2012.1.8(日)曇
ある地名を調べようとするとき、辞典を見るのだが、国語、漢和、古語、語源、方言各辞典あるいはアイヌ語、韓日辞典を見ることもある。次に地名に関する辞典つまり地名語源辞典や地名大辞典などを見るのである。ここまでの作業であたかも結論が出たようにしてネット上に掲載したり、書籍として出版されているものもある。しかしそれはナンセンス、それからの作業が大変なのだ。
例えば最近掲載している「鳥垣」の地名についてみてみよう。鳥は地名的には辞書類ではbirdの鳥、取るの意、通り、タオリ(峠)の転などの意味が出てくる。垣は垣根の垣、崖、掻くの意、柿、垣内の意などが考えられる。短絡的に「鳥を飼っていた垣根があったところ」と解釈してはいけない、なぜってそんな証拠はどこにもないのだから。
辞書で解るのはこの程度で、あくまで参考という感じだ。次に大切なことは現地を見ることだ。地形、地質、遺跡、神社仏閣など、村落の状態等々を見て古地図や古文書も探してみる。現地で伝説などを聞くこともある。
そして古代の人々の気持ちになって自分でこの地に名付けてみることだ。この時点で鳥は取る、通り、タオリに絞られ、垣は崖、掻く、垣内に絞られた。
次に地名に関する文献から同様の地名、類似の地名を探る。幸いこの種の文献は地名を索引で載せているものが多い。そうでないものはあの本のどこかに書いてあったなあと自らの脳の索引を使うのだが、この作業が大変、年齢と共に脳の検索機能が衰えている。地名がどの本の何頁に書いてあるかデータベースを作ろうかと思ったことがあったが、読書というのはリズムがあって書き抜きしながら読むなんて事は出来なくて断念した。
この段階で新たな書物を読むこともあるし、図書館博物館などに通って調べ物することもある。現地も何度か確認に訪れる。
鳥垣については由来の候補に鳥居、あの世とこの世をつなぐ鳥などが出てきた。
塚ヶ谷の古墳と鳥について調べた本。
こういう労力を尽くして、沢山出てきた候補を取捨するのだが、それなりの根拠が必要である。地形地名なら該当する地形でなければ候補から外すし、それ以外の地名ではその地の住民がその地名を残す必然性が必要となる。
鳥垣の場合、鳥そのものの語源は候補から外した。鳥垣地区には多くの古墳があり、鶏は冥界の案内者とする説があるので一応考えたのだが、それらしい伝説が伝えられているわけで無く、壁画や埴輪が出ているわけでない、というわけで除外した。坂尾呂神社の祭神が土師氏系の例えば野見宿禰や菅原道真であったら鳥=鶏の構図もあったかも知れない。つづく
坂尾呂神社、祭神は須佐之男尊
今日のじょん:昨日のことだがユキちゃんが来た。昨年の1月6日がユキちゃんの生還日なのだ。綾部署に保護されて、飼い主も解らずあわや保健所行きというところをメーパパに救われてじょんのびに来たのがその日である。雪の降りしきる中をなんともみすぼらしい姿で現れたのだが、1年たった今すっかり元気になり、優しい顔になったのに驚く。
ビフォアアフター