天気 晴
写真は、数日前に見かけた、近所の美容院の枯れゆくバラ。日当たりの良い場所なので一輪だけ健気に最後の花を咲かせていた。
数年に一度の大寒波が、クリスマス過ぎに来るのだという。日本海側のおこぼれの雪は太平洋側にも降るかもしれない、と予報している。こういう時、関東平野だけは降らない。平野の山沿いは大雪になっても、南関東には関係ない。ひたすら寒い空っ風が吹き、乾燥するばかり。
去年、ここへ移ってからの今の季節、油断してドライアイがひどくなって困った。今年はそれに「学んだ」ので、加湿器フル稼働。タンクに水を入れるのが面倒だが、喉の保護のためにもそんなことを言ってはいられない。またまたのコロナの感染拡大なのだ。不安になってばかりでも仕方ないが、感染したら、どんなに軽症でも一般の暮らしではないので、隔離されることは覚悟しなくては・・と思い、息苦しさを我慢して、食事の時以外はマスクを離せない。もっとも、そこまで用心している入所者は半数も居ない。私が用心しても意味ない気がする。
自分の病気のほかは何の変化もない施設の暮らし、でも最近、少し変わったことがある。食事のとき私の前に座る元教師のお姉さまが、自分の「記憶力が悪くなった」ことを初めて認めた。でも、私に対してではない。詳細は省略するが、1ヶ月ほど前に入所した、彼女の隣に座る、やはり元教師の人と、彼女は親しい仲だったという。その彼女との会話で、こんなことを言っていた。
「私、最近どうも忘れることが多くなったのよ。ボケの始まりかも。だから、私が何かおかしいと思った時は教えてね」無論、二人の会話だから聞こえただけのこと。でも、同業者には素直なのだなあ、と思った。この新しいお姉さまは頭はしっかりしている。ただ、耳が遠いので私とはあまり会話はしない。
そうか、おかしいことがあったら素直に認めるつもりなのかな、と思ったので今日の昼、インゲンの白和えを食べながら彼女が
「最近、インゲンがよく出るわね」(そうでもないけど)私は沈黙。
「インゲンは今、旬ですものね」え!!!
「インゲンって夏が旬ではなかったかしら」
「そんなことはないわよ、家でも作っていたから良く知ってるわよ」と、唇を震わせ険しい顔で私を睨む。
「真冬にインゲン?ありましたっけ・・でも今は何でも温室で育ちますよね」彼女沈黙。
本当は、今の季節が解らなくなっているのだ。いつしか時間も解らなくなっていて、さっきのことも忘れるようになっている。それでも教師のプライドは忘れない。うっかり彼女の言ったことを否定などしなければ良いと解っていても・・
クリスマス・イブにも届く請求書 KUMI