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ぽかぽか春庭「ヒマワリ短歌とヒマワリ俳句」

2012-08-29 00:00:01 | エッセイ、コラム
2012/08/29
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ひまわり蘊蓄(9)ヒマワリ短歌とヒマワリ俳句

<ひまわり短歌>

・粗布しろく君のねむりを包みゐむ向日葵が昼の熱吐く深夜 春日井健(1938 - 2004)

・一粒の向日葵の種まきしのみに荒野をわれの処女地と呼びき 寺山修司(1935 - 1983)
・旧地主帰りたるあと向日葵は斧の一撃待つほどの黄 寺山修司

・向日葵の花は実となる確かさの見えつつありて日々はやく逝く  安立スハル(1923-2006)

・道化師と道化師の妻 鐵漿色(かねいろ)の向日葵の果(み)をへだてて眠る 塚本邦雄(1920 - 2005)             
                         
・風落ちて夕づく畑の大いきれ 我が立ちあふぐ向日葵の花 岡山巌(1894-1969)
                         
・おほほしく曇りて暑し眼のまへの大き向日葵花は揺すれず 中村憲吉(1889 - 1934)
・なやましく漸く嵐の吹きたれば重くすすれし向日葵の花 中村憲吉

・向日葵は諸伏しゐたりひた吹きに疾風ふき過ぎし方にむかひて 斎藤茂吉(1882 - 1953)
・さ庭べに竝びて高き向日葵の花雷とどろきてふるひけるかも 斎藤茂吉

・向日葵(ひまはり)は金の油を身にあびて ゆらりと高し日のちひささよ 吉井勇(1886年 - 1960)

・恐ろしき黒雲を背に黄に光る向日葵の花見ればなつかし 木下利玄(1886年 - 1925)
・心がちに大輪向日葵かたむけりてりきらめける西日へまともに 木下利玄

・あからひく日にむき立てる向日葵の悲しかりとも立ちてを行かな 古泉千樫(1886 - 1927)
・まひるの潮満ちこころぐし川口の橋のたもとのひまわりの花 古泉千樫

・向日葵のおほいなる花のそちこちの弁ぞ朽ちゆく魂のごとくに 若山牧水(1885 - 1928)

・恋びとよいざくちづけよ烈しくと叫ぶがごとき向日葵の花 前田夕暮(1883-1951)

・髪に挿(さ)せば かくやくと射る 夏の日や 王者の花の こがねひぐるま 与謝野 晶子(1878年 - 1942) (ひぐるま=ひまわり)
・おりたちて水を灌げる少年のすでに膝まで及ぶ向日葵 与謝野晶子

・輝やかにわが行くかたも恋ふる子の在るかたも指せ黄金向日葵(こがねひぐるま) 与謝野鉄幹(1873 - 1935)

 ピエール=ジョゼフ・ルドゥテ (Pierre-Joseph Redoute、1759 - 1840)は、ナポレオン1世の妃、ジョセフィーヌの薔薇園に出入りしてバラ図譜を残したことで有名ですが、ひまわりの植物画も描いています。
ガイラルディア

<ひまわり俳句>

・向日葵の蕊焼かれたる地図のごと 今井聖(1950 - )

・向日葵や信長の首切り落とす 角川春樹(1942-)

・大ひまはり花壇の外に咲いてをり  大串章(1937-)

・向日葵の影より黒きものを見ず  松澤昭(1925-)

・向日葵の瞠(みは)る旱を彷徨す  野澤節子(1920 - 1995)

・向日葵おごるとき拳白かりき  金子兜太(1919-  )

・ひまわりの日没といる無蓋貨車  国武十六夜(1919- 2012 6月15日死去)
  
・向日葵や越後へ雨の千曲川 森澄雄(1919 - 2010)
・向日葵や起きて妻すぐ母の声  森澄雄

・追撃兵向日葵の影を越え斃れ  鈴木六林男(1919 - 2004)

・向日葵を野太く咲かせ後継者  中村路子(1917 - 1999)

・遠く飛んだ種子の不逞さ焦げ向日葵  堀葦男(1916 - 1993)

・われ蜂となり向日葵の中にいる  野見山朱鳥(1917 - 1970)

・夕浅間向日葵は黄を強く放つ  桂信子(1914 - 2004)

・恍惚と秘密あり遠き向日葵あり  藤田湘子(1914 - 2004)

・実の向日葵少年グローブに油ぬる 古沢太穂(1913 - 2000)

・海の音ひまはり黒き瞳をひらく  木下夕璽(1914-1965)

・大向日葵囚はれの如活けられぬ  石田波郷(1913 - 1969)
・向日葵にひたむきの顔近づき来  石田波郷
・向日葵や咲く前に葉の影し合ひ  石田波郷

・向日葵をふり離したる夕日かな  池内友次郎(1906 - 1991)

・向日葵に剣のごときレールかな 松本たかし(1906 - 1956)
・山畑に向日葵咲きて山よ濃し 松本たかし

・向日葵の黄に堪へがたくつるむ  篠原鳳作(1906 - 1936)
・わだつみの辺に向日葵の黄ぞ沸きし 篠原鳳作

・向日葵や一本の径陰山へ 加藤楸邨(1905-1993)
・きのふわが夢のかけらの小向日葵 加藤楸邨

・塀出来て向日葵ばかり見ゆる家 星野立子(1903-1984)

・向日葵の蕊を見るとき海消えし  芝不器男(1903 - 1930)

・われら栖む家か向日葵夜に立てり 山口誓子(1901-1994)
・向日葵立つ方位未確の山の上 山口誓子

・向日葵は連山の丈空へ抽く 中村草田男(1901‐1983)
・山の陽は木と水の友向日葵澄む 中村草田男
・向日葵や戦場よりの文一行 中村草田男
・向日葵に澄む即興の子を守る唄 中村草田男
・小向日葵わが広額に納まるらん 中村草田男
・向日葵やガード都の門をなす 中村草田男
・向日葵は連山の丈空へ抽く 中村草田男
・山の陽は木と水の友向日葵澄む 中村草田男
・日まはりや永歎きしてうとまるる 中村草田男

・向日葵の大声でたつ枯れて尚  秋元不死男(1901 - 1977)

・向日葵のひらきしままの雨期にあり 中村汀女(1900-1988)
・たまたまの日も向日葵の失へる 中村汀女

・鸚鵡叫喚日まはりの花ゆるるほど 三好達治(1900 - 1964)

・高原の向日葵の影われらの影 西東三鬼(1900‐1962)

・ひまはりの昏れて玩具の駅がある 三橋鷹女(1899-1972)
・向日葵を剪るみほとけの花ならず 三橋鷹女
・縋らむとして向日葵もかなしき花 三橋鷹女
・向日葵の大輪切つてきのふなし 三橋鷹女
・向日葵の一茎がくと陽に離る 三橋鷹女
・星出でてより向日葵は天の皿 三橋鷹女

・向日葵に天よりあつき光来る  橋本多佳子(1899 - 1963)
・向日葵は火照りはげしく昏てれゐる 橋本多佳子

・向日葵の眼は洞然と西方に  川端茅舎(1897‐1941)

・向日葵や月に潮くむ海女の群 西島麦南(1895-1981)
・向日葵に昼餉の煙ながれけり 西島麦南

・キリストに向日葵あげて巷の中  山口青邨(1893-1988)
・キリストに挿せし向日葵のみ新た  山口青邨
・二重窓小窓をもてり向日葵黄  山口青邨

・向日葵の空かがやけり波の群  水原秋櫻子(1892 - 1981)
・向日葵に馳せくる波の礁を超ゆ  水原秋櫻子
・向日葵にたぎちて帰る波の列  水原秋櫻子
・向日葵にとほき紺青の波の列  水原秋櫻子
・向日葵が咲くのみ運河廃るるか  水原秋櫻子
・向日葵や都心変りて行き迷ふ  水原秋櫻子
・向日葵や雷後渦ゆく神田川  水原秋櫻子

・ひまはりのたかだか咲ける憎きかな 久保田万太郎(1889-1963)

・日を追はぬ大向日葵となりにけり 竹下しづの女(1887-1951)

・向日葵もなべて影もつ月夜かな 渡辺水巴(1882 - 1946)

・向日葵やいはれ古りたる時計台 富安風生(1885 - 1979)

・向日葵の月に遊ぶや漁師達  前田普羅(1884 - 1954)

・向日葵や日ざかりの機械休ませてある 種田山頭火(1882 - 1940)

・日天やくらくらすなる大向日葵 臼田亞浪(1879 - 1951)

・向日葵が好きで狂ひて死にし画家  高浜虚子(1874 - 1959)
・葉をかむりつつ向日葵の廻りをり  高浜虚子

・日まはりの花心がちに大いなり  正岡子規(1867 - 1902)

<つづく>

もんじゃ(文蛇)の足跡。
このページの編集権は、春庭(ニッポニアニッポンコミュニカティブ言語文化研究会)が有する。
コメント (2)
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