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ぽかぽか春庭「東博のお正月展」

2025-01-26 00:00:01 | エッセイ、コラム

20250126
ぽかぽか春庭アート散歩>2025アート散歩1月(1)東博のお正月展

 タカ氏と東博の「博物館に初もうで」展を見ました。まったく東博に寄る気はなかったのですが、めざしたモネ展のあまりの混み混み行列を見て、混雑が減るまでの時間つぶしに科博と東博に入ったのです。

 本館特別1室・特別2室に、古今東西の「へび」が展示されていました。
 お堅い東博の「博物館に初もうで ヘビ~なパワ~を巳(み)たいの蛇(じゃ)!」というショーモナイダジャレに免じて、仲良く観覧。

東博の口上
 令和7年(2025)は巳年。ヘビは人間の生活圏に生息する身近な生き物ですが、大きな口やにょろにょろとした動きには独特のインパクトがあります。脱皮を繰り返す生態や、時に毒をもつ特性もあいまって、私たちは古くからヘビに不思議なパワーを見出してきました。
 本特集では、古今東西の絵画や彫刻、工芸品を通して、美しさ、迫力、面白さ、可愛らしさなど、私たちがヘビに重ねてきたさまざまな魅力を紹介します。変化自在の活躍を見せるヘビたちのパワーを浴びながら、新しい年の訪れを感じてください。

 最近はまっているyoutube「山田五郎の大人の教養講座」。2025年しょっぱなの「きょーよー」が蛇についてでした。アダムとイブが楽園を追い出された原罪のもととされて以後、蛇は嫌われ者となった、というキリスト教の図像学だけでなく、ギリシャローマ由来の図像もあり、世界にはさまざまな蛇が表されてきた、というタメになるお話。
 蛇が脱皮することから、再生新生の象徴になったこと。古代、世界中で蛇は脱皮によって無限に死と再生を繰り返す生命の象徴とされました。図像が数多く残されたエジプトでは、毒と牙を持つ蛇は再生の神であり邪神にもなりました。
 キリスト教が西欧社会に浸透したあとも、ケルト民族ゴート民族などに残された蛇は信仰の中に取り込まれ、中世でも蛇の毒の利用から薬学の象徴であり、死と再生の象徴として医学のシンボルにも使われました。

 薬学部や医大の紋章に蛇が使われる理由も教わりました。一橋大学の校章が蛇の絡まる杖であるのは、医学薬学商業の守り神ギリシア神ヘルメス Hermesの持ち物だからですって。知らなかった。ヘルメスの杖ケーリュケイオン。平和・医術・医学・医師・商業・発明・雄弁・旅・錬金術と、あらゆる分野に効き目がある。 山田五郎さんにいろいろ教えてもらって、75歳からの生い先の役には立たない知識だろうけれど、ボケ防止に役にたつ。ありがとうゴローさん、ガンに負けないでください。蛇のパワー再生新生の力で今年もタメになるお話を聞かせてほしいです。

 そんなこんなで蛇学の通になっているもんだから、東博の蛇展示も、面白く拝見しました。
 本館特別室には仏教系の蛇信仰の一つ、ナーガ仏像が展示されていました。私はミャンマーのあちこちでナーガ仏像を見てきました。東博にはタイで発掘されたナーガ仏像が展示されていました。釈迦がさとりを開く修行中、風雨から釈迦を守るために、釈迦の上に覆いかぶさった蛇ナーガ。アジアでは蛇はもともと雨をつかさどる生き物のひとつとして信仰の対象になってきました。

 タイ出土のナーガ仏


 「ヘビ~なパワ~を巳(み)たいの蛇(じゃ)」というダジャレのもとに並んでいる自在置物の蛇や「摺箔・白地鱗模様」の蛇の鱗模様の衣装など、蛇のパワーはさまざまな表現になっています。哺乳類の十支に龍が加えられたほかに蛇が入ったのは、水の使いのパワーが龍のほかにも必要だったのでしょうね。

 夫と見て回った東博。国宝室の展示は「和歌体十種」
 流麗なかな書きの和歌、読めません。唯一読めたのは「あまのはらふりさけみれはかすかなるみかさのやまにいてしつきかも」 
 ほかにも暗記している和歌をあてはめて読めそうなものを探したかったけれど、和歌にも国宝にもさして興味のないタカ氏がさっさと次の部屋へ行ってしまったので、あとを追う。モネ展に入場するまでは、いっしょにいないと。
 科博に入ってからモネ展を出るまで半日以上をすごしました。ふらりだけでこんなに長くいっしょにいるのは、結婚以来はじめてかも。

 1979年。ケニア・ナイロビ郊外のマサイ村にいっしょに出かけて帰りの手段がなくなり、タカ氏とふたりでぼうっと羊の群れを見ていた夕暮れのひとときから45年。タカ氏は結婚後2度ナイロビに出かける機会がありましたが、私は家事と育児と生活費を稼がなきゃならず、阿倍仲麻呂と同じほどの年月「いでし月かも」を見るだけですごしました。

 あまのはらふりさけ見ればケニアなるマサイの村にいでし月かも

<つづく>
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