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ぽかぽか春庭「所蔵ガラス展 in 東京国立博物館」

2022-10-22 00:00:01 | エッセイ、コラム
20221022
ぽかぽか春庭アート散歩>アート散歩2022ガラスの世界(3)所蔵ガラス展 in 東京国立博物館

 ありがたいことに、東京国立博物館は70歳以上は無料で本館東洋館の常設展示を見ることができます。(西洋美術館常設と東京近代美術館と常設展も65歳以上無料)

 美術工芸品が好きなら、無料で洋画日本画工芸品を楽しむことができ、70歳以上のシルバーパス(都民税払わなくていい人は千円。納税している人は2万円)と組み合わせて、移動にバスと都営地下鉄を使うと、一日ほぼ無料で楽しくすごすことができます。お昼ご飯に朝の残り物とおにぎりを持ち、ランチ。娘と一緒のときは、の上野の帰りにはときどき精養軒や駅構内の泰明軒に寄ることも。

 9月3日土曜日は、のんびりひとりで東博散歩。本館で「明治ガラス展」が開催されていました。
 8月にはフランスのルネ・ラリックや17~19世紀のヴェネチアングラスをたくさん見て、「明治のガラス工芸」も見ておきたいと思ったのです。



 東博の口上
 この特集では、東京国立博物館(東博)が収蔵するガラス作品のなかから、主に明治期前後につくられ、博物館草創期にコレクションに加わったものをご紹介します。 
 江戸時代から日本では、食器など生活用具のガラス器が本格的につくられるようになります。なかでも江戸時代末からつくられ始めた切子(カット)ガラスは、薩摩をはじめ江戸、大坂でもつくられ、緻密で豊かな文様装飾をうみだしました。多彩な表現は、幕末期の小さなガラス製の雛道具にも見ることができます。
 明治時代に入ると、西洋式のガラス生産を目指す動きもおこり、明治9年(1876)には官営の品川硝子製造所(のちの品川工作分局)が設営されます。その製品は内国勧業博覧会にも出品され、一部が当館に寄贈されています。
また当館のコレクションには、珍しい舶来のガラスも含まれています。例えば、幕末期の箱書きをともなった脚付のコップや、金彩の施されたカットガラス、そして、イギリスのインダストリアルデザイナー、クリストファー・ドレッサーが選定に関与し明治9年に寄贈されたイギリスやフランスのガラスなどです。これらは、当館のガラスコレクションに彩りを与えています。
 150周年を迎えた東博ならではの、多様な来歴で、かつ貴重な国内外のガラスコレクションをお楽しみください。

 北斎漫画の中に描かれている「月夜に蛙と蜻蛉」の絵柄をつけた「白色ガラス蛙蜻蛉刻文瓶」。 
 「ジャポニズム」が流行していた西欧で、パリ万博1867に出品されたもの。
 トーマス・ウェッブ&サンズ社の製品と推測。


 日本のガラス工芸は、幕末にはすでに薩摩藩でガラス製品がつくられており、薩摩切子として西欧へ輸出がはじまっていました。明治政府も「殖産興業」のスローガンのもと、ガラス製品の輸出に力をいれるようになりました。

宮垣秀次郎「切子銅赤色被せガラス鉢」(第二回内国勧業博覧会出品)1881(明治14)頃 

 草花文脚付杯


 

 明治時代になると、博覧会が開かれ、入賞者の名前などは記録されるようになるのですが、陶工にしろ漆工芸にしろ、江戸期までの職人の名前はほとんど残されていません。しかし、作品が残され、後世の人がそれを見て「ああ、美しい、すばらしい」と思ってくれれば、作った人はきっとあの世で微笑んでいると思うのです。

 東博は、明治に開館して150年たちます。明治時代に収蔵されたものをこうしてまとめて陳列してくれて、ありがたいことです。(しかも無料で見れた) 
 このあとは、「国宝一気展示」という目玉展示も控えています。
 鉄道150年といい、明治文明開化殖産興業の意気込みが伝わってきます。
 
 モノづくりの日本。今は工芸も「アート作家」が作る時代です。
 昔の「名もなき職人」が作り出した工芸品も、現代の「工芸作家」が作る作品も、私にはただただ「きれい!」と思って眺めるだけですが、漆工芸もガラス工芸も、楽しんでいきたいと思います。
 (ブンカムラで開催中の「フィンランド・イッタラ社のガラス展」は、シルバー割引なしの1700円は老人には高いと思って、私は見にいかず、10月15日、娘がひとりで見てきました)
 無料または「ぐるっとパス」で見ることのできるアートを楽しんでいきます。

<おわり>
コメント (2)
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