晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 製本工房から 1/12

2012-01-12 | 雨読

2012.1.12(木)雪、曇

 綴じ、折り、組む職業ってなんだろう。世の中にはその人の職業や芸術の分野、打ち込んでおられる趣味などにぴったりの名前の方がおられる。
 栃折久美子(とちおりくみこ)さんはペンネームではなくて本名のようである。題名からすると製本会社の親方が書いてるのかなと思われるが、実はそうではなくてブックデザイナー、装幀家、ルリユールの第一人者であった方である。(今は引退されているため)
 ルリユールといってもなんだか解らないと思うが、工藝製本とか云われているがかつて西洋では本は仮とじのまま売られていて、それを買ってきて自分の好みで上製本に仕上げるというものだったそうだ。そういう職人が沢山いて、ルリユールというらしい。最初から製本されたものを販売している日本ではちょっと考えつかないものだが、皮表紙の本などをみるとかつては本が一種の宝物であったことが理解できる。
 
 「製本工房から」栃折久美子著 冬樹社発行 昭和五十三年第三刷 京都府立図書館から借本P1000792
 
 製本のハウツー本を探していて、この本の表紙の図柄に勘違いして借りてしまった。実は内容はエッセイ集だったのだ。
  エッセイは余り好きでなく、学生時代に山岳関係のエッセイ集を読んだぐらいだ。折角借りたんだからと読み始めるとこれが実に面白い、本というものを別な角度で観る機会にもなった。何気なく読んでいる本にも、如何に多くのパーツと工夫があるのかと感心する。
 数知れない本を読んできたが、本の造り、いわゆる装幀について関心を持つことはなかった。本の善し悪しはあくまでその内容で、好きな本は大切に保管しているし、そうでないものはどこかに失ってしまったりしている。
 結果的に大切にしている本の装幀を観ると実に良い作りをされていることがわかる。当初から白水社の本は作りがいいなあと感じていたし、大切にしている本も白水社のものが多い。
 本の価値がその内容だけでなかったことがつくづくと解った。
 本書の前半は装幀と云うことについて多く書かれていて、専門用語などが出てきて読み進めるのに時間がかかったが、栃折さんは芸術家でもあるのだが、職人でもあることに気付く。彼女のポリシーは、良い本とは豪華で重厚なものでなく、読者に読みやすい、扱いやすいしっかりした本だということだ。高名な装幀家の作品についても細かい点で批評を加えている。
 後半は私生活を含めたエッセイなのだが、これが実に面白い。才女といわれる著者なのだが、実に可愛い、魅力的な性格のようだ。
 本の最後のところには著者や発行所などが書かれているが、装幀者というのは在ったり無かったりする。実は本書にはそれが載っておらず、栃折さんの装幀なのだろうか。

今日のじょん:新じょん語録(3)殿中でござる。
今朝の雪はこんなもの、10cmぐらいで除雪車の出動もなかった。逆に道路は走りにくくて、轍の上を走っている。そしてじょんの散歩中府道で事故が起こった。詳細は解らないが、やはり雪が原因か?P1000788
 



 じょんはちょうど走りやすい状態なので飛び回っているが、レインコートがずって来てこの状態になる。以前から殿中でござるといっている。P1000784 P1000787

コメント
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