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ぽかぽか春庭「ひまわりを食べる」

2012-08-28 00:00:01 | エッセイ、コラム
2012/08/28
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ひまわり蘊蓄(8)ひまわりを食べる

 現代中国ではヒマワリのタネは庶民のおやつです。小さなタネを器用に囓って、中味を食べています。殻はそこらじゅうにまき散らして食べるのが、庶民のお作法?
 学生のあつまり、親戚のあつまり、人が集まった跡には、大量のヒマワリ種の殻が散らばっている、という光景を、1994年2007年2009年、3度の中国赴任中に、よく見かけました。ヒマワリの種は「香瓜子」と言います。

台湾産の香爪子


 私はナッツ類が大好きなのですが、ヒマワリは小さくて食べにくく、ヒマワリよりは値が張るけれど、栗や胡桃をよく食べ、また日本では手に入らない珍しい木の実が売られているので、おやつに食べていました。
 買い方は「一斤(イージン=500g)」と、ナッツ屋に言って、量ってもらうのです。ヒマワリの種は、一斤1元(10~15円相当)だったり2元だったりしましたが、西域や南方原産の珍しい木の実は、東北の街ではヒマワリの種の十倍以上の値段がしました。でも、今から思えば、高いといっても、500gで500円とか800円とかだったのだから、もっといろいろ食べてみればよかったと思います。どうも貧乏性なので、香瓜子が一斤1元なのに、一斤30元とか50元する木の実は、えらく高いもののように思ってしまった。

 直接食べるタネ、食用種は、長軸方向に黒と白の縞模様があります。煎って食用とするほか、アブラをとる種があります。18世紀に油をとる種の改良がすすみ、得に旧ソ連での品種改良がすすみました。日本ではヒマワリの種を直接食べることは多くなく、もっぱら、ペット(ハムスターなど)の餌に利用されています。

 食用ヒマワリのタネと花


 油脂用のヒマワリの種は絞ってヒマワリ油として利用されています。多価不飽和脂肪酸が多い。近年は、アメリカで品種改良がすすみ、オレイン酸を多く含むヒマワリ種が作り出されています。
 食用油の生産は、ナタネ油、ゴマ油などが生産量が多く、ヒマワリ油は世界で4番目に生産量の多い植物油脂です。

 2011~2012の国別生産量統計。
1 ロシア     2,932千トン
2 ウクライナ   2,754 千トン
3 EU(27か国) 2,666千トン
4 アルゼンチン  1,258千トン
5 トルコ      684千トン

 以下、中国 パキスタン 南アフリカ アメリカ インド。数年前の統計に比べると、アルゼンチンのひまわり油が半減していることがわかります。アルゼンチンに広がっていたひまわり畑は、今、半減してしまい、これからも減ってしまうのだとしたら、大地に広がるヒマワリ畑を一目見ておきたいという気になります。

 日本では、大豆油の消費量がもっとも多く、ヒマワリ油消費量は、2010年で約1万8,600トン。ヒマワリ油のほとんどは、アルゼンチンやアメリカからの輸入です。直接家庭の台所で調理油として使われる量は少なく、ほとんどは業務用として、チョコレート用のカカオバター代用品として使われています。チョコレートを食べるとき、ヒマワリ油も食べているってことですね。

<つづく>
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