裏技に頼ると大きくなれない。
結局、正面突破していかないと本当に実力がつきません。
孫 正義
● シベリヤに謎の巨大クレーター
輸送用ヘリの操縦士が2014年6月、初めて見つけた。最寄りの拠点となる街から約4百キ
ロ離れ、トナカイ遊牧民がわずかに行き交う北極圏。地元政府の緊急要請でロシアの科学者が
調査を始めたが、穴は直径約37メートル、深さ約75メートルあったが、その後、同様の穴
の報告が相次ぎ、4個が確認された。この穴はどのようにして生まれたのか?(1)隕石の衝
突、(2)不発弾の爆発、(3)宇宙人の襲来、(4)気温が零下40℃まで下がる厳寒。地
中には永久凍土が数百メートルの厚さで広がり、メタンが多く含まれ、天然ガス田があること
から、永久凍土が溶け、メタンガスの圧力が地中で高まって爆発などの説がある。このなかで
(4)の説が有力視されている。ロシア科学アカデミー石油ガス調査研究所のワシリー・ボゴ
ヤブレンスキー教授は、異常に高い気温の影響を受けた可能性があると話し、このまま地球温
暖化が進み、凍土全体から、温室効果の高いメタンの大量放出が始まれば、さらに温暖化を加
速させかねないと恐れている(朝日新聞デジタル 2015.07.19)。
もし、温暖化によるメタン噴出説が正しいのなら、積極的平和主義の旗のもと貢献ユニットを
ロシアに派遣し、ガス田周辺に、(1)メタンスチームリホーミングプロセス、(2)水素貯
蔵プロセス、(3)水素燃料電池及び水素ガスタービン発電プロセス、(4)二酸化炭素回収
貯蔵プロセスを集合させシベリアエネルギー供給プラットフォームの建設に参画すれば、危機
的状態を回避できるだけでなく、世界に向け「再エネ水素社会実現」のジャパン・イニシアテ
ィブを広報できるまたとないチャンス。これに乗らない手はない。
● 日中食品汚染 14 中国の食品汚染地図
【目次】
第1章 見えない食品の恐怖
第2章 中国の食品汚染地図
第3章 食品汚染のヒトへの影響
第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
第5章 重金属汚染という新たな難題
第6章 日本の食品は安全といえるか
古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素し終え
たので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから課題を
掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく
第3章 食品汚染のヒトへの影響
「毒」という呼び方
最近中国のマスコミを賑わせている事件のひとつに毒豆腐がある。腐敗寸前の牛の生血
に豆腐の原料の大豆を浸すと豆が元気づくという。その大豆をすってねり状にし、豆腐を
作るというものだ。豆腐が有害というのではなく、有害な製法や違法な製法で作られた豆
腐のことを指して、毒豆腐というのである。毒餃子、毒米、毒もやし、毒生姜・・・・・・。食
品汚染に「毒]をつける言い方は、中国で通常使われている用法だ。
日本では、汚染といえば公害による川や海の汚染、大気汚染など環境用語として使う場
合が一般的だ,また日本には毒キノコのように似たような言い方はあるが、植物学的な面
から、人間が食べると神経麻蜂を起こすとか、悶絶しながら死ぬとか、そもそも毒性のあ
る植物を指す場合に使うのが普通だ,
本来なら安全でおいしく、健康増進に役立つはずの食品が、健康肢害につながってしま
うのは悲しいことではないか。ここからは、食品汚染や遺i子組換え食品とヒトの健康と
の関連性について述べたい,
氾濫する遺伝子組換え食品
そもそも、遺伝子組換え食品は汚染食品の範鴫に入るのかと疑問を持つ人がいるかもし
れない。本書の立場としては、雑菌、残留農薬、重金属、不衛生な物質が付着したものだ
けでなく、農産物の生産、加工、保管、輸送、小売店陳列までの間、人体に悪影響があり
そうなものすべてを汚染食品とみなしているため、遺伝子組換え食品もその範囲に含めて
いる。
日本の遺伝子組換え農作物の大部分は加工食品に使われている。だから、遺伝子組換え
されたコメや小麦、大豆そのものを消費者が買って直接食べることはない。いや、ないは
ずである。というのは確信が持てないからだ。主食用として売ってはならないはずの中国
米やタイ米が不法に市場に流れ、大手スーパーでもおにぎりや弁当として売られていた事
件が起きたことは記憶に新しい。この事件は、我われが知らないうちに遺伝子組換え食品
を食べていることを疑わせるに十分だ。
2010年の日本の遺伝子組換え作物の輸入量は1798万トン、年間のコメ生産量の
倍以上になる。2006年の1488万トンからさらに増加した。このままいけば200
0万トン、3000万トンと、際限なく増える可能性もある。また日本でも国内生産を目
指した研究開発を行い、大豆、テンサイ、トウモロコシ、菜種、飼料作物のアルファルフ
ァや綿花において国の安全性評価をパスしている。
遺伝子組換え食品に関する中国政府の姿勢は、日本やアメリカ、EU委員会と同様に安
全だというものだ,中国政府も遺伝子組換え農作物が農地の節約や農業コストの低下につ
ながり、生産量の大幅な増加をもたらす点を宣伝している。「農業遺伝子組換え生物安全
管理条例」など法的な規制もかけているので、国民は何ら心配することはないというな場
をとっている。
2012年、フランスの学者が遺伝子組換え飼料を2年間与え続けたモルモットにガン
が生じたと報じたとき、EU委ほ会が「実験データ数や仮説実証過程が限られているので
信用できない」と否定的な見解を示したことを援用し、中国政府もこれに同調した。
だが、この報道は遺伝子組換え食品の危険性を論じた研究を、容認派がフクロ叩きにし
たと読み取るべきである。
日本でも同様に、容認派がこの実験を非科学的だと批判したことで注目された,しかし
容認派は、遺伝子組換え食品批判派から出されている「安全性を実証せよ」という要求に
は、まだ目をつむり通したままでいる。
遺伝子組換え食品が安全だという科学的な実証をした例は皆無だが、それでも多くの国
の政府は安全性を強調する点で一致している,これに反対する意見には、健康に対する被
害、安全性が実証されていない未知の食品を摂ることへの心理的な抵抗などさまざまある。
何が問題か?
わたしの立場は、危険性があると訴える科学者がいる食品については、安全性が実証さ
れない限り推奨することは差し控えるべきではないか、というものだ。いわゆる予防原則
の立場だ。
この点に深入りすることは控えるが、厚労省のパンフレットのいい加減さだけは指摘し
ておかなければならない。
「遺伝子組換え食品の安全性について」というパンフレットは絵や図を使って、いかにも
解りやすい仕立てになっている。ここには、「食べ続けても大丈夫ですか?」という質問
に、「さまざまなデータに基づき、組み込んだ遺伝子によって作られるタンパク質の安全
性や組み込んだ遺伝子が間接的に作用し、有害物質などを作る可能性がないことが確認さ
れていますので、食べ続けても問題はありません」などと記されている。
まさしくこの点こそが遺伝子組換え食品が批判されている論点なのだが、それ以上の説
明はなく、「信じなさい」といわんばかりの姿勢が漕み出ている。論語でいうところの、
「由らしむべし知らしむべからず」、政府は国民を従わせればよく、その道理を理解させ
る必要はない)といったところであろうか。
未来に生じるかもしれない危険性を無視、あるいは軽視して急ぎ実用化に走った結果、
多くの薬剤被害が起きてきた過去の経験を厚労省は忘れ去ったのか? この点、たとえば、
IPS細胞の実験成功後、いっときも早い実用化の要請に対して、さらなる研究を積み重
ねながら、安全性を優先する姿勢を崩さない山中伸弥教授とは対照的だ。2012年のノ
ーベル医学生理学賞は、こうした姿勢に対しても贈られたものであるに違いない,
国家中心の研究
現在、附界の遺伝子組換え農作物の作付面積は、安全性の確認作業を置き去りにしたま
ま、既成事実化がどんどん先行し、1・7億ヘクタールに達している。これは、中国全土
の耕地面積を大きく超え、日本の国土面積3800万ヘクタールの4・5倍にあたる。す
でに大豆の81%、トウモロコシの35%、アブラナの30%が遺伝子組換えによっている。
中国も遺伝子組換え農作物の研究に取り組んでおり、国立中国農業科学院、中国農業大
学、上海交通大学、中国科学院などが拠点となっている。安全性をクリアしたピーマン、
トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、コメ、綿花が商業化について政府の許可を待ってい
る段階だ。また小麦、サツマイモ、落花生、穀物全体については、商業化の許可申請の段
階にぞっている。
コメはまだ商業化されていないはずなのに、規制の網をくぐってすでに市場に出回って
いる。2009年、南方の9つの地区の43銘柄を民間の第三者機関が検査したところ、湖
北、湖南、福建、広東の各省、4自治区・市のコメ、および3自治区・市の米粉から遺伝
子組換え成分が検出されたという。このほか、商業化されていないはずの農作物から同様
に、遺伝子組換え成分が検出され、中国の農業関係者の問で大きな話題になった。
遺伝子組換え農作物研究の中心、中国農業科学院生物技術研究所は、1986年の設立
で、専門の研究者が100名以上在籍している。ここでは、あらゆる農作物の先端的な遺
伝子組換え実験が行われている。
中国には、院士という各界の研究分野のトッブクラスとして国が与える称号があるが、
著名な院士61名が遺伝子組換え農作物の商業化を推奨する声明を出すなど、国を挙げた
積極的な取り組みが行われている。もっとも中国の学会はすべて国家管理され、科学や真
理も国家が認めなければ異端視されかねない土壌がある。
国を挙げての研究のかたわら、中国では2004年から輸入も始まり、現在、主にアメ
リカから大豆、トウモロコシ、アブラナの遺伝子組換え農作物を輸入している。これらの
農作物の大部分は、食用油を始めとする加工食品の原材料にすることが目的だ。中でも大
豆がもっとも多く利用され、大豆食品の70%は遺伝子組換え大豆を原材料としている。
だが、大豆なら大豆の輸入量は分かるが、そのうち遺伝子組換えがどのくらいを占めるか
は不明だ。
遺伝子組換え農作物で作った加工食品も輸入している。
たとえば太豆油、アブラナ油だ。ファストフードで販売される食品の大部分が遺伝子組
換え農産物が原材料だろうということは、今や中国では常識だ。また家畜飼料も遺伝子組
換え大豆やトウモロコシ、小麦等のふすまという公的な報道がある,
政府が安全といってもそのまま鵜呑みにできないことは多くの国民も知っており、遺伝
子組換え食品の危険性を訴える書籍もある,しかし、中には販売禁止処分になった例があ
るなど、政府見解に反することへの当局の監視の目は厳しい。
「消える鼠、瀕死の豚」は遺伝子組み替え食用物が原因か?
危険性を訴える新聞記事も散見される。たとえば、ある遺伝子組換えトウモロコシを飼
料に使った山西省と吉林省では、ネズミが極端に減少し、繁殖用メス豚が流産を繰り返す
という報道があった(「国際先駆導報」2010年9月21日付)。しかしこの事件は真
相が解明されることなく、結局、「2010年10人科学デマ」のレッテルを貼られ、闇
に葬り去られてしまった。中国でガンの死亡率が高いことについて、巷では遺伝子組換え
食品が原因だとする噂が広範に広がっている。ただし、この点の疫学的検証はまだなされ
ていない。
中国が遺伝子組換え食品に熱心なわけ
ではなぜ、中国政府は遺伝子組換え食品を守り、普及しようとするのか?
その答えは比較的単純で、農産物生産の危機があらゆる角度から迫っていることを自覚
しているからだ。土壌は化学肥料や農薬のまきすぎ、その他さまざまな理由から破壊され、
農業を継ぐ者も激減,水も枯渇し汚れている。しかし人口は今後も増え続けるから、農産
物生産量を減らすことはできない。中国政府にとって遺伝子組換え食品は、そのための救
世主なのだ。
しかし、中国政府は遺伝子組換え食品の危険性を甘く見ていると思う。輸入管理ひとつ
とっても、国内で許可していない種類の組換え大豆がアメリカから大量に輸入されている
ことが判明するなど、輸出国から足元を見られている。それは、国内の遺伝子組換え食品
の反対派を抑え込むなど露骨な擁護策をとりすぎたことで、輸出国側の節度や自制心を損
なっているからではないだろうか。
遺伝子組換え食品が品種改良食品と決定的に異なるのは、次の点につきる。遺伝子組換
え食品は、原理的に、サルの遺伝子を人間の遺伝子と入れ替え、サルを人間のような生き
物に変えることに等しい。これに対して品種改良とは、サルはサルのまま健康体力を豊か
にすることだ。遺伝子組換え大豆は、大豆の形をした大豆ではない「大豆的な植物」と考
えた方がよい。
遺伝子組換え食品という文字を見たり聞いたりすると、わたしには、ほぼ未来永劫にわ
たって日本人を恐怖の底に落としつづけるであろう、あの福島の原発の姿が思い浮かぶ。
今のところ原発が人間の手に負えないものであるのと同じく、遺伝子組換え食品もひと
りでに遺伝子を変化させつづけ、人間の手に負えなくなるという未来への疑念を捨てきれ
ないのだ。自然の摂理を否定する物質が遺伝子組換え食品、たとえれば食品エイリアンだ
とわたしには思えるのだ。
20世紀の物理学である原発の安全神話が崩れ、再生可能エネルギーの百パーセント社会が展
望できているのとは異なり、新世紀の生命科学である遺伝子組み換え食作用物のリスクと安全
保証はまったく手がつけられていない状況だとわたしも考える。デフレ社会が世界汚染する中
「安かろう、危なかろう」という産地不明、内容物不明、偽装した輸入食用物の氾濫が静かに
進行し、日本のみならず世界中の消費者をむしばんでいることを考えると、大変不気味である。
これについては、いつかまとめて債考察したいので残件扱とする。、
この項つづく
● 不死と寿命の相克
もはや分裂できなくなり完全分化した神経細胞や心臓の細胞は固有の寿命をもち、最後は、や
はりプログラムされた死を免れない。すべての細胞は、代謝の結果不可避的に生ずる活性酸素
により徐々に損傷していき、損傷が同値を超えたところで、プログラムの死であるアポトーシ
スのスイッチが入ると考えられるという。それじゃ、二倍体の細胞生物の染色体のテロメアを
自在に制御できれば「不死」が獲得できるではないかというチャレンジも生まれるが、いまの
ところ、わたしの世代で獲得できないようだ。優れた著書に接したひととき、充足した了解に
支配される。実に面白い。今後も、時宜をみて掲載していく。
2nの染色体数をもつ二倍体の体細胞からなる多細胞生物の固体は死を免れないが、アメ
ーバのような決して二倍体になることのない一倍体の原生生物やバクテリア(原核生物)
の個体細胞は、無限に分裂する能力をもっている、原則として死すべき運命にはない。多
細胞生物のすべての個体が死ぬことができるのは、生命の連続性を生殖細胞系列にまかせ
ることができたからである。この意味で、体細胞と生殖細胞の区別が生じ、それに伴い有
性生殖が生じたことと、体細胞が死すぺき運命になったことは起源を同じくする。
体細胞が自発的に死ぬ能力を獲得したことにより、多細胞生物の個体は複雑な形態とシス
テムを開発することができた。この能力はアポトーシスと呼ばれる。アポトーシスは遺伝
的なプログラム死のことである。アポトーシスは不必要な細胞を計測的に殺して形態形成
を遂行するとともに、がん細胞や自己と反応するT細胞を殺してシステムを維持する。
しかし、この能力は個体の死を不可避にもたらすものでもある。多細胞生物の個体はどう
しても免れない寿命をもつ。分裂する体細胞はヘイフリック限界と呼ばれる分裂回数まで
くるとそれ以上分裂できずに死んでしまう。染色体の末端にはテロメアと呼ばれる構造か
あり、分裂のたぴに少しずつ短くなり、テロメアがなくなったところで、アポトーシスに
より死ぬらしい。ヘイフリック限界は種によってほぽ一定しており、寿命の長い種では高
く、寿命の短い種では低い。
もはや分裂できなくなり完全分化した神経細胞や心臓の細胞は固有の寿命をもち、最後は
やはりプログラムされた死を免れない。すべての細胞は、代謝の結果不可避的に生ずる活
性酸素により徐々に損傷していき、損傷が同値を超えたところで、アポトーシスのスイッ
チが入ると考えられる。老化と寿命は酸素呼吸をする多維胞生物固体の宿命なのであろう。
池田清彦 著『新しい生物学の教科書』
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます