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ぽかぽか春庭「瑞祥のかたち展 in 三の丸尚蔵館」

2025-01-28 00:00:01 | エッセイ、コラム


20250128
ぽかぽか春庭アート散歩>2025アート散歩1月(2)瑞祥のかたち展前期 in 三の丸尚蔵館

 1月10日金曜日。娘と三の丸尚蔵館へ。瑞祥のかたち展を観覧し、18時半から学芸員のレクチャーを聞きました。
 展示室がいっぱいになるくらいの多数の観客相手でたいへんだったと思いますが、学芸員さんの「駆け足ではありますが」という解説、たのしく聞くことができました。大勢の観覧者がいて、私にはヒトの頭越しにしか作品が見えませんが、見るのはあとでもできることなので、しっかりお話を聞きました。

 著作権が切れていない近代日本画家の2点のほかは撮影自由でした。
 観覧者の顔が映り込むような撮影はしないこと、フラッシュをたかないことなど、決まりを守れば撮影できるのは、海外の美術館では普通のことですが、日本では公営の美術館の中にもなかなか普及していません。海外の美術館で進んできた「デジタルアーカイブを公開し、ダウンロード自由」も、日本での公開は国会図書館アーカイブくらいで、美術館はほとんどなし。最近、山田五郎さんも私と同じ主張をなさっているのを知り、心強く思っています。

 三の丸尚蔵館の口上
 新しい年の到来を喜び、人生の節目に幸福を願う気持ちは、古くからさまざまな造形にたくされてきました。なかでも、古代中国において不老不死の仙人が住むと考えられた蓬莱山ほうらいさんは、日本では吉祥図として描かれ、長寿を象徴する鶴と亀が添えられた島台などの縁起物としても表されました。やがて理想郷としての蓬莱山への憧れは、霊峰・富士の姿に重ねられていきます。
 また鳳凰ほうおうは、優れた天子が世に現れる兆しとして古代中国で尊ばれた伝説の鳥です。わが国では、古くより鳳凰は高貴さの象徴として絵画や工芸に取り込まれ、皇室ゆかりの品々には数多く登場します。そして麒麟きりんと唐から獅子じしも空想上の霊獣ですが、威厳のある凛としたその姿は、泰平の願いをこめて表現されてきました。
 本展では、めでたいことの訪れを告げる、これら「瑞祥ずいしょう」の造形美をご紹介します。

 エントランスから展示室に入場して最初に目にはいるのは、めでたそうな宝船。玳瑁(たいまい)甲羅のべっこう細工が見事です。大正天皇来県の折に長崎県から献上されました。学芸員さんは、元日の夜に見る夢がめでたいものになるように、宝船の絵を枕の下に敷く習慣が長く伝わってきたと解説。私はやったことなくて、道理で宝くじ当たる夢も見たことなかった。

江崎栄造「宝船長崎丸」1916 玳瑁、木、蒔絵

 キリンをかたどった香炉やら阿吽獅子像などの立体作品は、後期展示にも残るということでしたが、掛け軸ほかの絵は作品保護のため、前期後期で総取り換えになります。

 岩佐又兵衛(1578~1650)の「小栗判官絵巻」の中から、武士が小栗の屋敷に集まって宴会を開く新年を寿ぐ場面。画面右端の広縁のはじっこに祝い物が飾られています。大亀の背に蓬莱山を模した松や橘が植えられ、長寿の願いを表しています。人物の大きさに比べてずいぶんと大きな飾りだったんだなと、びっくり。左端にいるのが小栗判官かと思ったのですが、小栗と恋仲になった照手姫の父親横山殿のようです。

岩佐又兵衛「小栗判官絵巻 巻八の上」17世紀


 15巻全長324mの長大な物語の中の一部分ですが、縁起物を飾って祝う武士の暮らしがよくわかる画面です。

 前期の目玉、若冲の「旭日鳳凰図 」。


 私は「新築される前の古い三の丸尚蔵館でこの絵、見たことある。国宝だよ。32枚のそろいの動植綵絵の絵はがき買って持ってる」と、娘に得意げに小声で説明しました。「でも、国宝じゃなくて重要文化財って書いてある」と娘。あれれ。私は後期展示の目玉になる若冲の「動植綵絵老松白鳳図」とごちゃまぜにして記憶していたのでした。どうも私の絵画鑑賞はあてになりません。

 70歳以上は、三の丸尚蔵館開館日のどの日も無料ですから、後期展示もみにこようと思います。
 
<つづく>
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