
フランスの絵本展、庭園美術館立て看板
20180616
ぽかぽか春庭アート散歩>薫風アート歩き(2)フランスの絵本展 in 庭園美術館
個人コレクションの展示を紹介します。
フランス文学を主なテリトリーとしていますが、幅広い評論活動、エッセイ執筆で知られる鹿島茂は、古書マニアとしても有名。そのなかで、19世紀フランス絵本は、30年の間収集が続けられ、今回庭園美術館の「フランスの絵本展」として公開されました。
会期:3.21-6.12 初日3.21に観覧

19世紀後半から20世紀ベルエポックの時代、カラーリトグラフ印刷が発達しました。
ブテ・ド・モンヴェル、アンドレ・エレ、漫画やアニメーションの先駆者バンジャマン・ラビエら、人気作家の美しい絵本が相次いで出版され、フランス絵本の華麗な時代が築かれました。
私は、3月21日(第3水曜日シルバーデイ無料の日)に、庭園美術館の建物散策をメインにして、絵本観覧はそのついで、という感じで立ち寄りました。
私も絵本大好きっ子ですが、フランス絵本には縁遠く、なにか小じゃれたきどった本という先入観がありました。(見たことなかったのに)
主な展示は新館の方でしたが、会場をひとまわりして、思った以上に充実した展示だと感じました。
新館での展示

本館の写真撮影自由日でしたが、フランス絵本展は、撮影OK展示とカメラ禁止展示があり、あ、これ撮りたいなあと思う絵本だとたいてい撮影禁止マークなのでした。
撮影OK展示コーナー

「カデ・ルーセル」(1778~1882頃)絵:ロレンツ・フルリック(エッフェル書店)

「おうちでサーカス」(1874初版)絵:ロレンツ・フルリック(エッフェル書店)

「塔よいまに見ておれ倒してくれようぞ」(1876)絵:ロレンツ・フルリック(エッフェル書店)

タイトル不明

ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」で、アリスは、姉の本を覗き込んで、「絵のない本なんてどこが面白いのかしら」と呟きます。これまでは、かわいいアリスによる、幼い子どもらしい発言とだけ思いましたが、絵本を子どもが楽しみに読めるようになったのは、アリスの時代前には稀なことだったと、わかりました。キャロルは最先端の子ども像を書いていたんですね。
キャロルは、アリスを「出版が盛んになってきた絵本を読む子供」として造形しました。アリスの絵本は、アリスを物語世界にいざなっています。
5月2日にかこさとしさんが亡くなり、私の好きな絵本作家、どんどん鬼籍に入りさびしいこと。新しい絵本作家は大勢デビューしていますが、私が娘に読み聞かせ、娘がオト―ト君に読む聞かせた絵本たち、ほとんどは学童保育に寄付しましたが、特に娘のお気に入りだったからすのパン屋さんやぐりとぐらなどはとってあります。でも、どうやら孫へ読み聞かせをする機会はなさそうなので、これも寄付しようかな。
展示されていたなかでも、1930年初版の『ゾウのババール』シリーズは、今なお子供たちに大人気の絵本です。
鹿島茂は、絵本コレクションの本を出版。

鹿島の本のもと絵はこちら。
アナトール・フランス著/モーリス・ブテ・ド・モンヴェル絵『われらの子どもたち』1887年

なるほど、本出版にあわせたプロモーション展覧会だったのね。
<つづく>