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ぽかぽか春庭「お殿様の審美眼、松平不昧の大名茶 in 三井記念美術館」

2018-06-21 00:00:01 | エッセイ、コラム

三井記念美術館「お殿様の審美眼、松平不昧の大名茶」

201806021
ぽかぽか春庭アート散歩>薫風アートめぐり(6)お殿様の審美眼、松平不昧の大名茶

 う~ん、わからん。
 予想通り、私にはそのすごさすばらしさがさっぱりとわからなかった三井記念美術館の「大名茶人松平不昧公、お殿様の審美眼」
 毎週お茶のお稽古に通っていたりお茶を教えている方にとっては、垂涎のお道具類がずらりと並んでいましたが、ほんとうに、猫に小判、豚に真珠、春庭に国宝の茶碗、です。

 琳派の絵なんかだと、そのすごさがわからなくても、会場ひとまわりして、とりあえず金泥絵具なんかで金ぴかりんに描いた絵なんぞ見て、わぁ、きれい、と言えるんだけど。

 茶道具となると、私が心から「すご~い!」と言えるのは、耀変(曜変)天目。せいぜい油滴天目まで。
 あとは、お茶碗ずらりと並べて、「どれでもひとつあげます」と言われたら、100円ショップの茶碗を選んでしまいそうな、まったくの目利かず。目利きの反対。
 今回は、招待券入場だし、500円で音声ガイド借りました。ガイドによって、お道具の作者や史的背景はわかりましたが、不昧がこちらは宝物、あちらは名物と分けた美の基準は、わかりません。

 東京国立博物館でも、行くたびに国宝級の茶碗や茶入れを眺めてはきました。しかし、茶道具は、茶をたてるためにある。茶をいれて使ってこそ。ながめていても、いっこうに春庭の審美眼は育ちませんでした。

 松江藩主、松平不昧(1751-1818)の没後200年を記念して開催された「お殿様の審美眼」展。
 不昧が収集した数々の名物、不昧自身が賛を書いた掛け軸、不昧が編集した茶道具の図録『古今名物類聚』など、かって松平不昧が収集して手元においた茶道具が、ずらりと並んでいるのでした。ああ、それなのに、それなのに。

 私には、千利休作の茶杓(ヤハラ道怡)とその他の茶杓、どちらも竹をすいすいと削っただけに思えて、区別はまったくつかないのです。第一、道怡に仮名ふってなかったから、なんて読むのかも知らなかった。みち、えっと、りっしんべんに台?
「どうい」でした。

 不昧は、収集した茶道具をひとつひとつ絵にうつし、寸法や模様のようすを書き込み、寶物、大名物、名物などの細かい等級に分けました。
 不昧が寶物と書いたら絶対にそれは宝物。お殿様が絶対基準の寶物となります。

 かって不昧が所蔵していたが、所有した人は早世するという不吉な評判の茶碗が、今は国宝として展示されていました。茶碗を相続した不昧の息子が病の床についたので、息子の嫁(姫路藩主酒井忠道の娘、英姫)が手放してしまったのだって。

「喜左衛門井戸」京都孤篷庵所蔵


 東京国立博物館の茶道具類は、順に茶道具展示室や国宝室に展示されるので、見る機会があったものもありますが、お茶碗のどれがどれやったか、覚えていない。

 今回は、九州国立博物館の「油滴天目」を見ることができたのが眼福でした。
 ややこぶりの茶碗、油滴の散り具合がとても美しい。
 「油滴天目」九州国立博物館所蔵


 九博の解説「南宋時代(12〜13世紀)に、中国南部の窯(建窯)で作られた天目茶碗。高温の窯の中できわめて稀に化学変化をおこし、器の表面にあたかも油滴が飛び散ったような模様を作り出す」

 松平不昧公の肖像画やら、不昧公自作の花入れやら、見どころはいっぱいありました。

不昧公自作の竹筒花入れ


不昧公自作の色紙香炉「ござるまい年ふるを詠て あらとふと天竺我朝にまたと二つ」

自慢の自作だったのでしょうね。

 そもそも、この三井記念美術館は、三井家が江戸時代から収集してきたお宝の収蔵場所のひとつ。建物からして、重要文化財の重厚なる近代建築。美術館はその7階。エレベーターのドアからしてどでーんと重厚な木彫がほどこされ、廊下の壁もトイレの壁も大理石。私のような貧乏人は、それだけでへぇ、おそれいりやしたと、小さくなってしまう情けなさ。

 ましてや、国宝のお茶碗なんぞ、これでお茶飲もうという機会があったとして、手が震えて落っことして割ってしまうでしょうから、はなからお茶飲もうとは思いませんが、目の保養になったのか、ならなかったのか、もうちょっと、お茶を学んでから見たほうがよかったのかも。

 でも、招待券もらって、あちこちに配布したから、とりあえず自分でも見ておかなけりゃと思ってでかけました。出かけてみて、私には茶道具、似合わないんだわぁとよくよく自覚しました。

 むろん、不吉だろうとなんだろうと「大井戸茶碗喜左衛門」をくれると言われれば、大喜びでもらいます。もらった日に落っことして割りそうだけど。

<おわり>
コメント (2)
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