風味、テクスチャーを持つため和食のみならず洋食、中華などの食
材として広く用いられ、生鮮(刺身)、煮物、焼もの、揚げ物、蒸しものなどとし食される。エビでは
練製品原料としても利用されクルマエビ、タイショウエビ、ボタンエビ、イセエビ等は高級種として知
られ、近年これら高級種に加えて、本格化されたエビ養殖の急速な発展により、ブラックタイガー、ア
メリカンロブスター等の輪入種が市場に流通するようになり一般消費者にも安価にエビを入手すること
が可能となっている。他の甲殻類と同様、エビ類の呈味成分は、グリシン、アラニン、グルタミン酸等
の遊離アミノ酸や、イノシン酸のようなヌクレオチド、乳酸、コハク酸の様な有機酸およびベタインか
らなっている。これら呈味を決定づけるエキス成分は、養殖種の場合、天然種に比較し少なく、その味
は淡泊なためグリシン、アラニン等を配した調味液に浸漬処理している。



一方、ザリガニはヨーロッパや北アメリカでは幅広く利用され食されている甲殻類だが、ニホンザリガ
ニが清流の
みに生息するという清潔な印象を有するのに対して、アメリカザリガニは沼や田あるいは池
のような比較的汚濁
した水中でも繁殖するというあまり好ましくない印象を持つことや日本人嗜好性に
合わなく利用されなかったが、
フランスのザリガニ料理のように珍重されつつあるが、アメリカザリガ
ニは、和食、フランス料理の食材として、味
が良くない、すなわち呈味成分量が少ないため廉価な食材
として取り扱われてい程度だ。その問題を解決するための方法が提案されている。

特開1995-170887

ブラックタイガーについて125%海水塩度、38℃処理の総アミノ酸産量の経時変化を示した図

甲殻類の食材の利用を広める、呈味および食感の向上した甲殻類、その加熱処理物、冷凍品、呈味およ
び食感を向上する甲殻類の製造方法として、
カニ類、エビ類およびロブスター類で、可食部のエキス成
分中のグリシン、アラニン、グルタミン酸、プロリン、トレオニン、セリンのいずれか一種以上が向上
し、可食部のエキス成分量が天然種よりも高く、可食部の食感が向上したブラックタイガー、クルマエ
ビ、アメリカンロブスター、ヨーロッパロブスター、アメリカザリガニ、ニホンザリガニ、カンバルス、
ヨーロッパザリガニを対象とし、それまでの棲息環境より高塩濃度の環境水で飼育する工程を通過させ
ることで棲息環境よりも低塩濃度の環境水で飼育することができ、かつ、棲息環境より高水温の飼育を
活魚輸送中に行うことができる製造方法の提案である。これを応用しいかに美味しく料理し普及させて
いくだけということになる。『淡海ロブスター料理』の開発ということになる。

Follistatin 

ところで、甲殻類はフォリスタチンの原料として米国で肥満治療として注目されている。フォリスタチ
ンの増加レベルは、特定のコアの筋群の筋量増加につながることにより、症例の平均寿命増加させるこ
とができ、脊髄性筋萎縮症などに利用できるアクチビン結合タンパク質として知られているスタチンで
あるタンパク質。こう考えるとザリガニは堆肥(コンポジット)などだけでなく捨てるところはない食
品となる。

下の新規考案は、増殖および分化因子-8(GDF-8)のレベルまたは活性を調節する、少なくとも
1つのフォリスタチンドメインを含むタンパクで、GASP1の使用に関するもの。より詳細には、G
ASP1の、GDF-8のレベルまたは活性の調節の障害-筋肉障害、筋肉疾患、特に筋肉組織の増大
による治療が有効な筋肉障害および筋肉疾患の処置、また代謝、脂肪、組織、骨変性の疾患障害に有効
だと提案されている。

特開2010-31018


【生麺とスナック麺とのボーダーレス】

サンヨー食品だけではないが、スナック麺も生麺のようなコシとみずみずしさを実現しつつある。正確
に言うと、限りなく漸近しつつある。その技術考案の一例を掲載してみた。 

即席麺類は、熱湯を注ぐか、短時間加熱するだけで簡単に喫食可能だが、保存性付与に、通常、即席麺
類は麺線をα化した後に麺線を油揚げ乾燥方法、および非油揚げ乾燥法にて乾燥させる。また、
即席麺
類の喫食法には、鍋で煮込み調理するタイプと、熱湯を注加して調理するタイプとがある。
前者の鍋で
煮込み調理するタイプは、調理時の熱量が大きいことから、麺線内部まで速やか熱湯がいきわたり充分
に澱粉粒子を膨潤でき、比較的弾力のある食感を実現できるが簡単に調理できない。
熱湯を注加して調
理するタイプ(=スナック麺」)は、調理時の熱量が明らかに少なく、麺線内部への熱湯到達時間が長
くなり、麺線内部の澱粉粒子がすみやかに膨潤することができず平麺にしく加工しない場合には、戻り
硬い食感になる。


即席麺類、この場合、非油揚げ乾燥麺のスナック麺は「生麺のごとき粘弾性」を有し「生麺のようなみ
ずみずしい食感」に欠ける。一般的に、低温熱風乾燥麺と高温熱風乾燥麺とがあり、低温熱風乾燥は、
乾燥温度が百℃未満の熱風を用いるため、じっくりと緩慢に麺線の水分を乾燥する。そのため、麺の構
造は一般的に気泡の無い緻密なものとなり、比較的弾力のある食感を再現することができるが、麺線の
構造が緻密なために、喫食時に麺線内部まで水分が浸透しにくい。このため、従来より、低温熱風乾燥
は、麺線の復元性を高めるために小麦粉に対し各種澱粉の割合を高める方法が採られるが、澱粉の添加
量が過度に多いと復元性は向上し、みずみずしさのある食感になるが、小麦本来の粘りのある食感がう
すれ、澱粉食感が強くなり「生麺のごとき粘弾性」が得られない。

  麺の縦断面の組織的構造

低温熱風乾燥の欠点をのない高温熱風乾燥は、乾燥温度が百℃以上、熱風速度が10m/秒前後で、水の
沸点より高い温度にて麺線を急速に脱水乾燥するため、麺の外観は乾燥により発泡した状態となり、麺
の構造は油揚げ麺状となり復元性の良い麺線を得ることができるが、調理時の熱量不足のため、ポーラ
スな構造は、食べ応えの無いスカスカとしたものになる。また「麺線の割れ」という特有の現象が起こ
り、短時間で麺線を乾燥させたときに麺線中心部分よりも麺線表面部分の乾燥が促進され、麺線の表面
部分と中心部分の水分差から麺線内部の収縮の差が起こり、麺線の中心部分に大きな空洞を生じる。

  麺線がウェーブコンベアー上で麺線束を形成

この問題を解決するため固形状の油脂や乳化剤を、麺の主原料に添加し、得られた即席麺の麺線断面積
の標準偏差を特定の範囲にコントロールすることで、麺線の「割れ」防止と、「湯戻し後の食感」とを
両立させることに成功した。乾燥後の麺線の断面積の標準偏差が0.3以下にし、主原料と、粒子径 0.15
mm以上の油脂と乳化剤を含む麺原料と、水を混捏して麺線を蒸煮し、熱風で膨化乾燥する。蒸し工程
では、麺線内部の粉末粒状油脂や粉末粒状乳化剤が溶け、麺線内部および麺線表面に穴形成し、続く高
温熱風乾燥工程で麺線内部水分が円滑に蒸発・乾燥させることが出来るので麺線の急激な発泡を防止し
する。線を蒸煮し、次いで、熱風により膨化乾燥することを特徴とする。また、粉末粒状の油脂と乳化
剤の融点は50℃~70℃で、添加量が、小麦粉に対して、0.5~5%でエチルアルコールの添加量が小麦
粉に対し0.3~5%で、熱風の温度50℃~160℃、風速1~25m/sの範囲の熱風を単独もしくは組み合
わせることにより乾燥される。




【缶詰は世界一なんだ】



遠征における食料補給の問題に悩まされていたナポレオン・ボナパルトによる懸賞に応え、1804年にフ
ランスのニコラ・アペールにより長期保存可能な瓶詰めが発明されたが、ガラス瓶は重くて破損しやす
いという欠点があった事から、1810年にイギリスのピーター・デュランド(Peter Durand)が、金属製容
器に食品を入れる缶詰を発明した。これにより、食品を長期間保存・携行することが容易になる。初期
のものは殺菌の方法に問題があり、たびたび中身が発酵して缶が破裂するという事故を起こす。1833年
にはフランスのアンシルベールによって、缶の蓋の周りをはんだ付けし、熱で溶かして缶を開ける方式
が考案された。その後、1860年代にブリキが発明されてからは、缶切りが登場するようになるが、
缶詰
は、初期には主に軍用食として活用された。特に、アメリカ合衆国の南北戦争で多く利用された。のち
に一般向けにも製造されるようになり、現在では、災害対策用の備蓄用食品(非常食)としても利用さ
れている。



ところで、缶詰は世界の国々で作られており、その種類はおよそ1,200種類(そのうち8千種類は国内
生産、96%輸出)以上といわれ、缶詰の代表的な生産国はアメリカ、イタリア、タイ、中国、スペイン、
フランス、フィリピン、ギリシャ、インドネシア、南アフリカ、オランダ、そして日本などであり、こ
れらの国々で世界中の缶詰生産量の90%近くをカバーしていると推測。主要な品目には、まぐろ、さけ
等の水産缶詰、みかん、もも、パインアップル、混合果実等の果実缶詰、スイートコーン、トマト、マ
ッシュルーム、アスパラガス等の野菜類など。世界中で生産されたこれらの缶詰は、輸出・輸入を経て
世界各国の人々の間で消費。日本は世界でも有数の缶詰生産国であり、かつ代表的な消費国。

このように考えてみると、先日の『発酵食品立国への道』だけでなく、『缶詰食品立国の王道』とか、
『フルーツ王
国』とかさまざまな修飾が可能な実力をもつ先進国にいつの間にかなっていたことに気付
く。もっとも、知らなかったのはわたしだったしてね。伊勢エビのフランベにはじまり、ザリガニの養
殖とその魅力について考察し、さらには、『スナック麺』の技術力の背景を考えたり、「防災の日」に
は非常食の総点検で、日本の技術力の進展に目をみはり、「日本人はうるさ~~い!」が今日を築いて
きたことを再確認した。されば、これからは世界貢献の大航海に踏み出すという『安全安心・健康食品
立国の』の海図をもって、「よぉ~~そろ」というわけだ。これは面白い。

 

コメント
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