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ぽかぽか春庭「写文・黒い雨 by 井伏鱒二」

2018-08-07 00:00:01 | エッセイ、コラム
20180807月
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>夏のことば(3)黒い雨 by 井伏鱒二

 8月に山の日を作って、旧盆時期にも「happy summer holiday」と人々を浮かれさせたいという方針もあろうかとは存じますが、私は、8月6日から15日まで、「私的平和週間」として、戦争文学原爆文学とくくられている作品の中から、毎年少しずつ抜粋し、朗読することで、私にとっての祈りの言葉、私のとっての写経と思ってすごしております。かってのあの日々を忘れないために。
 むろん、せっかくの山の日、遊びに参ります。清里高原にて、祈りの朗読つづけます。
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黒い雨 by 井伏鱒二
(原爆投下の直後の描写)

 車内の人たちの意見を綜合すると、閃光が煌いた瞬間にドガンという音がしたという説と、ザアとかドワァツという音がしたという説に分けられる。僕としては、ドガンという音がしたとは云いかねる。ドワァッという音であった。
 爆発地点は大体に於て丁字橋附近だろう。それを中心に、二キロ以内、またはそれ以上に近い圏内にいた人たちは、ドガンという音を聞かなかったようだと云っている。

 四キロも五キロも離れたところにいた人たちも、一様にピカリの閃光を見て数秒後に、ドワァッという音を聞いたと云っている。風圧の音か爆発音ではなかったかと思う。この音と同時に、窓硝子が吹きとばされ、家がぐらりと揺れ動いたそうだ。

 爆発で中天に生れた入道雲を、僕はクラゲの形の大入道だと見た。近距離で見たのと遠距離で見たのでは形が違っている筈だ。乗客のうちには、松茸型の雲だったと云う人もいた。

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 奈良岡朋子による、『原爆の子(新藤兼人監督作品)1952』出演の思い出と、『黒い雨』朗読です。
 
https://www.youtube.com/watch?v=JpCELJobnkA

1.奈良岡朋子が『原爆の子』に出演したころの回想
2.『黒い雨』前半朗読
3.奈良岡朋子の空襲体験と疎開の思い出、疎開先弘前で聞いた玉音放送
4.『黒い雨』後半朗読
 
<つづく>
コメント (4)
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