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ぽかぽか春庭「ガラスの森美術館」

2022-10-20 00:00:01 | エッセイ、コラム

20221020
ぽかぽか春庭アート散歩>2022アート散歩ガラスの輝き(2)ガラスの森美術館

 ガラスの森美術館、最初は娘息子と1度きて、娘と私二人で再訪。今回は3度目になるので、娘は「今回はルネ・ラリック美術館をメインにして、ガラスの森はついででいいかな」と言っていたのです。でも、私は「現代ガラス作家の展示」があるという美術館チラシを事前に見ていて「現代ガラス作家の作品」を見たいと思って3度目の来訪となりました。



 ベネチアンガラスや歴史的なガラスは前回までの展示と同じものもあったし、展示替えされていたものもありました。

 ガラスの森美術館口上
 約4000年前に生み出されて以来、人々を魅了し続ける人工の素材、ガラス。20世紀に入ると、ガラスは、装飾品や工芸の分野だけではなく、芸術表現の分野でも更なる可能性を秘めた素材として注目を集め、芸術家自身がデザインから制作までを一貫して手掛けたガラス・アートが誕生しました。
 本展では前期と後期に展示を分け、ガラス・アート界を牽引する国内外の現代作家6名のガラス作品をご紹介。ガラスという千変万化する素材の魅力を存分に引き出し、工芸の分野に留まらない多様なガラス表現を模索するイタリアとアメリカ、そして日本のアーティストたちの個性が豊かに響き合う、ガラス・アートの世界をご覧ください。

 灼熱の炎の中で真っ赤な流動体として生まれ出るガラスは、冷えて固まると光を透過し周りの風景を映し出す、身近にありながら、その実体を捉えるのが難しい不思議な素材です。約2000年前のシリアで生み出された宙吹きと呼ばれるガラス製法は、熔けたガラスに息を吹き入れて器を作る一大発明であり、以来ガラス工芸の礎となった技法です。

 ヴェネチアングラスの輝き。17世紀~20世紀までのどの作品も、工房の職人たちが技を尽くして作り上げたガラス器です。ヴェネチアングラスは撮影自由。


 そして、私が見たいと思っていた現代ガラス作家の作品、目玉らしい有名作家セグーゾは、残念ながら娘にも私にも、あまり好みの造形ではありませんでした。

 ガラスの森美術館による現代アートガラスの口上
 ヴェネチアングラスの伝統技法を生かし、ガラスの中に空気(空間)を封じ込めた抽象的な造形作品を作り出したのがヴェネチア・ムラーノ島のガラス彫刻家、リヴィオ・セグーゾです。彼は透明感のあるガラスを時に金属や石などの異素材と組み合わせ、ガラスを媒介とする内と外の空間や、他の素材とのハーモニー(詩的な調和)をもたらす彫刻を目指しました。
 また、内村由紀は、キャスティングというガラス鋳造技術によって、ガラスの内部により多様な空間を封じ込めることに成功。ガラス内の耐熱石膏をくり抜き、器や人の姿などの様々な形の空間、そこに存在していたであろうものの痕跡を時間から切り離して表現することで、「存在することとは?」という問いへの回答を導きました。
 一方、木下良輔は、ガラスがもつ光の透過効果を生かした表現と、着色技法(ステイニング)によるガラスの透過性を消し去った真逆の表現を併用することにより、作品の外側から受けるイメージと、内に秘められた実体(エネルギー)の不一致の可能性に、身近な「本」というテーマで迫っています。
 彼らの作品は、それぞれに技法やテーマは違えど、そこにガラスという素材を通した内と外の関係性を私たちに投げかけています。

 木下良輔の作品
 
 
内村由紀の作品


  1階から2階へ。ヴェネチアの館を再現したと思われる内装。

 
 2階には、さまざまな技法の解説があり、レース模様やミルフィール(千の花模様)をどうやって作りだしたのか、説明されていました。解説されてもよくはわかりませんが、途方もない技があるのだ、ということはわかりました。




 ヴェネチアングラスの技術の最高峰という、風にゆらぐグラス。


 窓を飾るステンドグラスもかわいい。
 

 ショップには山のようにおみやげガラス製品が並んでいました。どれもすてきでしたが、相変わらず貧乏春庭には手が出せないおねだん。

 ショップのおみやげガラス製品



 きれいだったし、楽しかったけれど、ガラスの森美術館を出ると雨が降ってきて、富士屋ホテルに向かうバスは激混みで、移動がたいへんでした。
 美術館はだいたい全部回れたので、次の箱根旅行は「のんびり温泉」がいいかも。

<つづく>
コメント
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