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ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>いろは歌(日本語音節と音節文字)(1)鳥鳴く声す夢さませ
2011年の春庭コラム再録です。
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2011/01/26
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語講座>いろは歌再び(日本語音節と音節文字)(1)鳥鳴く声す夢さませ
日本語学や日本語音声学の授業で、春庭が日本語音節の話をするときに毎回出すクイズがあります。学生に日本語の音節に気づかせるためのクイズです。カフェコラムでもたびたび同様の出題をしているから、またあれか、と思いつつ読んで下さい。
問題「以下の詩句を読み、かつ音読して、日本語の発音について気づいたことを述べよ」
鳥啼く声す 夢覚せ/見よ明け渡る 東を/空色栄えて 沖つ辺に/帆船群れ居ぬ 靄の中
とりなくこゑす ゆめさませ /みよあけわたる ひんがしを/そらいろはえて おきつべに/ほふねむれゐぬ もやのうち
声に出して読んでも、何も気づけない人にヒント
「いろは歌」
いろは歌を知らない人に、さらなるヒント
色は匂へど 散りぬるを/我が世誰ぞ 常ならん/有為の奥山 今日越えて/浅き夢見じ 酔ひもせず
いろはにほへと ちりぬるを/わかよたれそ つねならむ/うゐのおくやま けふこえて/あさきゆめみし ゑひもせす
さらなるヒント 「あめつちの詞」
「天地星空 山川峰谷 雲霧室苔 人犬上末 硫黄猿榎枝馴居」
あめつちほしそら やまかはみねたに くもきりむろこけ ひといぬうへすゑ ゆわさるおふせよ えのえをなれいて
解答
「鳥なく声す」は明治時代の公募によって作成された「現代いろは歌」です。
「いろは歌」は平安初期に成立した「47の仮名文字を一度だけつかって作られた詩句」のうち、もっとも広く知られたものです。
いろは歌では「え」「ゑ」、「い」「ゐ」の仮名文字が表記されていることから、「e」「we」、「i」「wi」の発音が別々であったこと、「お」「を」のふたつの仮名文字があることから「o」「wo」の発音が別々であったことがわかります。
「あめつちの詞」は、いろは歌成立以前に用いられていた仮名文字練習用の歌です。時代が古いので、「え」が2度出てきます。これは、古代の発音では、「e」「ye」を区別していたことを表しています。
日本語の発音は「子音」+「母音」を一組として発声されます。これを開音節といいます。
開音節ひとつにひとつの文字があてられています。これを音節文字といいます。この音節文字は漢字から作られ、漢字の一部分をとったものを片仮名、漢字の草書をさらに簡略にした字を平仮名と呼びます。
平仮名の手習いのために作られたのが、あめつちの詞やいろは歌です。
いつの時代にもこの「日本語の仮名を一度だけつかって作る詩句」に挑戦する人がいて、傑作も数多く生み出されてきました。
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20250112
江戸時代の手習いに欠かせなかったいろは歌も、今やこどもが知らない「むかしことば」になっています。お正月にはいろはかるたで遊び、いろはを子供に教え込みましょう。かわりに、孫にAIの使い方でも習ってください。

<つづく>